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第十三話 決戦準備 【後編】

「…応答せよ。Ω1(オメガワン)…応答せよ! Ω1!」

 通信機にオッサンの声が響く。……オメガ1…? もっとマシなコールサインは無かったのか?

「…おい? 返事してやれよ、Ω1」

 シンが俺に向かって言ってきた。…え!? 俺がΩ1かよ!? えっと…? 通信機の使い方は…


「あぁ~ ハロー?」

 テンパって英語で返事してしまった…気にしない、気にしない、ちっちゃいことは気にしない☆


「何をしている? 君ら以外はもう準備できてるぞ」

 怒られてしまった。予定時間はまだ後四〇分ほどあるが…早めに現場に待機していて問題ないだろう。

「んじゃあ先に行ってるぞ、シン」

「あぁ了解」



 作戦はジェノサイドが海岸から来襲してこなげれば意味が無い。しかし、どうやって誘導するんだ? 居住区にジェノサイドが向かったらどうするのだろうか?

「ジェノサイドは海中を移動してここ鹿児島を目指している。故にこの海岸に面しているこの基地に来る可能性が高い。基地を制圧していたほうが居住区を破壊する難易度は格段に下がる。

 敵はすでに沖縄を滅ぼしている。この基地を制圧する自信があるためこの海岸に誘導するのは容易い。」

 通信機がまだ繋がっていたらしく、俺の独り言をオッサンは質問だと思ったらしい。質問に答えてくれるというならその好意に甘えてもう少し質問させてもらおうか。


「『容易い』って具体的に?」

「魚雷で牽制する。無論魚雷は人間に対して作られてはいないから避けられるだろう。だがジェノサイドの行動をある程度支配できるはずだ。

居住区には行けないのならジェノサイドは基地の制圧を優先させると推測できる。これで海岸に来襲させることはできる。以上、質問は?」

 なるほど、やればできるじゃないかオッサン。分かりやすかったぞオッサン。見直したぞオッサン。だが質問ならある。


「作戦と直接関係ないが、一つ質問いいか?」

「答えられる範囲なら」

「……なんで……お前は戦わない。ここまでしているのにお前は戦場には出ないんだ? お前は俺にこの世界を救ってくれと頼んでいたが俺以外にも兵力があるなら……」

「あのパワードスーツ無しでジェノサイドを倒すことは出来ない。それは沖縄が証明している。質問は終わりか? なら通信は切る……生きろよ……」

 最後に気になる言葉を残してオッサンは切りやがった。…言われなくても死ぬつもりなんてない。



 作戦予定地に俺は待機した。俺はジェノサイドがここにやってくるまで待機していなければいけない。

 ……緊張感が俺を襲う。俺はこれから命を掛けて殺し合いをしなければいけない。相手はすでに沖縄県民を皆殺ししている。殺すことに躊躇なんてしないだろう。

 心臓の鼓動が早くなる。このままじゃ戦闘になる前に潰れそうだ。


(緊張してるのかい?)

 ファントムが囁いてきた。

「悪いか? 俺は普通人なんで殺し合いなんてのは慣れてないし、慣れたくない。」

(……その点は悪いと思っている。だが……君には……)

「念を押さないでいいぞ。確かに怖いが逃げるつもりはない。」


 ファントムが言葉にならない安堵の声を漏らしたのがかすかに聞こえた。やはりそれが目的だったのか……

(なら本題に移ろう……君はあの人のことをどうも嫌っているようだから)

 ファントムが話を切り替えてきた。どうやらこいつはあのオッサンの名誉を取り戻したいらしい。んなもの俺には心底どうでもいい。それを伝えようとしたが

(彼、沢渡宗一はボクの父親じゃない。正確には実父の弟子なんだ)


 …………は? お前今なんて言った? 父親じゃない? そう言えばさっきそんなことを言ってたな

「おい、ちょっと待て。じゃあお前の父親は?」

(実父はボクが生まれる前にね…死んだらしい。それであの人がボクの義父になってくれたんだ。父親代わりと言った感じだね。因みに母はボクを生んだ後すぐに亡くなったらしい。)


 絶句した。なんだ、この不幸な生い立ちは。どれだけヒーロー要素を詰め込むつもりだ? この野郎は。

 などと与太を言ってる場合ではない。しかし父親代わりか…ならあの年で父親を自称したことにも説明がつく。


(あの人が18歳の頃から世話になっている。だからボクにとっては彼こそが父親だ。だからボクは彼を尊敬しているんだ。)

 こいつは…本当にあのオッサンのことを尊敬、いや敬愛しているのだろう。そんな相手をバカにされれば弁明もしたくなるだろう。

(あの人は恋人なんかも作らず、研究をしながらボクの世話をしてくれた。だから…)


「何度も言わなくても大丈夫だ。お前の気持ちは分かった。」

 こいつにとってのオッサンは俺にとっての兄貴だ。兄貴は俺にとっての憧れで目標で…大切な家族だから…だから

「そりゃ家族を悪く思われたらムカつくよな」


 俺の発言が予想外だったのかファントムはきょとんとしてる。

(意外だ、君はもっと……えっと…失礼、失言だった)

 本当に失礼な奴だな。こいつは。

(あ、因みにあの人は戦わないんじゃなくて戦えないんだ。運動音痴でね。射撃能力も近接戦闘能力もバツバツのバツなのさ)

 こ、こいつ、かなり、非常に、極限に失礼な奴だ。この無礼な所がクリスに受け継がたのか…?


「そういえばクリスとお前の関係性って何だよ?」

(…保護者と保護対象?)

 だろうな、いやまさかこの年で子持ちなわけないよな…斉藤の言ったように子持ちと結婚していればできるだろうが…断じてそんな展開は絶対に許さない! 絶対にだ!!

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