初めてのゲーセン
第二次世界大戦の敗北から驚異的速度で復活した日本は一時技術先進国となり、その余波はゲーム業界を変えた。
アーケードゲームに始まり、家庭でできるコンシューマーへと進歩していったゲーム産業。そのアーケードの看板の一つに格闘ゲームは存在する。
ストライクファイターの名前くらい知ってるだろ?
あれが立役者ね。コンシューマー派でフェイタルファンタジー好きなおまえにはわからんだろうがそれはもうすごくてだなーーー
「わかったわかった。で、何がいいたい」
「家ゲーばかりしてないでゲーセン行こうぜ!」
「プリクラかUFOキャッチャーでもしにいくの?」
「話聞いてた!? 要は一緒に格ゲーする友達が欲しいんだよ」
「アーケードは金がかかるなら行かないと心に決めてるんだ」
「そこをなんとか友達づきあいだと思っておなしゃす! 何でもしますから!」
「ん? まぁいつもつきあってもらってるし、偶にはいいか」
「信じてたぜ拓ぅ」
「くっつくな、暑苦しい」
我が家は駅から歩いて5分のすばらしい立地であり、都心に行くのに乗り換えを複数しなければならないことを除けば文句のつけようがない。
この快適な下宿先に着替えを持ち込んでいるのが大学の友人、保土ヶ谷 翔である。
互いのゲーム好きをきっかけに親密になったが彼はアーケード派。こっちはコンシューマー派。
家ゲーとゲーセンではジャンルも体感も結構違うので新しい刺激同士だったのだが、ご覧のハウスは非常に快適。今までは翔の家ゲー開拓一辺倒。
こっちからアーケードに踏み出す頃合いとしては十分である。
「拓の家駅前ゲーセンまで3分って知ったときの感動を伝えたいぜ」
俺で言えば友達の家に家ゲーが充実してる感じだろうか。
「紹介しよう、これがオススメの格ゲー、強敵との絆だ」