6話 迷宮脱出
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あれから数十分。
先ほどの毛虫地獄の後に何体かモンスターと遭遇したものの、どれも簡単に倒せてしまっている。
「マスター、暇です」
小柄な緑色の肌をした人型のモンスターの首を斬り飛ばしながらジルが言う。
「そんな事を言われても」
僕もまた、半自動式散弾銃で同じモンスターを粉々にしながらそう返す。
先ほど、僕が最初に戦ったでっかい豚さん(仮)と同じモンスターを20体ぐらい倒してからはずっとこの調子だ。
ずっと同じモンスターしか出てこない。退屈。
確かに最初に戦った個体と比べてみれば強くはなっているんだろうけどもやっぱり弱い。
数もちょっとずつ減っている気がしないでもない。
「暇だねぇ・・・」
モンスターの頭を射撃して破砕。
「暇ですねぇ・・・」
逆袈裟でモンスターを両断。
2人で淡々と、作業と化した殺戮を繰り返す。
たまに、
「新しい武器召喚!」
とか言ってランダムに武器を召喚して気分転換しようとするも、
「うらっ」
パン!
「・・・・へ?」
召喚した拳銃が粗悪すぎて撃ったとたんに部品が空薬莢とともに折れ飛んでしまったり、
「召喚!・・・・ってこんなの使えるか!!」
核砲弾を撃ちだす大型の無反動砲が召喚されたり。
ランダムに召喚するのは控えたほうがいいような気がしてきた。
結局今使っているのは、小型の消音拳銃。僕はそうでもないけどジルが「銃声がうるさいです」なんて言ってたからだ。
この銃の特徴は、なんと言っても消音器が無いこと。
特殊な弾薬を使用しているため、消音器が無くとも銃声がほとんどしないのだ。
威力はそこまで無いけどどうせ至近距離での戦いなので問題ない。6連発だからそこそこ戦える。
「うりゃ」
ドッ。
試し撃ちしてみると、ちゃんとモンスターの頭部に穴が開いた。
おお、銃声が少ない。
これならジルにも苦情を言われまい。
と思ったら、
「マスター」
「ん?」
「それはちょっと退屈なのでもっと派手なのをお願いします」
ジル、お前は僕にどうしろと言うんだ・・・
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それからさらに小一時間後。
「・・・ん?」
黙々とモンスターを狩る作業を繰り返していた僕たちの前に、唐突に光が現れた。
光。
そう、光。
光すなわち出口、つまりはこの作業の終着点。
やっとダンジョンから抜け出せる!
「ジル、出口あった!!」
「ならあとは早いですね。早いとここんなダンジョンからは脱出してしまいましょうか」
やっと、やっとここから出られる!
たぶん人にも会える!!
僕は、太陽の光がまぶしい出口を駆け抜けて、
「よっし、ゴ――ル!!・・・・――― あれ?」
・・・砂漠に出た。
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「いや、おかしいですよねコレ。何で砂漠なんですか」
「それは僕も言おうと思ってた」
「人が住んでるっぽい街が見えますね」
「見えるね」
「めっちゃ遠いですね」
「遠いね」
「明らかに10キロぐらいありますよね」
「あるね」
「移動手段とかなんかありません?たとえばヘリとか」
「脚が砂に沈んじゃう・・・かもしれない」
「戦車とか装甲車は?」
「そもそも召喚した事すらないからわからない」
「・・・戦闘以外はホント使えない能力ですねぇ・・・」
「悔しいけど否定できない・・・」
現在地、ダンジョン出口から3メートル地点。
砂漠に3.5歩ぐらい踏み出した。
移動手段ナシ。
とりあえず目標地点は10キロほど先に見える人が住んでるっぽい街。
・・・非常に厳しいよね・・・。
ちなみになぜ10キロも先にある街が見えるのかというと、答えは簡単。
木、なし。
草、なし。
建物、なし。
単に遮蔽物が一切存在しないだけ。
しかも見渡す限り砂しかないのに、そこそこの大きさのモンスターだけはいる。
(理不尽が過ぎるよ・・・)
でもここにとどまっているだけでは事態は何も進展しない。
「・・・とりあえず、行こうか?」
「・・・・・ハァ・・」
「ため息つかない」
「わかりましたよ。ハァ・・・」
「うわ、度胸あるねぇ・・・」
「どうせマスターですし」
「あ、そう・・・」
よし、前へ進もう・・・。
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今週は忙しくて死ぬかと思いました。なのでちょっと短め。
暑くなってきましたね・・・。もう溶けるかもしれません・・・・。
暑いのはキライなんですよぉ・・・。
ところで今回登場した拳銃(出てきた順で)ですが、
・サイガ12S(前回同様)
・94式拳銃
・デイビー・クロケット
・PSSサイレンサー・ピストル
です。
94式・・・ネタとしてはアリですが・・・粗悪なものもあったようですね。
デザインもなかなか・・・なんというか・・・奇抜・・・奇妙・・・珍妙・・・
明日また更新します。