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クロの下界冒険記~神→冒険者?~  作者: UNKNOWN
4章 塀の国と、陰謀?
28/41

3話 こわくない幽霊、怪我しない戦争

・・・あ、日付変わった・・・。



「んぅ・・・うー・・・・・・・・はっ!?」




太陽の光のまぶしさで目が覚めた。


僕は、芝生の上にあお向けに寝かされていたらしい。よく晴れた青い空が目の中いっぱいに広がっていた。



で。



(ここ・・・どこだ?)



問題なのは、僕が寝かされているこの場所がまったく知らない場所だという事。


いや、下界にきてからそんなに経ってないから知ってる場所なんてほとんど無いにも等しいんだけどさ。そういうことじゃなくて・・・ああもう。


ゆっくりと上半身を起こす。



(うわぁ)



そこにあったのは、訓練場。


木がおいしげった大きな林に、いくつも廃墟のような建物が密集した地帯。広い広い更地(さらち)もあって、遠くには大きな池みたいなのも見えた。


そして、そこかしこに散らばった空の薬莢。太陽の光を反射して、キラキラと金色に輝いていた。



広い。とにかく広い。


向こうがわの端が見えないぐらいだ。飛行場でも何個か作れてしまいそうな、そんな広さだ。



そんな感じで、僕がひそかに感動していたときだった。




「あ、起きたった?うーんいやぁクロたん今日もいい尻してるよねぇハァハァ・・・・いでっ」


「・・・・セクハラ、やめる」



後ろから話しかけてきた・・・いや、セクハラを仕掛けてきた無駄に元気な声と、それに制裁をくわえた眠たげな声が聞こえた。



「ああ、・・・ええと、おはようございます?イースさん、アリスさん」


「おっはー」


「・・・・ん」



振り返ると、(ひたい)から血をダラダラと流しながらも笑顔であいさつを返す喰人鬼(グール)のイースさんと、裏拳をかましたらしい手甲から血をしたたらせながら、自身の頭を左腕にかかえた首なし騎士(デュラハン)のアリスさんが立っていた。


昨日と同じく、イースさんは適当に着くずした濃緑色の軍服で、アリスさんは白銀色の全身鎧(フルプレートアーマー)


2人とも、僕が目を覚ます前からその場にいたらしい。イースさんは小銃を、アリスさんはロングソードを、それぞれ杖にするようにして立っていた。


というかアリスさんの剣が替わってる。最初に会ったときはショートソードだったのに、今日持っているのは刃渡り1メートルほどのロングソードだ。


何でも種族の特性でほとんどの剣を使いこなせるんだとか・・・・すごいなぁ。



「なぁクロたん」



ちょっと何かを尋ねるようなイースさんの声。


なんだろ。



「何ですか?」


「そのな?えーと、さっきクロたん気絶してたじゃない?」


「ああ、・・・その、驚いてしまって」



幽霊ですよ幽霊。


いや、失礼だったのはわかるんだけど・・・・その、いきなり出てこられたのはビックリした。


このセカイでは『グール』や『デュラハン』が種族名になってるぐらいだから、『幽霊(ゴースト)』も種族にカウントされてるんだろうなぁ・・・。



「そのな?もとからクロたんをここに連れて来るってことで行ってくれてたんだけどー、いやまさか気絶するとは思ってなかったワケですよはい」


「・・・・ごめんね?」



まぁ確かに強制連行っていうか誘拐みたいな感じになってるねこれ。


あ、そういえば。



「イースさん」


「へいへい」


「ヒタキさんとチャコさんはどこです?」



そういえばさっきから2人がどこにも見当たらない事に気がついた。気絶する前まではいっしょにいたんだけど。



「ヒタキたちだったらギュルザ爺さんから事情聴取・・・もとい状況の説明中。あっちに残ってなんかやってるらしいよん」


「なるほど」



なら大丈夫かな。


で、次の問題は、



「アリスさん」


「・・・・ううん、気のせい」



あれ、何も言ってないのに否定されたぞ。


じゃぁ僕が今見ているものも気のせい・・・・じゃ、ないよね。



「(ちらっ)」


「その、アリスさん・・・」


「・・・・気のせい」


「(ちらっちらっ)」



思いっきりチラチラ見られてるんですけど。


文字通り、普通の人よりも頭ひとつぶん小さいアリスさんの背中に隠れてこちらをうかがう半透明の人影に(・・・・・・・)


アリスさんの肩のあたりに、これまた半透明の長い金髪がふわふわと見え隠れする。



透明な人影さんが頭を出すタイミングを見計らってそちらのほうを見てみたら、バチっと目が合った。



「ちらっちらっ・・・はっ!」


「いえもう見えてましたから」



そんな今バレちゃったよ!まさかエスパー!?みたいな顔をされても。



「そ、そんなぁ~・・・完璧な潜伏だったのにぃ~」


「いえがっつり見えてました」



アリスさんからなんか半透明の首が生えたみたいに見えてたぞ。


ジト目のアリスさんの背後からふわりと出てきた半透明な人影さんは、大きな胸を張って、・・・おお、王女様よりもおっきいですね。



「ばれてしまっては仕方ないわ~」


「・・・ソウデスネ」


「私の名前はぁ、フローラ・ミスティオっていうのぉ~。よろしく~」


「ご丁寧にどうも。イースさんたちに聞いてるかもしれませんが、クロです。いちおう武神やってます」


「あ、それ昨日聞いた~」



そうすか。



「えぇと、私は見てのとおりゴーストで~、特技はぁ・・・んん?・・・とくに無いのかしら~?」


「はぁ・・・」



変わった人だな。


体もふわふわ浮かぶけど、性格も負けず劣らずふわふわしているみたいだ。あと、改めて見たらぜんぜん怖くないし。体が半透明なこと以外は普通の人間と変わらないように見えた。


アリスさんの背後から出てきたフローラさんはいま、上半身を起こした僕の正面に歩いてきて、膝を突いて僕の頬をぐにぐにといじっている。


・・・ってちょっと待て。



「幽霊なのに足もあるし、手が体をすり抜けたりしないんですか?」


「ふぇ?・・・そうだけど~?」



すげー。下界の幽霊ってすげー。


こともなげに一般常識をひっくりかえしちゃったよ。



「んふふ~♪ かわいいわぁ~」


「・・・・」



フローラさんの手はひんやりとしていて、とても気持ちいいんだけど・・・あの、いじりすぎです。


顔の形が変わってしまうんではないでしょうか。


それにフローラさんが顔を近づけるので、先端でふわりとカールした金髪が首筋をなでてくすぐったい。



「うーっし、はいさてクロたん。自己紹介も済んだし、こっからが本題だぜぇ?」


「本題?」



そういえば何でこんな場所に連れてこられたのか、まだ聞いてなかった。



「・・・・あっち、見る」


「?」



アリスさんが、僕の背中側を指差した。


何だろう。ようやくほっぺたグニグニから開放されたので振りかえって見ると、




「・・・・・わーお」








・・・・・・・・・・・・


・・・・・









「・・・ウィーゼル」


「はーいはい。何かな?」


「あれは・・・どう見ても子供だよな。それもかなり小さい」


「僕もそう思うけど。なんだか強いらしいじゃん?」


「いや、だがイースの情報だからな。・・・・うーむ」



2人の男が、2つの車輌の上で話を交わしていた。


ひとりは側車つきの軍用バイクに(またが)り士官帽にオートバイ用のゴーグルを着けた青年で、もうひとりは巨大な多砲塔戦車の主砲塔ハッチから身を乗り出した壮年の男。


青年はいつも通りの飄々とした笑みを保ったままにバイクを走らせているが、壮年の男の顔は優れない。



「しかもあの子供が、・・・何だっけか、クロノミコトだったか?」


「そうそう。最高位の神族5柱が1、『武神』クロノミコトってね」


「にわかには信じがたい情報だ」


「そうだね。・・・・っと、お。こっち向いた」



青年の細い糸目の圧倒的な視力が、200メートルは先の人影の顔を捉える。


こと視力に関しては、この青年の右に出るものは隊に1人もいないのだ。



「おーい。双眼鏡とってくれ」


「はいよー」



野太い声で返事を返した主砲砲手が、主砲塔内の狭いスペースに転がされていた無骨な双眼鏡を男に手渡した。


礼を言って受けとり、筒先を200メートル先に向けて覗き込む。



「おいおい・・・何の冗談だありゃあ」


「へぇ、肩で髪が切り揃えてるなんて。まるで女の子みたいじゃないか」


「そこまで見えるのかよ」


「当然さ」



壮年の男は青年の視力をひそかに羨みながら、いちど放した双眼鏡を再び覗き込む。



(しっかしまぁ・・・見れば見るほど女だな)



少年であると聞いていたクロノミコトとやらは、まるで少女のような容貌をしていた。


肩で切り揃えられた黒髪に、好奇心の強そうな大きな目。着ているコートもズボンも黒一色で、足には軍用のブーツを履いている。


腰に差した2本の刀と小柄な身長も相まって、美少女然とした容貌の少年は、どこか倒錯的なものを見る者に抱かせた。



「はてさて・・・か弱そうな子だが、はたしてあれで俺たちの相手になるのかね」


「さあ?どうとも言えないんじゃない?」



気付けば、部隊は少年からもう50メートルも離れていない所まで来ていた。


壮年の男は砲塔内に双眼鏡を放り返し、一応武神だという少年に対して失礼のないよう、自身の身だしなみを整えはじめた。








・・・・・・・・・


・・・・・








僕の目の前に現れた巨大な車輌は、すでに一度見たことがあるものだった。


この国に来た初日――要するに昨日だけど、軍事演習区に訓練に行くとかで街道を走行していたものに違いないだろう。



背後に装軌輸送車とサイドカーつきのオートバイを従えた、全身を灰色に染め上げた車体。


大小5つ、半ドーム状の砲塔が装備された巨大なシルエット。


・・・あと、主砲塔のハッチから降りてくるおじさん。よく見たらきのう僕に向かって手を振ってくれてた人じゃんか。



高さのある車体から飛び降りたおじさんは、やはり警備隊の制服の濃緑色の軍服。


あら、制服で軍服?むむむ。おかしいかな。まず軍服は制服か?


と、そのときだった。



「お初お目にかかります。私はレガルド王国第2機甲中隊隊長、モール・バシリスと申します。本日はこのような・・・・」


「わ、わわ、わばばばば」


「ん?クロたん?」



ものすごく慣れた感じに、あまりに自然にかしずくものだから対応が遅れてしまった。


僕の前にひざまずいて頭をたれ、うやうやしい礼と共にかしこまった自己紹介をするおじさん。


と、鳥肌が。鳥肌がたってイヤぁ。



「いや(かしこ)まるのやめてください。いやこれ本当に。もうなんだかへんな鳥肌が立ってしまってダメなんですよ」


「・・・・は?何と」


「えぇと、モールさんでしたっけ?本当にいいですから。だから立ってください。いやむしろお願いします」


「???」



何を言っているのか理解できないといったふうながらも、モール中隊長さんはいちおう立ち上がってくれた。



「あ、あとムダに畏まった口調もいりませんからね?もういっそのことタメ口で結構ですから」


「はぁ。わかりま・・・いや、わかった」



それでよし。


うん、これで僕の精神の平和は保たれた。めでたし。



「では・・・クロ、でいいのか?」


「はい!イースさんから聞いたんですか?」


「おう。昨日酔っ払って宿舎に帰ってきたと思ったらいきなり話しはじめてな。『イース語』・・・要は酔っ払ったイース独自の言語の事だが、それを習得したある諜報部のエリートによって解読されたんだ」



うぉーい。諜報部のエリートさん何やってるの。


酔っ払いの言語なんか習得しても何の役にも立ちそうにありませんが。どんだけスペックの無駄遣いをしてるんですか。



「いや、イースもあれでなかなか情報通として名が通っているんだぞ?素面(しらふ)では情報の対価を払わねばならんが、酔ってればよく口を滑らすから、色々と得するんだ」



ははあ、要はタダで有用な情報聞き放題と。なるほどなるほどそれはお得・・・・・なのか?


なんというか、もう少しよく考えたほうがいいと思いますが。



「むむ、しまったい。あたしゃ昨日のことまったく覚えちゃおらなんだな」



こっちはこっちでイースさん・・・どんだけ呑んだんですか。意識を失うまでとか。いくら丈夫なグールでも死ぬんじゃなかろうか。


というかなんで二日酔いしてないの。意識失うまで呑んでどうしてそんなピンピンしてられるの。すごい、すごすぎるよイースさんの肝臓。



「まぁそのことは別にいいんだ。本題に移るぞ?」


「あ、どぞ」


「これは今朝イースから聞いた話なんだが―――






―――――君が、我々の部隊と戦ってくれるそうじゃないか」







・・・・・・・



ちょいまち。


どうしてそんな話がでましたか。



「あのちょっと、イースさん?」


「うへへ、あまりに皆が信じてくれねーからついうっかりと」



お願いですからそんな軽いノリで僕を戦わせないでくださいませんか。



「いや、クロたんって今朝ギュルザ爺さんの店に行ったっしょ?なんでもこの世界の武器について知りたいとかで」


「ええ。行きましたが」



そう答えると、ここぞとばかりにずずいっと僕にすり寄ってきたイースさん。



「ならさぁ、ここで戦ってみるのもいいんじゃね?だってほら、この国の最新装備がワンサカあるじゃん。戦車にバイク、機関銃とか。・・・・ほら、この世界の武器について知るにゃあもってこいの状況じゃないのよ」


「・・・・!!」



な、なるほど。


たしかにそれはアリだ。


最新の装備があるということはつまり最新の戦い方が見られるかもしれないということで、しかも武器屋さんでは知ることのできなかった実戦での使用法をこの目で見ることができる。


うん・・・・アリだ。



「な?な?(たぎ)ってきたっしょ?武神サマの本能みたいなのにゾクゾク来るでそ?でそでそ??」


「・・・・はい!」



よし、ならここでちょっとぐらいはっちゃけてしまってもいいか。うん、いいよね!



「わかりました。やりましょう。何人だって相手して見せますよ」


「そうか!そうこなくっちゃな武神サマ。わが機甲中隊と、ウィーゼル機動小隊の精鋭部隊に勝てるかな?」


「ふふふ、やってみせちゃいます」



うん、じゃぁ全力で当たらせてもらおう。


で、このセカイの戦術と武器をこの目で!しかも実戦形式で!ぜんぶ見てやるぞぉ!!



そして僕は、今回の演習について説明を受けるためにニール中隊長に連れられ演習場へ。



わくわくしてきたぁー!








・・・・・・・・・・・


・・・・・・










「はーい、じゃぁ今回の演習についてざっくり説明するよ」


「おー」



ぺちぺちぺち、と僕の拍手が響く。



僕はいまニール中隊長に案内されて、あのでっかい多砲塔戦車の横にすわって話を聞いていた。


説明係を買ってくれたのは、『ウィーゼル機動小隊』の小隊長の人。


男の人だけど童顔で、歳も若く、まだ青年といっても差し支えないほど。頭にかぶった士官帽には、バイク用のゴーグルを装着していた。



「解説係はウィーゼル機動小隊隊長、ウィーゼル・ソミーアが担当します。どうぞよろしく」


「おおー」


ぺちぺちぺち。



終始ニコニコとした笑みを浮かべているウィーゼル小隊長は、笑みの形に細められた糸目をさらに細めて笑う。


・・・・見えてるのかなあれ。



「では、今回の演習に使う特殊システム・・・通称『MSPS』について説明しようかな」


「MSPS?」



なんだそれ。


聞いたことがないシステムだ。



「まぁ、聞いたことがないかもしれないね。でも安心して。このシステムは複雑だけど単純。だれにだってできちゃうから」


「複雑にして、単純?」



僕がそう言うとウィーゼル小隊長はうなづいて、背後にあった多砲塔戦車のサイドスカート・・・つまりキャタピラを守る幅広の鋼鉄の防弾板の表面についた機械油を、ぼろ布でがしがしと拭き取った。


拭き終わって、腰のウエストポーチから取り出したのは白のチョーク。



「『MSPS』・・・正式名称、『Magic(マジック)-Soldier(ソルジャー)-Practice(プラクティス)-System(システム)』、もしくは『魔導式兵員訓練システム』。10年ぐらい前に開発された、画期的な訓練システムだ」



かつかつと、濃い灰色の防弾板を黒板がわりしにしてスペルやらその訳をチョークで書き連ねていく。


ちなみに僕の後ろでちょっと微妙な顔をしているニールさんは見なかったことにしているらしい。・・・あとでちゃんと拭いとこう。あ、でも上まで手が届くかな。



「このシステムでは、殺傷能力のある兵器やその他武器を魔法で処理することで、実戦さながらに、かつ安全に演習を行う事ができるようにすることができるんだ」


「魔法で処理?」


「ああ、それについては実際に見てもらったほうが早いかな。・・・えーっと、この拳銃を見て」



そう言ってウィーゼル小隊長が腰のホルスターから取り出したのは、一丁の中型拳銃。


ホルスターに引っかからないように、ごく小さな照準がそなえられた上にトリガー前方のハンドガードが銃身のすぐ下までを直線的につないでいるので、銃全体が三角形のようなシルエットになっている。


7.65×18mm弾薬を8発装填できて・・・えーと、たしかそんなに売れたモデルじゃなかったような気が。


ウィーゼル小隊長は拳銃のスライドを引き、初弾を装填した拳銃を構えた。



「見ててよ・・・・ニール、覚悟っ!」



そして唐突に、ニール中隊長に向かってためらいなく引き金を引いた。


ぱんっ、と乾いた発砲音とともに、銃口から炎が()き出す。



「ぐぁっ!!・・・ぐっ・・・・無念・・・・・・・・・・・・・なーんてな」



着弾の瞬間、のけぞったニール中隊長の胸元で青い光がはじけて、消えた。


血はいっさい出ずに、またニール中隊長は傷ひとつ負っていない。うわぁ、なにこれ。



「僕がいま発射したのは、まぎれもない実弾。でもニールは負傷すらしていない。それの秘密は、この弾薬と銃本体にあるんだ」



拳銃の弾倉を抜き取って、装填された弾薬を1発抜き取るウィーゼル小隊長。


抜き取った弾丸を僕に放って渡してくれた。



「あれ?この弾薬・・・弾頭に魔方陣が書き込まれてますね」



よく見れば、弾薬先端の銅めっきがされた弾丸の先端部分には、小さな小さな六芒星の魔方陣が刻まれていた。



「そう。それこそが『MSPS』のミソさ。それで弾丸をモノに直撃する前に消滅させるんだよ。あ、でもさっきみたいにある程度の衝撃だけは伝わるんだけどね」



なるほど。


つまり、殺傷能力のある弾丸に魔方陣をきざむことで魔法を付加し、殺傷能力をゼロにする事で安全にしているのか。


でもいくらかの衝撃は伝わるんだな。あ、そうか。さっき撃たれてのけぞったニール中隊長も、拳銃弾の衝撃でのけぞっていたってことか。なあんだ、すごいハイレベルな演技かと思った。



「武器にMSPS用の魔法を付与するのはきわめて簡単。専用の装置を使って武器に魔方陣を刻み込むだけ。拳銃なら本体に刻み込んでおけば装填された弾薬に自動的に刻印されるから、凄く効率がいいんだ」



そう言いながら、胸元のポケットから新たに取り出した弾薬をいちど排莢口から銃に装填し、スライドを引いて取り出した。


取り出した弾丸には新たに刻まれた魔方陣が。


ウィーゼル小隊長によれば、アリスさんの持っているようなロングソードなどの剣も、機械を通せば殺傷能力ゼロの武器に早変わりするんだそう。便利な魔法だ。



「MSPS戦について、大まかなことはわかったかな?よし、細かいことは後で説明するとして早速君の武器に魔方陣を刻んでみよう。というわけで・・・はい、これ」



一通りの説明を終えたウィーゼル小隊長がウエストポーチから取り出したのは、銀色をした手のひらほどの金属板。


金属板には魔力が込められているらしい。あれか、あのミスリルとかいうトンデモ金属だな。たぶん。



「これは警備隊の貸し出し品。後で返してね」


「これはどうやって使うんですか?」


「ん?ああ、簡単だよ。武器にかざして魔法を込める。その金属板の魔方陣が光ったら刻印完了さ」



へぇー。


さっそく僕のマチェットの刀身にかざして、魔力を流し込んでみると、3秒ほど魔力を流し込んだところで魔方陣が青く輝きはじめ、刻印が終了。


刀身を見てみると、そこには金属板に刻まれているのと同じ、六芒星の魔方陣が。


なるほど、魔力を流すと魔方陣が転写される仕組みになってるわけだ。おもしろーい。



「じゃあクロくん。詳しいルールはまたみんなが集合したときにお知らせするから、自分のメインウェポンに魔方陣を刻んでおいで」


「了解です。後でまたここに戻ってくればいいですか?」


「うん。いまから10分後にミーティングを始めるからね。じゃぁ、また後で!」





その後は自分のバイクを整備に向かういうウィーゼル小隊長と別れて、僕はひとり林の中へ。



なぜ林の中かって?



もちろん、僕の「武器」を誰にも見られないようにするため。






うん、こういう時ってのは、やっぱりサプライズが一番でしょ!










イース「ヘッ、ちょろいぜ」

アリス「・・・くたばれ(バキィ」


プロットで決まっていた人外四人娘の3人目まで登場です。

第三王女すら凌駕する巨乳の持ち主でしたとさ。めでたしめでたし。


さて、今回出てきた兵器は(登場順で)


・T-35(多砲塔戦車)

・BMW・R-75(側車つきオートバイ)

・モーゼル(マウザー)HScピストル


です。


戦車とバイクは既出なので省きます。詳しくは一つ前の閑話を参照の事。


モーゼルHScは・・・マイナーなのかな。よく分かりませんが、ドイツ空軍の将校向けに納入された以外はあまり売れていないとの事。

ホルスターに引っかかりにくくするために三角形のデザインをとったことによって色々と犠牲にした感があるからですかね。個人的には好きなんですが。


次回、クロちゃんが無双します。まぁ流れでいったら当然か(苦笑


※来週は少し忙しいので、(また・・)更新が遅れるかもしれません。申し訳ないです。


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