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クロの下界冒険記~神→冒険者?~  作者: UNKNOWN
1章 あれです、プロローグです
2/41

プロローグ 2

2話目です。


GWも今日で終わり・・・世は無常なり・・・



※4.29 9:30・・欠けていた使い魔関連の文章を追加しました。

※2015年1月2日改稿しました。

 そう広くはない空き部屋に、所狭しと服が並べられている。


 あの後、見事にノせられここまで運ばれて、僕はキザミ姉さんの用意した服の中から自分に合いそうなものを選んでいた。

 こういう時って、諦めが肝心だよね!たった2000年ぐらい姉さんたちと会えなくなるぐらいボク平気だし!!


 ……うぅ、ポジティブになりきれない。


 とりあえず、姉さんは僕の名前にちなんで黒系の服ばかり(というか黒系しかない)を用意していた。

 でもまぁ、黒色はキライじゃないからいいけどさ?なんとなく、手近にあったシャツを着てみる。


(おお、ピッタリ。さすがは姉さん)


 ピッタリでもないしダブダブでもない。まさに絶妙なところを突いたサイズだ。……なんで姉さんが僕の服のサイズを非常に正確に把握してるのかという疑問はこの際置いといて。


「シャツはこれに決めるとして、後はズボンだズボン」


 ひとりごちて、次はまたも手近にあったズボン(やはり黒)を着てみる。

 これもピッタリ。この様子だと一々サイズを確かめるまでも無いみたいだね。


(次は……)





・・・・・・


・・・





 あれから10分ほどして。


 僕は、下界に行くための服装に着替え終わった。

 黒の長袖シャツに、黒のカーゴパンツ。Tシャツの上にはこれまた黒のフード付きのロングコート。なぜかコートだけが少し大きめだったからフードを被れば目元までが隠れてしまうけど、そこは妥協した。あんまり選り好みしても仕方ないしね。

 靴はいつも履いている黒色の半長靴。要は軍用のブーツで、材質も透湿性能に優れた化学繊維製で丈夫。履き心地もよくて気に入ってる。


 元の法衣のような服から着替え終わったあと、姿見を魔法で召喚して自分を見てみた時の感想は、


「うわっ……通報されそう」


 この一言に尽きる。



 ……悲しいかな、他に感想が見つからなかった。






・・・・・・・


・・・・






 その後、姉さんたちに自分の服装を見せてみたら、



「似合ってるじゃないの」(ミササ姉)


「いいんじゃねぇか?」 (カルム兄)


「さすが私、サイズぴったりね!」 (キザミ姉)



 ……誰も怪しいとも何とも言わなかった。

 何となく思ったんだけど、我らが神界では高位になるほど常識が無くなっていく傾向があるのは気のせいだろうか。


 メグル姉にいたっては、


「あ、クロにはそういう趣味があったんだね。いや、みなまで言わなくていいさ。ボクには分かるから!うん、そうだ。そんなキミにはこれをあげよう!いや、礼には及ばないからさ!うん!!」


 なにやらひとり納得したようで、僕になにやら真っ黒な覆面っぽいものを渡してきた。


 ……。


 なんだろう、メグル姉は何かきっと重大な誤解をしてると思う。

 とりあえず貰った物を(その場で)捨てるのもよくないので、素直に着けてみる。


 ……おぉ、デザインが怖い。


 太古のニホンで(いくさ)のときに使われていたというその仮面は、どうも見る人全てを威圧するような、そんな雰囲気があった。

 これは普段は装着せずに魔法をつかって無限に物が入れられる異次元ポケットにしまっておく。このポケット、無限に物が入る上に大きさ、重量に制限が無いのでとても便利だ。性質としては某青ダヌキの便利なポケットによく似ている。



 さて、半分忘れかけてたけど今度は護身用の剣でも装備しようかな。





・・・・・・・・・


・・・・・





 自室に行って、物置の中に所狭しと並べられている剣の中から今回の相棒を探し出して引っ張り出す。


(まさか、本当に使う日が来ようとはね・・・)


 僕が取り出した剣は2本。


 一つは、光沢のある漆で仕上げられた、滑らかなカーブを描く鞘に収められた『日本刀』。


 もう一つは、刀身に黒色のマット仕上げがなされ、樹脂製の鞘に収められた山刀、『マチェット』。


 この2本は、下界では"武神"を象徴する武器とされている。

 僕の持つ刃物の2本のうち日本刀は、それぞれ僕固有の魔方陣が柄頭(つかがしら)に埋め込まれており、僕以外の人が抜けばキザミ姉曰く、『めっちゃエグい事』が起こる仕組みになってるらしい。誰にも触らせたことが無いからわかんないけど。


 というか抜いたらどうこう言われるこの刀、実は中で刀身が錆びでもしているのか抜こうとしても抜けない。鞘の端を持って振り回しても、外側から金づちでガンガン叩いても、重機関銃で撃っても機関砲で撃っても抜けたためしがない。

 壊れないのは不壊属性が付与されているからだけど、抜けないのはおかしい。

 なんでだろう?


 その身分証みたいな役割の2本を、腰に巻いたベルトに武士の2本差しの要領で挟んでおいた。



「あ、そうだ。忘れるところだった」




 自室の窓から身を乗り出し、指笛を吹く。




「おいでージルー」




 すると数秒置かずに、バサバサッ!と羽音を鳴らしながら、飛んできた1羽のカラスが肩に止まった。


「何です?私はゆっくりしたいんですがね?」


 こいつの名前はジル。僕の使い魔だ。本質は神界に住まうカラスなんだけど、そこそこ魔法も使えるし、人の姿に変身することだってできる。

 そして何より、


「ちょっとマスター聞いてるんですか?それとも聞こえてないんですか?ああまぁそうですよね。何万年も生きてたらいくら神でも耄碌(もうろく)しますよね。そうでしたそうでした。いや失礼。私の配慮が足りないばかりに」


 ……カラスというか鳥類はおろか、使い魔の中でもマスターに対してこんな口の利き方をするやつなんていないと思う。きっと世界最初で最後だよね……。

 カルム兄だって、『こんなに焼き鳥にしてやりたい鳥は他に存在しねぇ』なんて言ってたぐらいだし。しかも割と目がマジだった。


 いや、悪いやつじゃないんだよ?


 ……たぶん。


 もちろん僕はこいつを下界に連れて行くつもりだけど、そういえばまだ事情を説明していなかった。


というわけで、


「ねぇジル、ちょっと聞いてほしいことが」

「おお、聞こえていたんですかマスター。耄碌して聴神経がぶっちぎれてしまったのかと思いましたよ。で、何です話って?そうです、耳が聞こえてるならプリンくださいプリン。お腹が空きました」


 なんとなくジルのセリフの4分の3をスルーする。


「うん。実は僕、ちょっと下界に行かなきゃいけない用事ができてしまってね?」

「…………は?」

「うん、だからね?僕が下界に」

「い、いえ耄碌したマスターじゃあるまいし、ちゃんと聞こえています。聞こえていますともええ。……で、何したんです?」

「何って?」

「え?マスターが姉上御用達の菓子を盗み食いしたとか何とかで厄介払いされたってコトじゃないんですか?」


 盗み食いってジルじゃないんだから……こないだも隠れて冷凍庫のカップアイス食べたの知ってるぞ?しかも僕の名前書いてあるやつだけ。


「違うよ。メグル姉さんが世界を増やしすぎて管理不能になっちゃったんだってさ」

「あぁ、あの微妙に知能が足りないボクっ娘ですか。何となく話が見えました。……しかし、八百万の神々でさえキャパシティーオーバーなんてぞっとしない話ですねぇ」

「まぁ、それについてはいいんじゃない?僕一人を派遣するだけで済む話なんだし」


 そう言ったら、なぜかジルに呆れられた。


「マスターは何と言うべきか、相変わらずですねぇ……」

「え?なんで?」

「いえ、どうせマスターですから。いや、マスター程度では気付くはずもないですよね。はい。いやはや全くお人好しな事で」


 ……ジルは何の話をしてるんだろう?嫌味か皮肉っぽい口調だけど、何か違う。

 でもとりあえず、僕一人よりはジルがいたほうが心強い。ジルの話はさておいて、ひとまず誘ってみる事にした。


「まぁ、その話は置いておいて。どうジル?来たくないなら別にいいけど、一緒に来ない?」


 そう言ったら、なぜだか今度は呆れを通り越して失望したみたいな目を向けられた。

 ……うーん、何でなのかさっぱりわからん。もう長い付き合いなのに。


「いやマスター、私使い魔ですから」

「知ってるよ?」

「主人の元を離れられる使い魔なんてどこに居るんですか?」

「え?でもジルだって毎日外で飛んでるでしょ?」

「いえ、それもそうですがそういう事ではなく……」


 どゆこと?なぞなぞ?


「……はぁ。承知しました。お供しますよ。しますともハイ」

「なんか投げやりになってるけど大丈夫?」

「もういいですから。私の脳内を呆れで埋め尽くして殺す気ですかマスター。…………しかしマスターと二人っきり………フフ」

「ん?なに?」

「知りません。ほらマスター、早く」


 なぜか上機嫌になったらしいジルは僕を急かす様に先に飛んでいった。

 ホント何なんだろう?


 ま、ジルの気まぐれはいつもの事だし……気にしないほうがいいかな?これで準備も完了したんだし。

 あとはゲートの入り口を通って下界の「出口」に転移するだけだ。



 僕は、姉さんたちが集まっているであろうゲートの入り口のある間へ歩を向けた。





・・・・・・・・


・・・・・





 ゲートの入り口には、姉さんたちが集まっていた。

 そして各々、揃って心配そうな顔をしていた。


 さ、さっきまで自分が行かなくていいからって喜んでたくせにぃ!


「まぁキミは強いしそんなに心配は要らないと思うけど、危ない目に合わされたら相手をぶっ殺しちゃってもいいんだからな?」


 メグル姉さん、神がそんなこと言っちゃダメです。


「いっそのこと下界の時間の流れを倍にすれば世界が滅びるまでの時間も半分に……ハッ!?」


 なにやら恐ろしい事を思いついたらしいキザミ姉。それは職権乱用というやつです。いけません。


「なぁクロ、あの世界の仕事だけサボってやろうか?」


 カルム兄さん、戦争が起きますから絶対NGです。



「こいつら・・・こんなんでよく神とやらが務まりますねぇ?」


 こらジル、そんな事言わない。僕だってたまに思ってることなんだから。



「じゃぁクロ、そろそろ転移陣を起動させるけど・・・・いいわね?」



 あぁミササ姉さん、姉さんがが平常運転で助かりました。


 もう行くつもりだし決心も出来ている。あとは行くだけだ。



「はい姉さん。……行きます」



 僕はそう言って、転移陣を起動した。

 転移陣から光が溢れ、僕とジルの体を覆い隠していく。


 と、そのとき不意にミササ姉の声が聞こえた。



「大丈夫よクロ。もし何かあったら全生物の知能を消して全滅させてあげるんだから!」



 あぁ、ダメだこいつら何とかしないと……あと数千年後に。





 四面楚歌―――そんな四字熟語が浮かんだのを最後に、僕の意識は闇に消えていった。








半長靴あたりから作者の脳内の雲行きが・・

服装ネタは作者の中二心をくすぐりますが現実にやると痛くなる不思議。


ところで、クロの姉たちは別に薄情なわけではなく、なにか別の意図があっての事…であります。薄情なわけではない…と、思います。たぶん(笑




とりあえず、次話でやっとこさクロが下界に転移します。

更新は・・・とりあえず今週中に出来ればいいなぁ・・・。


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