3話 いろいろわかって
しまった・・・週末に投稿できなかった・・・!!
理由は活動報告に書きます。本当に申し訳ありません。
重い沈黙がたちこめるギルドマスターの部屋。
どうもさっき金属板に手をかざして僕の紋章を表示させてしまった辺りからみんなの視線が痛い。
「・・・・どういう、こと・・・?」
まだ若干青い顔のまま、ヒタキさんがつぶやく。
「えっと、いや、だからですね?天界でいろいろあったから派遣されてきたんですよ本当に」
金属板に紋章が表示されてからというもの、僕はずっとこの調子で説明を繰り返していた。
ヒタキさんが言うには、どうやらあの金属板はミスリルとかいう金属で作られた特殊な物だそうで、神、もしくはそれに準ずる者が手をかざしたまま魔力を流し込むと魔方陣が発動、手をかざした者それぞれがが持つ紋章を浮かび上がらせるというものらしい。
僕の紋章は「交差する太刀とマチェット」。
この世界で「クロノミコト」と呼ばれて祀られてる「最高位神」の一人の象徴。
「で、その、なんといいますかその、天界から転移してきたらよくわからないけどたぶん神社?みたいなところに出てきて」
「・・・で、その後マスターは誰かさんに長刀で昏倒させられまして」
ニヤニヤしながら言うジル。いいから。そういうのいいから。
で、視線を前に戻してみると。
「・・・・(ガタガタガタ)」
ヒタキさんがものすごい勢いで振動していた。
これってあれだろうか、シバリングってやつかな。寒いのこの人?
「あの・・・ヒタキさん?寒いんですか?震えてますけど」
そう言ったら、
「ももももももももうしわけございませんっ!!!」
ズダーン!!とものすごい音を立ててヒタキさんがその場に正座し、頭を床にこすり付けて土下座。
さすがにビックリ。
「ど、どうしました?」
「私ときたら、クロノミコト様を無礼者呼ばわりした挙句、あまつさえ危害を加えてしまうなど・・・!!」
「・・・へ?」
そういえばそんな事もあったのかな。あ、転移してきた直後か。
たしか、僕がちょうど中を確認しようとして祠の扉にに手を掛けたのと同時に誰かが部屋の扉を開けに来て・・・あ、もしかして。
さりげなく、ヒタキさんの胸を見てみる。
「あっ、あなたはもしやあのときの巫女さん!?」
思い出した。
僕を長刀の峰で昏倒させたあの巫女さんも胸が小さかった!
「さすがはマスター、胸で人を識別するとはやはりアホですね」
後ろからジルの声が聞こえてくるけど気にしない。
我ながら胸を見て人を思い出すってどうなんだ。
「申し訳ございません申し訳ございません申し訳ございません申し訳ございません!!!」
さっきからものすごい勢いで謝り続けるヒタキさん。
さすがにちょっとかわいそう。
「いえ、別に気にしてないんで。・・・だから顔を上げてください」
そう言ったら、謝罪の連射が止まった。
「ほ、本当・・ですか?」
「いや、本当も何も。だってあそこにあったのって大事な物だったんでしょ?」
「はい。ご神体ですから!」
ガバッ!と顔を上げたヒタキさんがきっぱりと言う。
『ご神体』って・・・ああ、僕の紋章が刻まれた何かか。
僕も何が入ってるか知らないから見たかったんだけどねー。
「ならいいじゃないですか。ただ大事なものを守ろうとしただけなんだし」
「な・・・なんと懐の深いお方なんでしょう!」
「うぐっ・・・」
「ありがとうございます!ありがとうございます!!」
なんか・・・あれだなぁ。さっきから、クロノミコト『様』だったり、この『お方』だったり・・・・
そういうの慣れてないからやめてほしいんだけどな・・・なんか僕が偉い人みたいじゃないの。
あ、偉いのか。ぼく神か。そうだった。
「えっと・・・その、そちらのほうはもうよろしいですか?」
遠慮がちに、こっちのことを気にしながらギルドマスターのミーアさんが話しかけてくる。
さっきと口調変わってるし。
とりあえずは気にしないでおこう・・・。
「あ、はい。なんですか?」
「貴方は本当に・・・その、武神『クロノミコト』様なのですか?」
「そうですが」
なんか疑われてるのかな?
「・・・そうですか。では申し訳ありませんがそちらのソファーにでも座ってお待ちになってください」
そう言ってミーアさんは立ち上がり、僕らが今居る部屋の隣にある執務室みたいなところに行ってしまった。
特に何をするでもないので、部屋の右端に向かい合うように配置されたソファーの一つに座る。ジルも隣に座ってきた。
ところで、誰もソファーに座りたがらない。どして?
「皆さんも座りませんか?ずっと立ったままっていうのもどうかと思いますし」
「うーい。そんじゃお言葉に甘えて」
イースさんが僕の対面側にあるソファーにドサッ、と座った。
「うぉ、やーらけーなこのソファー!」
なにやらソファーの座り心地が良かったらしくご満悦のようす。
「ほらライオットさんも、王女様も、ヒタキさんも。お座りになってはどうですか?」
僕の部屋でもないのになんかこの流れはおかしいと思うんだけどなぁ・・・
なぜかイースさん以外の3人が座ろうとしなかったので声をかける。
「・・・では、失礼して」
小隊長も向かい側のソファーに座り、ヒタキさんもイースさんの隣に座った。
あれ、王女様は?と思っていると。
「あらこれは困りましたわね。あちらのソファーはもう一杯ではありませんか(棒)」
なんなんだその棒読みは。
「仕方ありませんわ。では少し失礼して」
そう言いながら、僕の隣、しかもかなり近いところへ腰を降ろしてきた。
向かい側では、ヒタキさんが口に手を当てて「神を相手にあの所業・・・!」なんて言っている。
別に隣に座るぐらい普通だと思うんだけど。そうだ、この際だし、言っておこうかな。
「あの皆さん、ちょっといいですか?」
「何さー」
代表してイースさんが答える。
うん、やっぱり僕はこんな口調で話しかけられるほうが好きだ。
「僕の名前に『様』を付けたり、あと僕に対して無駄に敬語なんて使わなくてもいいですから。慣れないし、むしろ普通の口調で話しかけてくださったほうが僕としてはありがたいです」
まぁ、イースさんは敬語なんて最初から使ってないけど。特にヒタキさんとかに敬語使われると精神的になかなかきつい。
見た目だけとはいえ同い年や年上の人に敬語を使われるのって、なんか嫌だ。
そう思って言ったものの。
「いえ、しかし、仮にも最高位神であらせられる方にそのような非礼は・・・」
渋るライオットさん。ヒタキさんにも同様に、やんわり断られた。
むぅ、これはどうしたものか。
と、そう思っていたら。
(マスター、私にいい考えが)
ジルが耳打ちしてきた。いい考え?何だろう。
(ここは私にお任せください)
なんか自信がありそうだったのでジルに任せてみる。
「えー、コホン。ではこうしましょう」
話し始めたジルにみんなが注目する。
「マスターに対して皆さんが不自然に堅苦しい口調で話さないと誓えば、マスターをしばらく好きにしてあんなことやこんなことをできる権利を与えます。これでいかがでしょう?」
・・・・
・・・・・はぁ?
(ちょっとちょっとジル!)
(何です?)
(いや『何です?』じゃなくて!なんて提案してるのさ!!)
(まぁ安心して見ていてくださいって)
今の提案のどこに安心できる要素があるんだよ。
そう思ってまたジルに言い返そうとしたとき。
「では私、もう堅苦しい言葉など使いませんのでクロ様を好きにいたしますわ」
え゛っ、王女様!?
言うや否や、僕の両脇をガシッ!とつかんだレミリアさん。
「どーぞどーぞ」
こらジル、ニヤニヤしながら許可するなぁ!
結局、なす術も無くレミリアさんの膝の上に座らさた上に抱きつかれた。ああもう、僕は猫じゃないんだから。
背中に当たる大きな2つの感触が・・・おふぅ。
あ、もうなんかこれもアリかもしんない。とりあえず抵抗しない事にする。
視線を前に向けると、今にも気絶しそうな顔をしたヒタキさんが虚空を見つめていた。
隣ではライオットさんが、
「じょ、女王殿下がそうおっしゃるのであれば・・・致し方ありませんな・・・」
と漏らした。
女王様の権力すげー。
イースさんは相変わらず向かいのソファーにだらしなく座っていたけど、その隣ではヒタキさんがもう目を白黒させてそれはそれは大変な事になっていた。
巫女さんってのも大変なんだねー。他人事?気にしない気にしない。
そうこうしていると、なにやらどこかへの連絡を済ませてきたらしいミーアさんが戻ってきた。
「お待たせいたしました、クロ様」
それを聞くなり、だらしなく座っていたイースさんがガバァ!!と立ち上がり、
「おっとぉねーちゃん、ストップストップ!」
「・・・・何?」
「クロたんに変な敬語と『様』は不要なんだぜぇ?硬いのノンノン」
チッチッチッ、と舌を鳴らしながら人差し指を傾けるイースさん。
どうでもいいけどクロたんって何だ。
「・・・・はぁ?」
うんまぁ普通そうなるよね。
仕方が無いのでまたジルが説明した。
「最高位神に対して、硬い口調の禁止と、『様』付けの禁止、ですか。できない事でもありませんが・・・」
「うんもうそりゃフランクに。タメ口聞くぐらいで良いのよコレ」
多分それができるのはイースさんぐらいではなかろうか。
「・・・善処します」
あいまいに言葉をぼかして返答するミーアさん。
まぁでも普通に話したいってのはあるから、タメ口でも別にかまわないっていうかそのほうが良いんだけどな。
「お願いします。で、どこかに連絡していらっしゃったようですが・・・」
僕がそう言うと、なぜかミーアさんの顔に申し訳なさそうな色が浮かんだ。
「申し訳ございません・・・。その件なのですが、この後また少し馬車に乗っていただく事になりそうです」
「また移動ですか?まあ、別にかまいませんが」
「申し訳ございません」
「いいですって。で、どこに行くんです?」
そう聞くと、ミーアさんの表情がすこしだけ曇った。
何、そんなにヤバい所に行くの?
「レガルド国立中央神社、です」
なんだそれ。
危険さなんて皆無っぽいんだけど。
正面を見ると、ヒタキさんが青い顔をして固まって、その隣のライオットさんも苦い顔。
あれ、ちょっとまって、わけわかんない。
「なるべく早急にお連れするように言われましたので、申し訳ありませんがすぐに馬車に乗っていただきます」
「は、はぁ」
「では、こちらへどうぞ」
さっき入ったドアを開けて僕らを促すミーアさん。
え、でもちょっと待って。
「レミリアさん、とりあえず放して「嫌ですわ」くださ・・・ぃ」
そのまま抱き上げられて運ばれる。多分ハタから見たら猫を抱きかかえて運んでるみたいに見えるだろうな・・・。
そして僕たち一行は、レガルド国立中央神社へ向かう。
・・・・でも、なんだろう。
僕は運ばれながら、さっきから何か変な気配というか・・・そんなものを感じていた。
今回はつなぎというか、そんな話です。
・・・武器、早く出してぇー。




