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クロの下界冒険記~神→冒険者?~  作者: UNKNOWN
2章 なんだろう、降臨?
11/41

閑話2 ほんの少し前、地上にて

閑話2、です。

意地で投稿。明日の朝つらいんだろうな・・・


久しぶりにpv見てびっくりしました。何や、7600アクセス・・・あれ、多いのか少ないのか分からんぞ(笑


初めての作品ですがこんなに見てもらってうれしい限りです、はい。頑張ります。

――――レガルド王国、中央ギルド南部支所。




国内では有数の大きさを誇る石造りの建物の中で、昼前にもかかわらず職員たちが慌しく仕事に励んでいた。



ギルドといえば冒険者へのクエストの斡旋やさまざまな依頼人からの依頼の受付などを請け負っているイメージだが、大体ここもイメージどおりのギルドである。


ただ少し違う部分を挙げるとすれば、クエストの斡旋に加えて一部で役場のような役目も果たしており、住民からの配達物の受け取りや苦情の受付、そして国の機関から請け負った税金の徴収や出入国の管理なども行っているというところか。



そのギルドの二階部分。



いくつかの小さなスペースごとに分けられたフロアの隅の、一際小さな窓際のスペースで作業するひとりの青年の姿があった。


連結された二つの机の一方はうず高く積まれた書類の束やその他雑多なものが置かれ、もう一方の机には等間隔に並べられたインターホンの受話器と、ブックエンドでいくつかの厚めの本が立ててある。


椅子はひとつ。


青年が一人で管理するそのスペース、もとい部署の頭上の天井からは白地に赤で「入国管理課」と書かれた木製のプレートがぶら下がっていた。




レガルド王国、入国管理課。




最近になって国から業務を委託された部署のひとつで、管理しているのはすこし顔色の悪い、しかし気のよさそうな平凡なギルド職員の青年、ロナウド・ウォード。


入国管理課とはいっても、門番の兵士からインターホンへ時々、本当に少ない頻度でかかる問い合わせに答えればいいだけだ。その内容も、机の上に立ててあるマニュアルの内容を見れば答えられるため、さほど難しい仕事ではなく、新米のロナウドでも十分にこなせるものでしかない。



しかし、書類の処理などの必要が無い簡単な仕事のはずなのに机ひとつが丸々書類の山で埋まっているのはどういうことか。


理由は単純だ。


それは、ロナウドの親友であるこの国のひとりの門番によるものだった。



門番の彼は、勤務時間内にもかかわらず町の屋台にふらりと出かけていったり、たまに門を通りがかった強そうな冒険者に試合を申し込んでコテンパンに()していたりするため上からの叱責が絶えず、毎日のように報告書やら反省文やらを書かされる。


しかし彼はロナウドの幼馴染であった。ものすごく仲がよかった。


彼はめんどくさがりな性格だった。微妙に悪だくみ関してだけは頭も回った。


対してロナウドは人がよかった。親友である彼の頼みとあれば断る事はほとんどなかった。





結果。



(この度の私の行動は軽率に過ぎるものであり、また周囲からの制止を聞かず行った私の行為は入国管理の業務、ひいては国の保安を妨げる行為である事を深く認識すると同時に反省し・・・・こんなもんかな?)



人がいいロナウドは、仕事の合間に親友の反省文を書いてやる事が日課となっていた。なってしまっていた。



(あいつ、また仕事を抜け出して賭博場に行ったのか・・・。まったく、飽きないなぁ・・・)



頭の中では愚痴をこぼしつつも淡々と反省文やら始末書やらを処理していくその姿に、友人への嫌悪やイヤミは感じられない。


本人はこれが普通だと思っているが、まわりからしてみれば最早聖人である。



そんなこんなで、ロナウドは職場の皆から一目置かれる存在だった。



そして2時間ほど経って、彼が何枚かの始末書を片付けたとき。




カラン、カラン・・・



「お、もう正午か。・・・ああ、肩がこったぞ。あとで湿布でも貼っておこう」




この国では、正午になると町のいたるところにある鐘が鳴る。


ギルド職員の大半はここで1時間ほどの昼休みだ。


ロナウドも例に漏れず、昼休みのうちに建物の外にある定食屋に行こうと椅子から腰を浮かせた。



と、その時。




プルルルル、プルルルル、プルルルル・・・




「あれっ?」



唐突にインターホンのベルが鳴り出した。



(?・・・おかしいな。あいつには昼休みには電話するなって言ってたはずだぞ?)



ロナウドはちょっとした違和感を覚えつつも、とりあえず受話器に向かう。



彼の親友である例の門番は東西南北、それぞれの方角に一つずつの計4つある門のうち東側の門に詰めている。


そして4つあるインターホンの受話器にはそれぞれ「東」「西」「南」「北」と書かれており、それぞれが書かれた方角に対応した門に繋がっていた。つまり、親友の門番からは「東」と書かれたインターホンに着信があるはずなのだが―――



(・・・え!?)



彼は、着信音が鳴っているインターホンに書かれた方角を見て、ひどく驚いた。



その着信は彼の友人の詰める「東」ではなく、誰も詰めて(・・・・・)いないはずの(・・・・・・)「南」からだったのだ。



南門は、基本的に人が通らない。いや、通れない(・・・・)



なぜなら南門が面している「ダスタ砂漠」には大型で強力なモンスターが大量に生息し、腕利きの冒険者でも生きて帰った者はほとんどいないからだ。


そんな場所を一般市民が通れるわけもなく、何年も前から旅行者も通らず、通るとすれば命知らずの冒険者ぐらいである。ちなみにここ数年の内でも何人かを送り出しはするものの、帰ってきた者は一人もいない。死んだのだろう。



そんな場所だから門番もそこに詰めるのを嫌がり、ついには脱走するものまで現れたため、7年ほど前に南門だけは常に固く閉じられ、門の外にある詰め所も無人のまま放置されるに至った。


しかし詰め所の中にある業務連絡用の入国管理課直通のインターホンは、もしも入国を希望する者が現れた場合に備えて一応残され、係員を呼び出すためのインターホンに転用されている。




そんな「(いわ)くつき」の南門からの着信。



もしかしたら今まで送り出された冒険者が生き残っていたのかもしれない。


もしくは、ただ国の周りを隙間なく囲う防壁に沿って進んだ果てにたまたま無事にたどりついた人間かもしれない。


そしてその門には怪しい噂もあった。南門は、「神が通る門」だというのだ。


まあ、神ほどの存在になればインターホンなんか押さないで通るだろう、とロナウドは考えていたので、噂の事はあまり気にしなかった。



しかし今まで何年も鳴った事のないインターホンである。つい人知れず、緊張してしまう。


鳴り始めて1分ほど経ってもいまだに着信音が鳴り続けるインターホンを見据え、恐るおそる、その受話器に手を伸ばし、取った。



「・・・もしもし、こちら入国管理課です」



おもわず緊張した声が出てしまう。



『やったジル、人だよ人!』



受話器の向こうから、どうも年端も行かない子供らしい声が聞こえてきた。


少年のような少女のような、どちらともつかない声だが子供であることは間違いない。


しかしそうなるとますますおかしい。どうして子供が防壁の外、ましてや南門の外にいるのか。


受話器を耳につけたまま話しているらしく、向こうからは連れの者らしい低めの女の声も聞こえてきた。声からして少年より年上か。


とりあえず話しかけてみる。



「あの、もしもし?」



こちらの声に気付いたらしい。話が止む。



『あ、すみません。えっと、入国したいんですが、何か手続きとか要るんですか?』



この国に籍を置く国民が防壁の外から内部へ入るとき、通常は「帰還」という言葉を用いる。


そしていま、確かにこの子供は「入国」と言った。つまりそれは子供がこのレガルドの国民ではない事を示唆する。


ならこの子供は、本当にあのダスタ砂漠を越えてきたというのか?いや、それはありえない。ありえるわけが無い。


それなら何か?



(・・・いたずら電話か?)



本当ならインターホンは詰め所の中にあり、門番がすぐ前にいるためにいたずら電話などできないはずだ。


しかし彼は、聞かずにはいられなかった。


だいたい、たった2人であのダスタ砂漠から帰還できるという事から信じがたい。



「すみません、少し確認させていただいても?」


『確認・・?いいですよ。あ、武器の持ち込みは禁止だったりするんですか?」



武器を持っているのか。どんな武器だろうか?


だけど聞きたいのはそこじゃない。



「いえ、武器の持ち込み規制は当国にはございません。・・・今、あなたは門の前にある小屋にいますか?」


『はい、そうですが?』


「誰もいませんでしたか?」


『え、はい。いませんでしたが・・・』


「では、その小屋の入り口の扉に何か書かれていませんでしたか?」


『え?・・・『南口ゲート・特区』って書いてありますね』



なんて事だ。まるで意味が理解できない。


「特区」というのは南門が無人化されたときに加えられた単語で、「門番がいない、無人の特別区画」という意味だそうだ。


しかしこの名称は門の前の小屋に書かれている以外に使われておらず、市民はもちろんギルドの職員でもあまり知られていないものなのだ。



つまり、この子供は確かにあの南門の前にいる事になる。


正直、気味が悪い。何か亡霊の類ではないか、とロナウドは思った。


幸いな事に、もう後は特に確認する事もない。それに、あんな危険な場所に入国希望者をいつまでも待たせておくのはさすがにマズい。もう、あとはいつも平和で暇そうな国の警備隊に任せるのがいいだろう。



「・・・・少々お待ちください。すぐに担当者を向かわせますので」


『?はぁ、わかりました。お待ちしております・・・?』




受話器を置き、息をつく。




(何なんだ、本当に。訳がわからないぞ・・・)



この国の者でないであろう年端も行かない子供が、たった一人の女と共にダスタを超えて南門まで辿り着く。



もうこれだけで意味がわからない。ありえない。



昼休みになり、人気の無くなったフロアの中でしばらく考え込んでいたロナウドだったが、しばしの逡巡の後、王国軍警備隊の隊長に南門の開門を要請すべく、フロアの壁に掛けられた業務連絡用のプッシュホンを取ったのだった。









それから十数分。



得体の知れない奇妙な子供、もとい高位神で武神の少年とその使い魔は、晴れて入国する事が叶ったのである。















ロナウド「すみません隊長、南門開けてください」


隊長「お前頭おかしくなったんじゃねぇの(笑)」


ロナウド「・・・・」



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