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まとめてみました

風邪ひきと☐☐の出会い

作者: 風紙文

アイツは、今年もまたやって来た



「やぁ、また会えたね」



アイツは会えたことを喜んでるみたい



「ちょうど一年ぶりか、元気だった?」



でも私は、正直願い下げ



―――早く、いなくなってくれない?



「おいおい、せっかく一年ぶりに会ったのに、ヒドイじゃないか」



―――別に、合いたかった訳じゃないもの



「素直じゃないね。去年も、その前、更にその前だって、会いに来たっていうのに」



―――そもそも、それがおかしい



「? というと?」



―――去年も、その前も、更にその前も、いなくなった筈なのに。アナタはまた、何事もなかったように次の年には現れた



「あぁ、そういうこと」



簡単なことだよ、とアイツは言葉を続ける



「毎年来てるのはボクだけど、現れてるのは毎年、中身が違うんだ。確かに毎年、ボクはキミに治される。でもその一年後には、キミはまたボクを呼んでいる。中身は違うけど、内容は同じ。そういうことだよ」



……全く分からなかった



「毎年長さがまちまちなのはそういう理由さ、長引くものもあれば、3日と経たず治るボクもいる。中身は違えど、キミがボクを貯めるから、こうしてボクは現れるのさ」



―――そう



全然分からなかったけど、返事しておかないと、ずっと話してそうだったから頷いておいた



「というだから、今年もまた、会えたね」



―――そうね



別に嬉しくない。むしろ、今は行動が制限されてつまらないくらいだ



……今年こそ、早く治さないと



「ん? なんだいそれは」



―――見て分からない?



「あぁ、なるほど。今年はまた、変わった形だね」



―――去年のより、強力だから



「でもさ、ボクが言うことじゃないけど、あまりソレに頼り過ぎると、効き難くなるんだよ? もう少し自然に任せてみるのも良いんじゃないかな」



―――どうせ、長くいたいための嘘でしょ?



「嘘じゃないさ。人には耐性ってものがあるだろう? ソレはその最たるものさ」



―――別にいいの。いつか効かなくなっても、今効いてくれれば



「そっか、なら、別に止めたりしないよ」



―――……



毎年のことだけど、コイツは何を考えてるか分からない



毎年この時期に現れては、治ると一緒にいつの間にか消えている



コイツは何がしたくて、毎年、現れるのだろう?



…………



「どうかした?」



―――寝る



効き目の副作用だろう、睡魔が襲ってきたから、大人しく従おう



寝てる間は、コイツも静かにしてくれてる



「そう、ゆっくり休んでね」



―――言われなくても



静かに目を閉じ、ゆっくりと呼吸をする



そうすれば、次第に意識が、夢の、中……







―――眠ったようだね



寝てる間は話しかけない。そう決めたのは、現れ始めてから二回目くらいだったかな



―――今回のボクは、今までで一番短いんだ



起こさないよう、なるべく静かに呟いておく



―――きっと、寝て起きたらもう消えている



―――それくらい、キミの身体は強くなっている



―――でも、薬に頼りすぎるのはやめた方がいいよ。いざという時、効かないと困るからね



きっと、来年以降。ボクが来られない年も出てくだろう



三年後だろうか?



再来年かもしれない



もしかしたら、来年ということもある



来年から。その可能性だってあり得て



叶うことなら、今年はもっと話をしたかったよ



―――さて



今年はもう、これまでのようだ



全く、最近の薬は凄い



……次に来れるのは、何時だろう



身体こそ、丈夫にはなったけどね



生き方次第で、またボクはキミの前に現れる



―――とりあえずは



会える可能性を願って




―――また、来年


風邪をひいた少女が話していたのは、風邪の時だけ現れて、風邪が治るといなくなる。

そんなアイツは―――


それでは、

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― 新着の感想 ―
[一言] あいつの存在を気にしながら、 楽しく読ませていただきました! あとがきがあっての作品ですね^^
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