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ふかふかのベットに寝転がる。
目が覚めたら異世界で驚いたな。
前世で異世界ものの物語を見てたから何とか平静を保てていたけれど。
まさか王女に憑依するなんて...。
リーリア・アロス。
どこかで聞いた名前のような気がした。
うーん、やっぱり思い出せない。
一旦諦めよう。
パチリと目を開けると、目の前に凄く綺麗な顔があった。
サラサラの金髪に金色の目...。
物語の王子様みたい。
どこかで見たことある顔のような。
「起きられたのですね」
考えている内にいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
いきなり誰ですか、なんて失礼よね。
でも分からないのだから正直にそう言うべき?
「...えっと」
「失礼しました。僕はアーリー公爵家のシリウスと申します。王女様の状態については伺っています」
胸を撫で下ろす。
私が王女としての記憶がないことを把握しているなら良かった。
シリウス...シリウス!?
美しい顔にこの名前。
前世で読んでいた小説に登場するキャラクターと同じ。
見た目が挿絵と同じなんだもの。
ちょっと待って。
私の名前も聞き覚えあると思っていたら、悪役令嬢のリーリアだ。
小説の世界なのかもしれない...。
「王女様...?」
心配そうにこちらを伺う顔すらも美しい。
「大丈夫です。少し考え事をしてしまって...。この国は何という名前ですか?」
「ラヴェル王国です」
「守護天使の伝説のある国ですよね...」
「はい。...記憶が戻られたのですか?」
「いえ、断片的なものを思い出しただけです」
そう。
この国には守護天使の伝説があって、ヒロインは天使からの加護を受ける。
悪魔と契約した悪役令嬢や悪役令息からの妨害を受けながらも、ヒーローとハッピーエンドを迎える物語。
私は悪魔と契約する悪役令嬢の一人なのよね...。
今の所、契約する予定は無いけれど、物語の強制力でどうなってしまうか分からない。
悪魔と契約してバッドエンドを迎えたくない。
どうすれば良いのかしら。
「...席を外しましょうか?」
私が考え事ばかりしているから、そう言ってくれた。
「せっかく来て下さったのに申し訳ありません」
「良いんです、無事なことが分かりましたし」
爽やかな笑顔。
もうこの人が天使か...?
軽く手を振ってベッドの上からお見送りすると、入れ違いでアンリが来た。
「すみません。シリウス様がどうしても婚約者の顔を見たいと仰っていたので部屋に入れました」
私が婚約者...?




