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ライトハウス•エピック   作者: 生まれ変わり
セキレイの山岳
15/19

14.西の勇者の墓場

赤眼鳥(レッドゴート)の呪い?それに止血魔法までかけられて延命措置されるなんて」

「夢でも見てる気分だぜ」

「フロルさん…行っちゃって良かったんですかね…」


 メルたちは、低木の陰に隠れて三人を見守る。契約任務だからというよりも、ラッキーに対する単純な好奇心に駆られて追跡を続けていた。




~~~




 虹色の羽を羽ばたかせながら、セキレイはラッキーの頭上を飛び回る。


「こいつは何だ?」

「新種のセキレイだね、こんな個体は見たことがない」

(右に同じです。やはり赤眼鳥(レッドゴート)関連ですかね)


 そのセキレイはラッキーの頭上に座ると、突然羽ばたいた。不自然な挙動に、三人は何かを感じた。

 一心不乱に飛んでいるようだ。砂埃を散らしながら、獲物を追いかけるサメのように速く、鋭く。


「追いかけるか!」

「君が行くなら、私も!」

「別に来なくてもいいよ!」

「いやいや遠慮はしなくて大丈夫だ、ラッキー君!」

「してない!邪魔かも!」

「じゃま、、?」

(足手まとい?)

「言い過ぎだ!それは!」


 後ろの低木裏からガサガサと物音がしたが、ラッキーは気に留めずに虹色のセキレイの背中を追い続ける。


待てよ、俺、腹を…!?


 赤眼鳥(レッドゴート)に全身を咥えられた記憶が掘り起こされ、腹に手を当てる。


(腹部の傷は、赤眼鳥(レッドゴート)によって止血されました。今はあのセキレイに集中してください)


 右肩からロワによる解説が入る。砂埃で前が見えないが、徐々に距離を縮められていた。


「なんか体が軽いような、なんというか…血流が良く回っているような気がする」

(気のせいです、無駄なことを考えず突っ走ってください)

「いやホントなんだって!」


 急斜面をスライディングで滑走して、木々の隙間をすり抜け、ラッキーはひたすらに虹色の羽だけを追いかけた。気付けば、人の気配が無い奥地まで駆け抜けていた。


「んっ」


 ラッキーは足を止める。視界から例のセキレイが消えた。奇跡のバランスで保たれた岩場を、そのセキレイがすり抜けて、見えなくなった。


「先に行ったのか?」

(岩に挟まったのでは?)


 狭い隙間を、ロワが覗く。


(ラッキーさん、これは当たりかもしれません)


「何が?どういうこと?」


 ロワの慎重な口調に、ラッキーは息を呑み、右目を隙間に押し当てる。岩が削られて、文字が見える。



/



此処に眠るは、名を奪われし勇者。


空を裂き、血を覗き、そして真実に触れた者。

その眼は赤を映し、

その選択は世界を傷付けた。


虹の導きなくして、此処に至ること能わず。

触れるな、呼ぶな、名を問うな。


再びその眼を開けば、

人々は自我を忘れるだろう。



/



 ラッキーは高揚していた。歴史を封じ込めたドアを蹴り破ったような爽快感と達成感。


「どういうことだ?」

(横にも何かが描かれていますね)


 右側は赤眼鳥(レッドゴート)と、その背中に乗る剣を装備した勇者。左側には水車が描かれている。何やら魔法陣のようにも見える。


「その眼は赤を…って俺?」


(戯けたことを抜かさないでください。墓を作られて歴史を封印されている。これは戦時の重要人物の可能性があります。そうなれば、ラッキーさんとは比べ物にならないほどの…)


「早口オタクになるのやめて」

(オタク…?)

「ああ、こっちの話」

(左の水車は何を示しているのでしょう)

「分かんないけど、これ魔法陣っぽくない?」


 ラッキーは外側から岩に魔力を込める。


「ああ、いた!ラッキー君、君は少し足が早すぎ…」


 フロルは見た。岩場が光り、そして崩れて、ラッキーとロワが瞬間移動したように消えた。光が落ち着いて目を開けると、岩場はなくなっていた。


「え?どういう…こと?」




~~~




 転移魔法。今の魔法技術では誰にも扱えず、伝説の魔法の一つとして言い伝えられた魔法。


(感激です。まさかあれが転移魔法の魔法陣だったということですか)

「感激してる場合か。とりあえずここはどこだ?」


 二人は冷風が吹き抜ける洞窟にいた。天井は見えず、広すぎて声も反響していない。壁には動物や魔物の骨が見えて、ところどころ小鳥のような骨も見えた。


「これセキレイの死体じゃないか?」

(…確かにそうですね。そうなればここは…)


セキレイの山岳。二人はその地底に足を踏み入れた。










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