8 春休みに入ったので朝からサッカー部に行った
春休みに入ったので朝からサッカー部に行った。サッカー部ではもうすぐ練習試合があるので、今日は紅白戦をやったのだが、僕は右サイドバックの控えなので、控えのチームの右サイドバックを務めた。僕はレギュラーのチームの左サイドの攻撃をかなり抑えつつ、レギュラーのチームの左サイドを高速ドリブルでズタズタに切り裂いてセンタリングを上げまくったのだが、そのため逆サイドから攻め込まれることになり、控えのチームは三対〇で敗れてしまった。僕は自分のプレーにはそこそこ満足することができたのだが、僕が満足しているところにキャプテンが近づいてきて、山田、お前は自分のプレーに満足しているようだが、それがお前の問題なーのだー、と僕に言った。それで僕は何を言う、と思ったのだが、サッカーはチームワークのスポーツなので、たしかにキャプテンの言うとおりなのだと思い直して、これではいけないのだと反省した。
練習が終わったあと、僕はおのれに反省をうながすために、ジャージで走って家まで帰った。その途中で公園に立ち寄って、死んだカラスを見てきた。死んだカラスの頭の向きがこの前に見たときと反対になっていたので、僕は死んだカラスがゾンビ化したか、ふとどきものが死んだカラスで遊んでいるのだと想像した。そして、最近は暖かくなってきているので、死んだカラスはいよいよ腐るかもしれなかった。でもまだ腐っているわけではなかった。
春休みに入ったので、公園にはバドミントンをしている小学生がいた。それを見ていたら僕もバドミントンをやってみたくなったが、見知らぬ小学生に声をかけることは難しいし、そうなると僕がバドミントンをする相手は智花くらいしかいないので、バドミントンをすることはあきらめた。
家に着く寸前に、智花の家の玄関の前を素通りすると、智花が玄関から出てきた。智花は、智花の家の玄関の前を素通りしたのが僕だとわかると、ドアを閉めて、玄関の中に戻っていった。
父さんは会社に行って留守だったけど、母さんは主婦なので家にいて、すでに昼ごはんを食べ終えて、徹子の部屋を見ていた。母さんが徹子の部屋を見ているので、僕は、母さんが僕用に作ったと思われる焼きそばを電子レンジで温めて食べた。それから自分の部屋に行って、マンガを読んでいたら寝てしまった。
夕方に目が覚めたら、わらび餅が食べたくなっていたので、僕は一階に下りて、母さんに、わらび餅はあるか、と尋ねた。母さんは、わらび餅はないわ、と答えたので、僕は一度部屋に戻って財布を取ってきて、わらび餅を買うために家を出た。智花の家の玄関の前を素通りすると、智花が玄関から出てきた。智花は、智花の家の玄関の前を素通りしたのが僕だとわかると、ドアを閉めて、玄関の中に戻っていった。
僕はスーパーマーケットまで歩いていって、わらび餅を買った。しかし、不思議なことに、買った瞬間にわらび餅がそんなに食べたくなくなった。さらにもうすぐ夕飯の時間だし、僕は昼から寝ていたので、いまわらび餅を食べると夕飯が食べられなくなるような気がした。なので僕はわらび餅を明日食べることにした。わらび餅の賞味期限は長くはないが、明日までは持ちそうだったので、明日食べることにした。
僕は家まで歩いて帰った。三月の終わりなので、結構日が長くなっていた。途中で道路に椅子を置いて座っているお年寄りの人がいて、僕を見てきたのであまりいい気がしなかったが、僕が、こんにちばんは、と挨拶をしたら、お年寄りの人も、こんにちばんは、と返してくれたから、いい人だと思った。
家に着く寸前に、智花の家の玄関の前を素通りすると、智花が玄関から出てきた。智花は、智花の家の玄関の前を素通りしたのが僕だとわかると、ドアを閉めて、玄関の中に戻っていった。
僕は智花の家の玄関を開けて、智花に、何をさっきから出たり入ったりしているのだ、と言おうかと思ったけど、言ってもあまり意味がないことに思えたので言わなかった。たぶん、智花は通販で何かを買って、宅配便の人を待っているのだろうと思った。
家に入って冷蔵庫にわらび餅を入れた。父さんか母さんか智花が誤って食べてしまわないように、わらび餅を包んでいるビニールにマジックで、『伸時のわらび餅』と書いておいた。
一時間くらい後に父さんが帰ってきたので、父さんと母さんと三人で肉を食べた。今晩の肉はこんがりと焼けていて、しかも肉汁がぼたぼた垂れる、いい肉だった。でも少し脂身が多すぎて、その辺りが僕は不満だったけど、おおむね満足することができた。
そのあとは一番風呂に入って、野菜ジュースを飲んで、テレビを見ながら父さんと将棋を指して遊んでいたのだが、父さんが風呂に入りに行ったので、僕は玄関を出て、智花の家の玄関の前を素通りした。智花はもう玄関から出てこなかったので、僕は、宅配便の人が智花の家に来てくれたのだなと思った。
明日も朝からサッカー部があるので、僕はまた家に戻って、歯を磨いて、まだ十時だったけど寝た。