第四十五話 プレゼント
時刻は気づけば夜になっていた。
あの後もビンゴ大会や、委員会による出し物。
とにかく大いに盛り上がった、大成功と言えるだろう。
料理もとっくに底をつきて、ようやく俺も自分の役割を終える。
三辻さんやその他料理班にも、沢山苦労をさせてしまったが、皆やり切ったと満足気だ。
後はゆっくりパーティに参加するだけだと、待ち合わせ場所へと向かった。
「あ、きたきた。
真依ちゃん、慎也。こっちだよ!」
声の先にはいつもの皆がいる。
それぞれ、もう特にやることもなく段々と人も減り始めてきたため、後は自由にしている。
「あー……疲れた」
「そうだな……」
今頃、クリスマスパーティが無かったら俺たちは泊まりでゲームに打ち込んでいるところだっただろう。
まあ、今年くらいこんな風に過ごしてみるのも悪くなかったのかもしれない。
どうせ、明日には大輝とゲームをすることになっている。
「ていうか、私たちのライブどうだった?」
「あれって昨日決めたんですよね……。
あそこまで凄いものを見れるとは思いませんでした」
「でしょ〜?
陽子ちゃんと昨日の夜、必死に合わせたの」
「ああ……沙織は本当に覚えが良くてな。
それにちゃんと私の言うこと聞いて、可愛いやつだ!」
陽子さんは、沙織のことを抱きしめる。
嫌われたかもしれない、そう思っていた反動からかやけに二人の仲は深まったようだ。
……三辻さん、しちゃいけない顔をしてるよ。
「そういえば、プレゼント交換会するんだろ?」
大輝の言葉に皆袋やプレゼントを取り出す。
プレゼント交換会も、今回クリスマスパーティの企画としてやろうとしたが、人数が多すぎることやプレゼントの持ち込みを強要する等の理由から駄目になった。
そのため、俺たち内でやることにしたのだ。
「じゃあちょっと待って、音楽かけるよ……。
よし、それじゃあスタート!」
音に合わせて、皆がプレゼントを回し合う。
予算は二千円、そのルール内であれば何でもあり。
誰がどんなプレゼントを持ってくるのか……正直俺には大輝くらいしか予想がつかない。
つまりは誰が当たっても割とワクワクできる。
一分くらいの短い曲が終わったタイミングで、それぞれが持っていたプレゼントを自分の前に置く。
「じゃあ、まず俺から……」
プレゼントが気になって名乗り出た俺は、早速開封していく。
……商品券千円分、それが二枚。
俺はぬるりと、三辻さんのことを見る。
「……え?
何で私って分かったの?」
あまりにも合理的かつ人を選ばないチョイス。
……正直に言って俺は本当に嬉しいタイプ。
「あざす……!」
「……じゃあ、次は私がプレゼント開けるから」
三辻さんはそのまま、自分のプレゼントを開ける。
中身はハンドクリームだ。
「あ、それ私のだよ!
三辻ちゃんなら使えそうだね、良かった〜」
「ありがとう……」
照れくさそうな三辻さん。
沙織もやっぱり女の子らしい良いチョイスだ。
いつの間にか、プレゼントを送った人が開ける流れになっていて、沙織が目の前のプレゼントに手をつける。
「私のは……文房具セットだ!」
「お、それは俺のだな」
大輝のチョイスは文房具セット。
沙織はそれを天に掲げて大喜びしている。
心無しか大輝も嬉しそうだ。
「よしよし、それじゃあ次俺か」
大輝がプレゼントを開けると、本が三冊入っていた。
俺と仲良くなっていくうちに、ある程度本を読むようになっていた大輝は嬉しそうにしている。
「それは私だな。
本を読んでくれる人に当たって良かった」
「ありがとう、マジで読むわ」
「今度感想でも聞かせてくれ……」
そう言いながらプレゼントを開ける陽子さん。
中身は多分化粧品……正直言ってよくわからん。
けどまあ、これは藤垣さんのプレゼントだろう。
「弥生のか、ありがとう」
「とりあえず女性に当たって良かったです」
「……ということは、残るのは慎也のプレゼントってこと?」
皆が藤垣さんの目の前に置いてあるプレゼントに注目する。
やばい、ちょっと不安になってきたな。
「じゃあ、開けますね?
え、プラモデル?何ですかこれ、戦車?」
そう、俺が買ってきたのは戦車のプラモデル。
二千円以内のプラモデルを何とか専門店で探してきた。
「どうかな……悪くはない……よね」
「はい、嬉しいです」
俺のプレゼントを抱きしめて、嬉しそうにする藤垣さん。
良かった、喜んでもらえたようだ。
でも、他の皆が藤垣さんの反応に驚いて固まっていたあの記憶はそう簡単に消えそうにない。




