第四十四話 最高の始まり
「とりあえず、皿とか準備して。
お菓子とかはもう配置し終わってる?」
俺を中心に回る料理班、パーティに参加する人数は百十人くらいだったと思う。
お菓子が先に会場に立ち並ぶ中、俺は料理を準備し続ける。
「完成したものはどんどん運んでいいんでしょ?」
料理班の副リーダー的存在として、俺の指示を仰ぐのは三辻さん。
彼女が同じチームで協力してくれるのは相変わらず頼りにしかならない。
……そういえば、沙織は会場に入るチケットの確認の仕事をやっているらしい。
その後は、ヘルプとして様々手伝うみたいなことを言っていた。
勿論、大切だし必要な仕事ではあるのだが一応楽しませ対決みたいなことを言っていた。
何かしら策はあるのだろうか。
「ちょっと日端君!手止まってるよ!」
ハッとして作業に戻る。
とにかく俺ができることは料理の質を最大限高めることだけだ。
それから三十分くらいが経った頃、ようやく料理のセッティングが終わった。
周りを見ても全員バテている、よく開場前に全てを準備できたものだ。
後は、足りないものをこの調理場から継ぎ足していくだけだ。
当日、一番大変だと思われていた場所は終わったということになる。
とりあえずやっぱりパーティの様子は見たくて会場に出てみた。
段々と人が入ってきたようだ。
私服で気楽にきた人や、友達と簡単なコスプレをしている人、ドレスやスーツで決めている人。
各々、自由に席についてパーティの始まりを待つ。
その間に、もう準備が済んでいる料理たちを運んできて食べ始める人たちも現れた。
食べた人たちは、美味しいと喜んでくれた。
それを聞いた人たちもどんどんと料理を運んでくる。
時刻は一時、今日はお昼も食べていない人が多い。
それもあって、早々に料理が減り始めていた。
とにもかくにも、周りは料理の話で持ちきりだ。
良かった、俺の作った料理は大成功ということらしい。
「それでは、皆さんクリスマスパーティを始めますよ!
最後までついてきて下さいね〜!」
「「わああああああああああ!」」
さあ、ついに始まったクリスマスパーティ。
司会の藤垣さんも今日はドレスでバッチリ決めている。
「まずは初っ端、クリパ実行委員会のステージです!
景気付けに一発、盛り上げちゃって下さい!」
拍手喝采の中、バンドメンバーが出てくる。
確かボーカルは、陽子さんだったかな?
と、出てきたメンバーの中に何故か沙織がいることに気がついた。
そのまま、彼女はマイクを握る。
「今日は来てくれてありがとうございます!
是非、一緒に盛り上がって下さい!」
前奏を聞いて思い出す、これは陽子さんがカラオケで歌っていた曲だ。
そのまま、歌が始まると一気にボルテージが上がる。
沙織は想像以上に歌が上手い、一気に心を鷲掴まれる。
勿論、会場は大盛り上がりだ。
そこに陽子さんも入ってくる、ボーカル二人。
そんなシステムになったのは、多分昨日沙織が入りたいと頼んだからだろう。
それでも、そんなことあり得ないと言わんばかりに二人は高い完成度を見せつけて、更に周りを上げていく。
「わあああああああああああ!いいぞおおお!」
会場の熱気も凄いことになっている。
サビに入った時には、その数倍の歓声が上がる。
俺はそんなステージに、引き込まれてしまってただ見続けてしまう。
「……ありがとう〜!!」
その時間は本当に一瞬だった。
この日、絶対に誰も超えられないと錯覚してしまうほどの大きな歓声が上がった。
「「わあああああああああああああああああああ!!」」
バンドは歓声止まぬまま、ステージ袖に捌ける。
その後、一通メッセージが届いた。
勿論、沙織からだった。
「アドバイスのお陰で楽しくやれた!
本当にありがとう!」
良かった、沙織はやっぱりこれくらい元気があってくれる方が嬉しい。
俺も一言だけ「降参です」と、メッセージを送る。
陽子さんは俺に負けた時、何だか嬉しそうにしていた。
その気持ちが少しだけわかった気がする。




