第三十八話 終業式の日
三辻さんも加わって、空き教室は今日も沢山の人々が入り浸る。
俺は、近づく終業式の後について大輝と話していた。
「終業式の後バイト無いんだって。
だからさ、久しぶりに俺の家でなんかしない?」
「ああ、いいね。
……まだクリアしてないRPGあってさ、持ってくわ」
「え、めっちゃいいじゃん。
次の日泊まりならクリアまでいけるかもしれないな」
そんな話を楽しくしていたのだが、いつの間にか周りの声が全然しなくなっていることに気づく。
気になって見てみると、皆黙って俺たち二人のことを見つめていた。
……俺たち、何か悪いことしたかな。
訳もわからず、俺たちも黙ってしまうと代わりに藤垣さんが喋り始める。
「終業式って何日ですか?」
「二十五日……それがどうした?」
「終業式って何月ですか?」
「…………十二月、だよね」
そこまで言って、藤垣さんが周りとアイコンタクトを交わす。
こそこそと何かを話す生徒会の人たち。
やれやれと首を振る沙織。
結局、藤垣さんがその理由を告げてくれた。
「クリスマスですよ、クリスマス!
終業式の後に我が校では、クリスマスパーティがあるでしょ!?」
「クリスマスパーティ……知ってる?」
「まあ、名前くらいは去年も聞いたな」
「……一応、私より先輩なんですよね?」
去年も終業式の後は俺の家に大輝を読んで、二人で黙々と漫画を読んだりしていた。
そういえば、小学校の頃に遊んでいたゲームが出てきて思い出に浸りながらやったりしたなぁ。
「去年さ、あれやったよね。ゲットモンスター」
「あれ?それ去年の終業式の時だったか?」
「いや、絶対そうだよ!だって久しぶりに見たらそれくらいで時間止まってたもん」
「おーい、聞いてますか〜!」
おっと危ない、小学生の話とかって思ったより盛り上がるよね。
現に藤垣さんが止めなかったら、沙織も入ってきていたであろう。明らかにワクワクした顔をしていた。
「それで、クリスマスパーティがどうしたの?」
「勿論、今年は先輩たちも参加ですよ!」
「「えー……」」
久しぶりにRPGめちゃくちゃ時間かけてクリアするという俺の計画が……。
長期休みの初日は学校から帰ってきてから日を跨ぐまでゲームをする、というのが定番だというのに。
「いや、絶対楽しいですから!
美味しいご飯もいっぱいありますし、プレゼント交換会とかもありますし、それにビンゴまであります」
「それならゲットモンスターだって、沢山のモンスターがいるし、モンスター交換だってあるし普通にビンゴもあるよ?」
「何でゲットモンスターで張り合ってくるんですか!」
だってほら、沙織がまたソワソワし始めた。
これで味方は一人増えそうだ。
まあ、何で行きたく無いかと言われればシンプルに社交性が無いからだ。
俺はこの空き教室から飛び出した場合かなり弱体化してしまう。
クラスメイトですら、未だに声かけるの緊張するし。
「とにかく、クリスマスパーティは強制参加ですよ!
私たち空き教室のメンバー全員!」
「まあ、落ち着けよ弥生。
私には、とても良い案があるんだ」
何故かこの部屋に会長二人いるんだよな。
この二人に何かされれば、俺たちの学校での肩身は非常に狭い。
最近のあれこれを超えてから、陽子さんも段々俺に容赦が無くなっていってるのも感じる。
耳打ちされた藤垣さんは、ただ頷いた。
「分かりました……。
じゃあ、後は陽子さんにお任せします」
……多分だけど、クリスマスパーティには参加することになる気がする。
藤垣さんは、気が済んだようだったが何かを思い出したように、俺の前まで来る。
「ちなみに先輩……ゲットモンスターって中古でどれくらいですか?」
「私も久しぶりにやってみようかな……」
何故かその後、空き教室内でゲットモンスターブームが訪れたのは、また別のお話。
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