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第二十三話 年に一回

「おい、こっちだ」


 三輪田祭が終わった次の日、俺たちは早速打ち上げと称して集まっていた。

 連絡をしていた陽子さんの姿が見えてとりあえず一安心する。


「おい、何か一言ないのか」

「一言……昨日は楽しかったね」

「違う、まずは女性と待ち合わせて最初は服を褒めろ!」


 異性の友達と待ち合わせて、遊びに行くとか童話だと思っていたレベルの俺が、そんなことを分かるわけない。

 陽子さんが首をくいっとしたその先には残りの三人が待っている。

 危ない、陽子さんに言われなかったらマジでデリカシーを疑われていたかもしれない。

 とりあえず、三人と合流してみる。


「……えー、二人とも良いセンスでよく似合ってる。

 …………それから、大輝もよく見たらイカしてるな」


 全員が、笑いを少し堪えるが耐えきれず吹き出す。

 俺の頭にはハテナマークしか浮かばない。


「ちょっと、大輝先輩のこと褒めるとは予想してませんでしたね。

 私、センス?みたいなことは言いませんでしたっけ」

「一番近かったのは、弥生ちゃんだと思うよ」

「いや、俺も似合ってる的なニュアンスはあると思うって言ってたろ」


 そこでようやく気づく。

 こいつら、最近俺で遊びすぎじゃない?


「まあ、一番遅れた罰ゲームってやつだな。

 ……実際、服を褒めろって話は本当だぞ?」


 ええ?、ちょっともう本当にどっちか分かんない。

 とにかく、その話で誰が一番予想に近かったか議論し続ける友人たちを連れて、目的の場所まで向かう。


「久しぶりに来たな……」

「ああ、やるかドラグーンファイト」

「ええ、やだよ大輝あのゲーム強すぎて俺勝ったことないじゃん」

「ちょっと、話を先に進めないでください!」


 俺たちがやってきたのは県最大の複合商業施設、智石リゾートパーク。

 ショッピングにゲームセンター、映画に屋内プールまでとにかく遊びの選択肢が全て詰まったような場所だ。

 寄せ集めで、趣味もバラバラな俺たちが最大限楽しめる場所として、最終的に選ばれた。


「ああ、今日は平日だから人も少ないし目一杯遊ぶことが出来そうだ。

 とりあえず、お昼頃になったらまた集まるがそれまでは自由行動ということにしよう」

「……ちなみに、さっき先輩が何言うか予想するやつ。

 あれは最終的に私が一番近いってことで良いですよね」


 全員がやれやれしながらも頷く。


「じゃあ、お昼まで私が預かりますね!」


 そういって、俺の手を引く藤垣さん。

 どうやら、俺の自由意思は全く考慮されないということらしい。

 彼女がそのまま向かったのは、映画館だった。

 ああ、そういえば見たい映画がどうとか言ってたな。


「で、見たい映画って何なの?」

「これです!メモリアル!

 一年に一回、特別な日に出会う二人には事情があって織姫と彦星を題材とした作品なんですけど、驚く展開や感動する場面もあるらしくて……」


 こうなると、彼女はもう止まらない。

 とにかく、藤垣さんのそんな解説に耳を傾けながらチケットを二枚購入する。

 こうして、映画館で映画を見るという体験も久しぶりだ。

 花火の時もそんなことを思ったが、どうやら俺はここ最近本当に変わらない生活を送り続けていたらしい。

 ある意味、ここ最近は新鮮な体験ばかりできているため悪くはないのかもしれないが。


 一時間半後、映画館から出てきた俺たちは大盛り上がりだった。

 メモリアル、凄く良くできた作品でまだまだ話し足りないくらいだ。


「……先輩、私また映画見に行きたいです」

「うん、また今度見に行こう?」

「じゃあ、勿論これからもいっぱい行きますけど。

 毎年、いや来年の今日は絶対空けといてくださいね!」


 藤垣さんの提案に首を傾げる。


「え、どうして?」

「一年に一回、特別な用事があるなんてメモリアルみたいでめちゃくちゃ良くないですか?」


 藤垣さんも案外、可愛いことを言うな。

 でもまあ、そこまで友達でいてくれるという意味なら俺も嬉しい限りだ。


「じゃあ、来年のこの日付ね」

「はい、約束ですよ!」


 こうして俺たちは、お昼の待ち合わせ場所へ向かう。

 今日はまだまだ、楽しいことが待っていそうだ。

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