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第十八話 信頼を置ける理由

 土日を超えて空き教室に入る。

 あと一週間と迫る学校祭に向けて動き出す中で、あえて自分のクラスにいる必要はない。

 こうして、朝からクラスや学年を跨いで集合するのは容易であるということだ。


「とりあえず、すいませんでした」


 始まりは俺の謝罪、皆それを聞き入れる。

 自分の方が悪いと思っている人もいるのかもしれないが延々とお互いに謝ることを繰り返す結果になるのは土曜日の時に分かっていた。


「……とりあえず、こうして無事学校に来てくれて何だか安心しました」


 そう声をあげる藤垣さん、それからいつもの空き教室四人組が今いるメンバーだ。


「それで、後は学校祭だけなんだけど……」

「とりあえず、今それぞれ問題でも挙げてみますか」


 あんなことがあったが、それでも勿論学校祭の準備期間は続いている。

 一度、全員で今やらなくちゃいけないことを洗い出しておこうというのが、今日集まった理由だ。


「あ、そういえば衣装。

 結局なあなあのまま話が進んじゃって、衣装も予算も全然足りてないままなんだった!」

「衣装?……はぁ、何で相談してくれないんですか?

 私、何部だと思ってます」

「藤垣さんはそりゃ、演劇部……ああ!?」


 ドンっと自分の胸を強く叩く藤垣さん。

 実質的に、演劇部を一人で支えているのは藤垣さんであって、そこの備品はほぼ彼女に権限があると言っても過言ではない。


「勿論、衣装というのも備品の一つです。

 ドレスなんて特に使われるものですから、ある程度数もあると思います。

 作業で言えば採寸程度ですかね。

 私は部活のこともあるので、クラス周りは当日まで任せっきりで大丈夫ということになってます。

 ここまで手伝っていただいたお礼も含めて、それくらいの作業ならしますよ」


 凄い、一瞬で解決してしまった。

 こんな近くに、ここまでピンポイントで頼れる人がいたなんて。


「それこそ、私たちも藤垣ちゃんの撮影も手伝おうよ。

 皆んなでやれば、さらに早く終わっちゃうでしょ?」

「それなんですが、実はどうしても役者がもう一人欲しくて、本当は出ていただけると嬉しいんですけどただ……」


 ああ、確かに未だ残している部分は俺たちにとっての課題となっていた。

 藤垣さんは、織原さんのことをじっと見つめる。

 確かに、織原さんは適役といえるかもしれない。


「私?勿論良いよ〜!

 ここまで全然活躍出来てなかったから、むしろやらせて欲しいくらい!」

「そうなんですが、原則ではその……部活動参加者以外の協力は禁止なんですよね……。

 先輩は顔も出てないしそれこそお手伝い程度という扱いにも出来るので大丈夫だとは思うんですけど……」


 まあ、二人しか出てこない役者だ。

 流石に手伝い、という言い方で誤魔化せるものではない。


「なんだ、そんなことか」


 次に声を上げたのは、陽子さん。


「それなら、特別許可証とかそういうものを作ろう。

 クラスの出し物みたいに勝敗がつくものではないし、そんなに文句を言われることもないだろう。

 私は事情もよく分かっている、生徒会内での説明も任せてくれ」


 おー、生徒会長権限というやつだ。


「そうやって、また仕事増やすのか?

 俺は倒れてないだけで、慎也以上に働きすぎてると思うけどな」

「……まあ、この際だから言ってしまおう。

 私も相当数仕事を受けてしまっている。

 許可証の話はそんなに苦ではないが、作らなきゃいけない資料や書類も多くてな。

 正直、かなり苦戦している」


 まあ、この人普通に生徒会長だからな。

 こういうイベントごとで、暇ということはあり得ない。

 勿論、生徒会の人々も頑張っているとは思うがそれこそ五人しか人数がいないのだ。

 どうしても一人一人の仕事量は増える。


「なあ、慎也。

 俺たちのクラスって、もうかなり仕事量減ったよな」

「まあ、衣装の話はなんとかなっちゃったし。

 小道具云々だけで見れば、ほとんど作っちゃった」

「じゃあ、俺に生徒会手伝わせてくれないか?

 パソコン関係の作業なら、いける部分もあると思う」

「おお、勿論だ!

 ……それこそ、私もこれからは頼ることにしよう。

 皆、少しずつだけ迷惑をかけさせてくれ」


 今日の朝、この話は一時間にも満たない。

 それでも、どんどん話は繋がっていって一気に希望が見出され始めている。

 俺もこれからだ、勿論今までみたいに大事な友達を手伝うことは続ける。

 でも、それと同じくらい手伝ってもらって助けてもらって、少なくとも話くらいは聞いてもらって。


「じゃあ、俺たちはまず撮影から始めるか」


 俺の掛け声に、藤垣さんと織原さんが立ち上がる。


「許可証はいつまでですか?」

「用意したら連絡する」


 頬を叩いて気合いを入れ直す。

 今度はクラスメイトや友達を巻き込んで、もうあんなことにならないように。

 差し込む日差しは秋なのに、やけに眩しい気がした。

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