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第十七話 七転び八起き

 ゆっくり、ゆっくりと目が開いて真っ白の天井と目が合う。

 一瞬、何が起こったのか理解できなかったがようやくここが病院の一室で自分が倒れてしまったことを思い出す。

 今、どれくらいの時間が経った?

 すぐ近くにテーブルがあってその上にはスマホが置いてある。

 スマホの画面がバキバキになっていて、一瞬心臓が飛び出そうなくらい焦ったが、どうやらカバーだけのようでとりあえず安心した。

 

 電源を押す、土曜日の午後十時。

 ぼんやり起きた記憶がある気はするものの、おおよそ丸一日くらいは寝てしまっていたらしい。

 やばい、今日は団体客が来る日だったはずなのに迷惑をかけてしまったなと、罪悪感が込み上げてくる。


 メッセージもそれなりに届いていた。

 クラスラインや、織原さん。

 藤垣さんや陽子さんに大輝、それなりに大事にはなってしまったらしい。


「え、日端君?」


 驚いた声の方向を見ると、織原さんの姿があった。

 十時、高校生の俺たちは九時に仕事を終えれるように伊織さんは調整してくれている。

 そこから直接病院に向かえば、これくらいの時間になるのも頷ける。


「あの、迷惑かけちゃったよね……」

「日端君、日端く〜ん!」


 織原さんは泣き出してしまった。

 それでもゆっくり歩き出して、俺の手を掴む。


「私の方こそごめん。

 あんなに色々やってたら倒れるに決まってるのに。

 気づかないで、優しいなーくらいに思ってた」


 安請け負いしたのは俺の方だ。

 久しぶりに沢山の知り合いや友達が出来て、つい張り切ってしまったのかもしれない。

 何でもやりたい、と周りが見えなくなっていた。


 織原さんは俺の腕を掴んで離さない。

 少ししたら俺の胸に顔を埋めて、また泣いていた。

 いつの間にか、織原さんは俺をここまで心配してくれるくらいの関係値になっていたらしい。


 ふと思い出す。

 少し前に、織原さんを悲しませてしまったこと。

 噂を流されるんじゃないかと、そんなことを恐れて彼女から距離をとってしまったこと。

 あの時は酷く後悔した、もっと周りを大事にしなければいけないと。


 でも、ようやく気づく。

 俺は、俺自身も大事にしてやらなくちゃいけない。

 勿論、今の境遇に甘えて何もやらなくなっちゃうのも大きな間違いだけれど。

 それでも、俺のことを心配してくれている人もちゃんといてくれているんだ。


「ごめん、ごめん」


 やっぱり悔しい、もうこうして後悔はしたくないと思っていたはずなのに、どこかに綻びが生じてこんな風に大きな出来事に繋がってしまった。

 今はどうしても涙が止まらない。


「私たちもごめん」


 どうしてか分からない、気づけば入口のところに陽子さんや藤垣さん、それから大輝までいる。


「どうして、皆」

「今日ね、旅館忙しかったでしょ?

 香織からその話聞いてたから、手伝いたくて。

 朝一で旅館にお願いしに行ったの」

「私たちも会長に電話で事情を聞いて、いても経ってもいられなくて……とりあえず大丈夫そうで良かったです」


 相変わらず涙は止まらない、むしろその勢いは増しているようにすら感じてしまう。


「ありがとう、本当にありがとう。

 これからは、もっと皆のこと頼れるようにする」


 あの日の失敗から、沢山積極的に関わるようにしてきたし、手を差し伸べるようにしてきた。

 結果、勿論倒れるなんて最悪な事態にはなってしまったけど、それこそそのおかげで出来たり深まったりした関係性もあった。

 俺は失敗続きだけど、それでも進んでいる。

 今回の失敗でも、また一歩前に進んでいくしかない。

 俺は皆に謝っていく中で、そんなことを思っていた。

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