第十五話 最初から壁
今日は月曜日、土曜日には藤垣さんと映像作りに没頭していたが、結局あの後も学校以外で撮れるシーンは撮ろうと作業を続けて、夜になるまで続いた。
日曜日は、とりあえず一日休めたわけだがそれでも疲れが取り切れている感じはせず、学校祭シーズンの恐ろしさに初めて向き合うことになった。
今週、来週と遂に授業の時間は無くなって完全に学祭のために使える時間となっている。
そのため、クラスの出し物である劇についてもおおよそ決まったようだし、出店も焼きそばに決まりどんどんとメニューや値段、店の感じやローティーションまで決まっていく。
そうなれば、いよいよ俺たち装飾設営部隊も動き始めるというわけだ。
それなのだが、
「おい、ドレス何着必要なんだよ!
こんなんじゃ、絶対間に合わないぞ!」
「だって勝ちたいじゃん!
適当にやったって他のクラス出し抜けるかって言ったらそういうわけじゃないじゃん!」
「でも、お前これはちょっと酷すぎんぞ!?
せめて借りるとか、買うとかしないと話にならない」
「予算無いって言ってんじゃん!」
まあ、そういうわけだ。
基本的には、お金をかけた方が良いものが出来る。
それこそ、皆が望むような良いものを作るには想像以上にお金がかかるのだ。
しかし、学校祭にそんなにお金をかけることは難しい。
衣装の質を下げる、そもそも衣装が必要な演者自体を減らす。
背景などは映像にして予算を抑える。
まあ、勿論チープさは否めないがそういう範囲でやるのが当たり前なのだ。
この学校に賞というシステムが無ければ、皆それで納得できていたことだろう。
良いものを作りたいと作れるかというのは別の話。
お互いの主張は今もなおぶつかり続けている。
このまま、時間が経てば出来るものの出来なくなってしまう。
「一回、小道具とかを作ろう。
その上で、衣装をどうするかは要相談。
これでずっと話し合いを続けてても作業が進まない」
俺の提案を聞いた二人はとりあえず、言い合いをやめてそれぞれの持ち場に戻ってくる。
「でもさ、実際どうしよっか?」
「あいつらに、意見曲げてもらうしかないんじゃない?」
「そもそもまだ台本も完成してないんだろ?
本当にうまくいくのか?」
皆、時間に追われるイライラムードの中作業を進めるのであった。
「はあああああ、疲れた」
ようやくの昼休み、相変わらず四人で集まっている。
「日端君が、あんなに意見してくれるとは思わなかったよね〜」
「ああ、あれは意外だったな」
「……分からないけど、何か嫌だった。
俺はクラスの雰囲気を前からよく見てて、凄い良い人だって分かってたから」
でも、本当に疲労困憊だ。
ふと、目の前を見ると陽子さんはご飯も食べていないのにその場に突っ伏している。
「陽子さーん?マジで大丈夫?」
「マジでだいじょばない……。
無限の資料が私を襲ってくるんだ」
流石生徒会長、ここで休みたくなる気持ちもよく分かる。
「まあ、俺ですら部活の展示用資料作りが始まって忙しいからな。陽子なんて更に大変だろ」
「まあ、流石に謙遜も出来ないくらいには」
「あ、そうだ。これ終わったら皆で遊びに行かないって前に日端君と話したんだけど……」
「行こう」
すんっ、と身体を起こした陽子さんが同意する。
流石の織原さん、完璧なタイミングでの提案だ。
「それじゃ、我々何の因果関係で集まったかはよく分からないが、全員この二週間を何とか乗り越えるぞ!」
「「「おー!!」」」
さて、ようやく始まった学校祭準備期間。
本番はおおよそ二週間後の土日、二日間だ。
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