あとがき
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以下、ネタバレ有り。
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作品タイトルが有名な哲学問題のもじりで、そのあたりを題材にしようとしたものの、
最終的には全否定して主観賛美を貫く結末となりました。
ええ、もちろん、それなりに調べましたよ。
インターネット検索で……。
作中世界において主人公がどの分類に当てはまるのか。
仮説ごとにキーアイテムを用意して、物語の各所でそれぞれを廃棄していった。
最終話でどうしても適切な言葉が見つからず、
背景用語を一部漏らす失態をしていまいましたが、
主人公の行動原理を考えるなら、物語序盤から結末は提示されていました。
とはいえ、本人が望んだ結末かと問われると別なわけで、
そんな主人公の誤りが行動に限らず、認識まで及んでいたとすれば、
仮定から結末から追っていくと、主人公があんな能力?を持った必然性も分かってくる。
まあ、他キャラクターの掘り下げという必須要素が欠けているので断定は不可能なんですけど、もしかすると最初の魔法少女が主人公と同じ能力であった可能性があるか、程度のものになります。
いえ、最初の魔法少女はもちろん女性です。性別も関係しないとは言えませんが。
物語の発想段階には、能力に対する代償行為や
吸血鬼、カゲロウといった補助要素を組んで、主人公を整形していきましたが、
そんな経緯は、主人公にとってどうでもいいこと。
とにかく、作中の出来事だけが主人公の全てなんです。
狂気じみた妄執こそ全てで、物語の中で一切の成長はない。
主人公の年齢を考慮したものでもありますが、その上での変化といえば、
まあ、主人公には見当たらない。
精々が外見的要素で、徹頭徹尾一貫して主人公は極まっています。
なにしろ、力を得て最初の行動があれですからね。
倫理的には悪人と断定できませんが、行っていることは悪です。
最近でも、各種メディアにおいて偏向的な情報操作が問題になっていますが、
受け取る側は、その美しい真実で満足できるんです。満足していたいんです。
それらの影響を受けたのが今の自分なのだから、否定されてしまえば調和していた感性が崩れてしまう。
だからこそ物語の中で表現されるのが好ましい。
創作物の登場人物そのものが題材に適している。
読者側からみれば実在のそれより抽象的な概念で、同じ役割を果たせるなら入れ替え可能。それは作中において魔法少女にも当てはまり、特定個人ではなく概念としての存在ならば、主人公でさえ同列に加わることができる。
現実でも民族併合の際に、神話の統合が進められてきた歴史があるように、
確たる歴史が存在しない偶像は同一性が保たれやすい。
それこそが主人公が最後まで維持していた同一性だったという話。
先に語ったキーアイテムの一つです。
継承制ではなく、感染性なんです。
メメさん(誤読)こそが真の主人公なんです。
2023/01/22




