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女神様との出会い

 「はあ・・・どうしてこういつも肝心なところで間違うんだろう・・・」


 俺はベッドに寝転びながら何度目になるか分からない言葉が自然と口から出た。


 昔からそうだった。いつもいつも「こっちだ」と決めて行動すると必ず裏目に出てしまう。些細なことから致命的な事まで、今までの人生で選択が正解だったと思えたことが無い。


 今回も途中までは巧くいっていると思っていたのに、相手に聞きながら慎重に行動していたのに、相手に聞きながら選んだことが地雷だったなんて思わなかった。しかも何、ノーと言われなかったから行動したのに、「信じていたのに裏切られた」と言っていたと人づてに聞いたときは乾いた笑いしか出てこなかった。


 いっその事このまま消えてしまえたらどんなに楽なんだろう・・・。


 「ホント異世界転生とかできないかなあ・・・」


 いい歳して厨二くさいと笑いたければ笑えばいい。心が壊れるというのはこういうことなんだろうなあ。なんかもう、どうでもよくなってきた。


 「あらそうなの?ちょうどいいわ。わたしの下僕になってくれるなら、その願いを叶えてあげるわ」


 本当に末期症状かも知れない。どこからか澄んだ女性の声が聞こえてきた。


 「下僕はなんだか不安だけど、それで異世界転生できるなら良いかもな」


 何の疑問も持たずにそう返答していた。どうせ幻聴なのだ。どんな返答をしようと結果が変わるわけもないしな。


 「では契約成立ということで。詳しい説明をしたいからわたしの世界へ来てもらうわね」


 その声を聞いた瞬間に身体が宙に浮く感覚におそわれた。


 「え?あれ?どうなってるの??え?うそ?」


 慌てて体勢を整えて周囲を見回すけど、上下左右何処を見ても白一色の空間で果てなど見えなかった。そもそも上下の区別があるのかも不明だった。


 何かの幻覚かと思って、頬をつねったり叩いたりしてみるけど、痛みは感じるのに状況が変わる様子が無かった。


 「お待たせ~」


 突然後ろから軽い調子の声が聞こえたので慌てて振り向くと、そこには美しいという表現すら霞んでしまうような女性が立っていた。服装も立派で神々しいオーラが見える気がする。


 「え?あ?えっと・・・」


 「どうしたの?普通に喋って平気よ。あ、もしかしてわたしの美しさに見惚れちゃった?」


 「その声はさっきの幻聴の・・・でもどうして?」


 「幻聴?何のこと?わたしと契約してくれたから、ここに連れてきたんじゃない」


 その言葉でますますわけが分からなくなった。


 「契約?何の話です?」


 「したじゃない。わたしの下僕になってくれたら異世界転生させてあげるって話」


 「確かにそんな話をしたかも知れませんが、それは幻聴だと思ったから・・・」


 「幻聴じゃないわ。それにどう思っていようが、一度神と交わした契約は絶対よ。覆ることは無いわ」


 「そ、そんなあ・・・願いは別のものにして、元の世界に戻していただくわけにはいきませんか?」


 藁にもすがる思いで聞いてみるけど、帰ってきた言葉は非情なものだった。


 「戻してあげてもいいけど、あの世界であなたは死んだことになってるから、戻ったところですぐに死亡するわよ?」


 くっ!!逃げ道を先に封じるなんて、悪徳商法みたいなやり方じゃ無いか!

キリが悪いですが、長くなったので分割します。


お読みいただきありがとうございます。

ガラスのハートなもので、誠に勝手ながら当面の間は感想やご意見は受け付けないことにします。

今後ともよろしくお願いいたします。

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