紹介 中編
亜子とゆりなは亜子の病室のベッドで二人とも座り、亜子が一息ついてから、
「ボクの名前は知っていると思うけど、改めて紹介するよ。
ボクは日比野亜子。高校3年生で17歳だよ‼️
趣味は音楽を聴くことと作曲で。特技は歌を唄う事だよ。
好きな食べ物は甘い物全般。
最近は入院で作れていないんだけど、お菓子作るよ〜。
最近は入院している子供達と遊んでいるよ」と自己紹介する。
「......え。あっちゃん....高3なんだ。
てっきり、同じ年齢だと思った。」とゆりなは言葉を溢す。ゆりなが、こう思うのも仕方がないかもしれない。ゆりなが亜子と出会ってから今日まで、言動や偏見で思ってしまった性格が、どうも高1だと思い込んでしまった。
「....亜子さん。」
「何で、名前+さん付け⁉️
ゆり、急にどうしたの?」
「だって、年上の方に名前で呼んでいましたし、さらにあだ名で呼んじゃってしまいましたし...」
「敬語も使わなくて良いよ、ゆり。」と亜子が言っても、ゆりなは失態を犯してしまった事を自覚してしまった様にしどろもどろになっている。すると、亜子は落ち着かせるように、ゆりなの頭をポンポンと撫でてニッコリとしていた。ニッコリっと言っても目が死んで口だけが笑っている...ではなくて、ゆりなに対して目を細めて愛おしそうに、割れ物でも扱うように撫でていた。
ー亜子さん...あっちゃん、綺麗。
ゆりなは亜子の顔を見惚れてしまった。一枚の美しい絵にもなる様な顔の造形に惹かれていく....
「落ち着いたかな?
ゆり、大丈夫?」
「うん」
亜子の言葉を聞いて、ハッと我に返った。
「あっちゃん....じゃなくて、亜子さん。」
「さん付けはいらない。さっきみたいにあっちゃんって言ってくれないかな?」
「でも...」
「じゃあ、あっちゃんは言えなくても、『あこちゃん』って呼んでくれないかな?」
「....あこちゃん。」
「なぁに? ゆり。」
「ごめんなさい。自分の方が年下なのに勝手に馴れ馴れしくしてしまって....」
「全然良いよ。むしろ、自分もゆりとは同じ歳かと思っちゃったから。」と亜子はフォローをする。すると、「あこ....ちゃん。」とゆりなが亜子を呼ぶ。「ゆり、どうしたの?」
と答える。
「これからも、『あこちゃん』って呼んで良い...ですか?」
「全然良いよ。ただし、敬語は無しでね!」
「分かった。」
「ありがとう、ゆり」と言葉を交わす。
すると亜子はハッとした顔になってゆりなの顔を見た。
「話が少し逸らしかけたけど、今度は、ゆりの紹介をしてくれない?」
「....良いよ。」
とゆりなは答える。
「わたしは望月ゆりな。高校1年生で15歳。
好きな食べ物は焼き菓子かな....?
趣味や特技は特に無しで。最近ハマっている事も無いよ。」
ゆりなも自己紹介をしたが、亜子が何も話さないでいた。ゆりなは申し訳ないと思った。
こんなにつまんない内容の紹介をしてしまったっと現在進行形で感じている。
「...........」
「ごめんね、あこちゃん。
こんなつまんない自己紹介しちゃって....」
と謝罪をすると、
「良いよ。大丈夫だよ、ゆり。謝らなくても良いよ。」
っと、ようやく亜子が口を開いた。
「ゆりは何か楽しむ事も無いの?」
「ない」
「即答だね」
「他に....そうだなハマっている事は....」
「それもない」と亜子が話している中、ゆりなズバッと即答して話を遮った。
「あっ.....話遮ってごめんなさい。」
「大丈夫。ボクは全然大丈夫だよ。」
「でも.....」
「気にしていないから。ね、大丈夫だよ。」
と亜子がゆりなの事を慰める。ゆりなはこの微妙な空気をどうしようか迷っていた。
どのような感情を表していいのか?
どの言葉を選んで伝えたらいいのか?
ゆりなは頭の中がグルグル思考を巡らせて黙ってしまった。ゆりなが考えている間、亜子はゆりなの事を見つめて黙っていた。二人の間に沈黙が続き、
「ねぇ、ゆり?」と亜子が沈黙していた時間を壊した。
「あこちゃん、どうしたの?」
「ボクね、思ったんだけど....」
「ん?」
「良かったら、ボクと一緒に見つけていこう?」
「何を?」
「ゆりの全て」と亜子が答える。
ー私のすべて....?
ゆりなは亜子が何を言っているのかが分からなかった。考えてもみたが、何も思い浮かばない。今すぐにも、その事について詳しく聞き出そうと、ゆりなは、
「あこちゃん、『わたしの全て』って何?」
と問い出す。亜子はゆりなの目を見て少しだけ微笑んで、
「それはね、ゆりの『感情』の事だよ。」
と答える。ゆりなは目を見開いてハッとした。
ーあこちゃん、もしかして気がついたの...?
そう思ったのは、彼...いや、中性的な容姿に惑わされてしまうが、彼女が、ゆりな自身の『秘密』を暴いたからだ。
『秘密』とは、知らない人もいる人が多いから、説明しよう。彼女の秘密は「『感情』を心から表現する事ができない。」しかし、彼女は自他の感情は理解できる。ゆりな自身も「自分は喜んでる」などの感情は理解できる。また、もう一つ以前にも言った通りゆりなは感情の突起も乏しい。
この話をまとめると...
「感情の突然が乏しく、感情を『表現』をする事ができない」というのが望月ゆりなの『秘密』である。この秘密ができてしまったのは「あの事故」によって大切な両親を失ってしまったからだ。
事故によって彼女は「感情」が壊れてしまった。
この秘密は誰も話していなかった。普通なら、ゆりなの祖母のキヨ子は知っている筈だ。けれど、彼女は演じていた。「事故によって両親と感情を傷ついたが、今となっては元気になった」という設定でみんなに演じていた。又はみんなと距離をとって過ごしていた。演じている理由はただみんなに迷惑をかけたくなかった。それだけの為に演じてたのにゆりなは亜子にバレてしまった事に驚いているんだ。
ゆりなは今も驚いて亜子の顔を見つめていた。バレてしまって、手が震えている。
「あこちゃん」とずっと、ゆりなに対して微笑んでいる亜子に話した。
「どうしたの?」
「あこちゃんは、どうして.....わたしの『秘密』が分かったの?」と聞く。
亜子はゆりなが震えている手を握りながら、
「それはね、ゆりはさっき趣味とかがないって言ったのを聞いて、分かったの。趣味がある人は生きがいを持っている人達が多くてね、楽しいや悲しいとかの感情をちゃんと持っているんだ。あ、趣味がない人だけ感情が無いでは無いけどね。」
「うん」
「あとは、ゆり。今日ボクと会った時ゆりが『怖い思い出』を思い出したっていっていたから、それも原因があるのかなっと思って聞いてみたんだ」
「そうだったんだ....」
「ごめんね。ゆりは、さっき驚いちゃったよね。しかも怖い思いまでさせて。」
ゆりなはその事を聞いて、亜子がゆりなの握りしめている手を握り返した。
「大丈夫だよ。少し驚いちゃった。いつも、おばあちゃんや周りの人達には『秘密』を隠して演じていたのが初めて、亜子ちゃんが見破ってすごいって思えたよ。」
「そうなんだ。何故かね、ボクは他人がどんな風に考えているのかや、どういう思いなのかを読み取るのが得意なんだ‼️」
「あこちゃん、すごいね。」
「ありがとう。それで話を戻すけど、一緒にゆりの感情を見つけていこう。」
「えっ、でも....」とゆりなは躊躇う。
「嫌だったの?」
「違うの‼️ なんかあこちゃんに申し訳ないと思うし、ましては、あこちゃんの体調とかが心配しているの。」
ゆりなは亜子が病院に入院している病人っという事もあって躊躇しているのだ。
「ああ、大丈夫だよ。ボクはね入退院を繰り返していて今回は入院だけど再来週くらいは退院するし。いつでも会えるよ。」
「あこちゃんが入退院をしてるって聞いたら余計に心配してきちゃったよ。」
「お願い。ボクのエゴかもしれないけど、ボクがゆりの感情とか生きる理由を見つけたり、探したりしたいの!」
ー生きる理由.....
ゆりながずっと前から探しているもの。ゆりなは少しだけ期待をした。亜子が一緒に見つけてくれるのならば、それなら頼ってみようと思えた。
「あこちゃんが一緒に探してみるんだったら、わたしもやってみたいから良いよ。」
「ゆり、ありがとう‼️」
「どういたしまして、あこちゃん」
「そうだ、連絡先交換しよ。ゆり、スマホ持ってる?」
「持ってるよ」と言ってゆりなはスマホを亜子の前に見せる。亜子が流れ作業の様に連絡先の交換を終わらせた。
すると、亜子が
「これからよろしくね、ゆり。」と言った。
ゆりなも「よろしくね、あこちゃん。」と言った。
すると、亜子の病室のドアを誰かがガラッと引いた。ゆりなはビクッと驚いて亜子にしがみついた。ドアの前には、ポニテの髪を結んでいる幼い少女が立っていた。ゆりなの事をじっと見つめていた。すると亜子が
「おかえり、美湖」と言った。
ー美湖....あこちゃんの家族の方かな?
っとゆりなが思っていると、少女....美湖が漸く口を開いた。
「お姉ちゃん、この人誰?」とゆりなに対して言った。
今後、話の更新が一ヶ月くらいになる可能性がありますが、最後まで読んでくれると嬉しいです。




