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心音(しんおん)  作者: cocona
高校1年生 春
2/6

入学式

起立、気をつけ、礼

この言葉が何度も繰り返される今日は入学式。

入学式と言っても高校の入学式なので、午後からの開催だったから、小学校や中学校の入学式よりも時間は結構ゆとりがあった。

現在は、この高校 神ノ原西高等学校の入学式の真っ最中だ。

式の途中けれども、新入生は様々反応をしていた。

ある生徒は、校長やPTA会長の話を真剣に聞いた。

ある生徒は、祝辞などを聞くフリをして、ただ早く式が終わるように願ったりしていた。

また、新入生の一人の望月ゆりなは、何も感じず、ずっと姿勢を正して座っていた。「感じていない」という言葉は曖昧すぎる。確かに彼女は、「入学をした」という実感はある。しかも彼女は何もではなく、少しは感じていた。なぜ、こういう言葉選びをしたかと言うと...彼女は何も興味を持っていないので、感情の突起が乏しいからだ。例えば、校長の話を聞いても「あっ、話しているんだ。結構長い」と彼女は思う。しかし、普通は「校長先生が高校からの生活の心構えを話している。真剣に聞かなきゃ」や「まだ話すのか‼︎早く終われよ、遅えなぁ」と思う人が多い。ゆりなは、一つ一つの動作を緊張や喜びや期待などの感情が少ししか感じないのだ。もちろん、ゆりなは「かつて」は感情を感じていた。しかし、彼女は今は違う。何故かと言うと...彼女の両親が二年前の事故で亡くなってしまったからだ。四年前、ゆりなの家族は花畑に行こうと出掛けていた。到着する途中に車の衝突事故が発生し、ゆりなの両親は彼女を守るために犠牲に...

この出来事によって、彼女は感情を持つことが少なくなった。彼女は、最初は死にたかった。でも、自殺はしていない。自殺をしていたら、こうして入学式に参加していない。死にたくて堪らなかったが、死んでしまうと彼女の為に命をかけて守った両親を悲しませることになると思えたからだ。このようなことがあり、彼女は今ここに居る。

しかし、ゆりなは分からなかった。

両親を亡くした後、生きる理由をどう作れば良いのかわからないと、そして自分の心にポッカリ穴が空いた感覚がある。

ゆりなは、生きる理由を見つけようと必死に探しているが、分からない。このような考えを入学式が長いと感じながら、見つけていた。


長かった入学式が終わり、新しいクラスの教室に入った。入試もこの学校が試験会場だったので、机などの配置間隔は覚えていた。様々なプリントが配られ、何度も自分の名前とクラスと主席番号を書いたので、流石にゆりなは飽きてしまった。先生が注意事項を聞いたら、一通りの学校案内がされた。神ノ原高校は、全日制の単位制のがある高校。公共交通機関が近くにあるので、かなり便利である。また、一部の生徒では「女子の制服がメッチャカワイイから、この学校に入学したんだ‼︎」と言う理由があるほど、女子の制服が可愛くて、なおかつ女子が入学する人が多い。しかも、男子よりも人数が上回っているので、ゆりなは「この学校は女子校...だけ?」と思うほど、男子が意外と少ない。ちなみに、ゆりなは学力と学校の距離で、この学校を選んだので制服には興味がなかった....

と、この話は置いといて、神ノ原高校は象徴されるシンボルがある。それはー桜だ。

学校の周りに桜の木が大量に植えられており、今の時期は桜が満開なので、とても綺麗な景色で見応えになっている。こういう特徴が、この高校にあると校内案内の時にゆりなは聞かされていたのであった。校内案内など、すべての予定が終わったので、今日は解散となった。ゆりなはクラスメイトと喋る事もなく、生徒が校内案内されている時に、保護者代わりに入学手続き要項を聞いていた「とある人物」と合流する事にした。が、中々合流しない。

「遅い。どこにいるの?」とゆりなは内心苛立っている感情を抑えて、スマホのメールでどこにいるのかを探していた。すると、「ごめんね。ゆりなちゃん、ようやく入学説明会が終わって、生徒玄関の所にいるから来てくれるかな?」という「とある人物」からのメールが送られた。ゆりなは、さっきまであった苛立ちが収まり、すぐに生徒玄関に向かった。ゆりなは、生徒玄関に来て真っ先に

「遅いよ、お婆ちゃん。私ずっと探していたよ」

と少しイヤミを言いながら、さっきまで「とある人物」と言われていた、ゆりなの祖母であるキヨ子に伝えた。キヨ子は、

「ごめんね、ゆりなちゃん。今日は疲れちゃたよね、早く帰りましょ。と言いたい所なんだけど、お婆ちゃんはゆりなちゃんに桜の下でのお写真を撮りたいの。いいかしら?

「お婆ちゃん、何で写真なんか撮るの?」

「ゆりなのお父さんとお母さんに、ゆりなが今日入学しました。の写真を作って報告がしたいのよ。」

「それだったら、良いよ。早く行こ、お婆ちゃん。」

「ええ、そうね。」

と言いながら二人は桜の所に歩いて行った。キヨ子とは、ゆりなの母方の祖母である。祖母という立場だか、五十という年の若さである。ゆりなの両親が亡くなった時に真っ先に、キヨ子が進んでゆりなを引き取った。キヨ子も自分の娘が事故で死んでしまって悲しいのに、ゆりなの前ではずっと笑顔でいてくれた。ゆりなは一度訪ねたことがある。

「ほんとうは、私以上にお婆ちゃんの方がお母さんが亡くなって悲しいじゃない?」と質問した。

しかしキヨ子は笑顔で「たしかに寂しいよ。でもね、ゆりなちゃんが生きててくれたのは、ゆりなちゃんのお父さんとお母さんが守ってくれたから、今ゆりなちゃんはここにいる。あの子が命をかけてまで貴方を守った。その事だけで、あの子には感謝でいっぱいなの。だからね、ゆりなちゃん。生きててくれてありがとう。」と伝えた。その事を聞いた途端、ゆりなは嬉しさと悲しさの感情が混じった。私は生きる理由を探して生きてて良い思えた事と私だけでなくお婆ちゃんも、私の両親を亡くして悲しんでいる事に気づいた事。それからゆりなは、こういう質問はしなかった。祖母を悲しませてしまうかもっと思ったから。

人物紹介をこれで、おしまいにして話を戻そう。

ゆりなとキヨ子は大量の桜の中から、ようやく一本の桜を選んで、その桜をバックにして写真にする事にした。二人が選んだ桜は、他の桜より大きくて印象的だった。一本、一本の桜の枝に咲いている桜が多く、風が吹くと、枝が揺れて花びらが大量に散ってしまう。そんな桜の前にゆりなは立った。キヨ子がカメラを構えて、

「ゆりなちゃん、ハイチーズ!」とカメラのシャッターを切るので、ゆりなはどのような表情をしていいのか分からなかったので、適当な表情をしてピースとかの動きもしないで、ただ立っていた。写真を撮り終わるとキヨ子は、さっき撮った写真の画像を確認した。

「ゆりなちゃん、表情が硬いよ。もっと笑って。笑顔、笑顔!」

「えぇ...表情が硬いの?そうかな?わたしにはそう思わなかったけど。ってか、笑顔はもう十分だよ。」

「そんな事ないよ〜。まだまだゆりなちゃんは若いから、もっと表情を豊かにして。」とキヨ子がいうように、撮った写真のゆりなは無表情に近かった。比喩表情で、まるで生きることを見失って希望がないようなと並べる言葉がピッタリのように、ゆりなの感情があまり伝わらない写真になった。当の本人のゆりなは、あんまり表情とかは関係ないと思っていた。あと内心、写真の撮ることすらもあまり興味がなかった。でも、写真を撮った理由はキヨ子が撮りたいと言ったので、ゆりなはそれに応じただけだった。キヨ子が写真を見て「うーん...」と、もうちょっと表情が欲しいと思っている事も、ゆりなはお構いなく、

「お婆ちゃん、もう写真撮ったから帰ろ。」

「ええ、そうね。帰りましょうか。ゆりなちゃん、次回写真撮る時は笑顔をもうちょっとプラスでお願いします。」

「笑顔をプラス....どうすればいいの?」

「とにかく、ゆりなちゃんは楽しい事を思い浮かべて、そこから笑顔にするのよ」

「そうなの... 」

とゆりなとキヨ子は今日の入学式を終えて家に帰って行った。帰る途中でもキヨ子は、ゆりなの表情のアドバイスをしていたが、ゆりなは聞き流していた。その事もお構いなくキヨ子は帰るまで続けていた。


生きる理由を失った少女が音楽に愛された少女に逢うのは、もう少し先のお話

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