死の後に見る
――え……? なんだ、ここ……?
いつの間にか俺は、真っ暗な中、一人で椅子に座っていた。
不思議な解放感。
――ああ……そっか俺……映画見てたんだよ……。
さっきまでの自分の視界が、映画のスクリーンに映っている。
――最後のシーンは、ビール煽って、そのまま倒れて終わり……っと。
ぼんやりと光る画面を、ぼんやりとした目で見つめる。
――……ふーん……。
ふと、頭にある思考が浮かぶ。認識が落ちる。
――ん……? あれ……?
あれは俺の視界。
俺の最後に見ていたもの。景色。
――……俺って……死んだん、だ……よな……?
その考えに、《《至った瞬間》》。
グワリと映画館が傾いたかと思うと、俺は椅子ごと、いや空間ごと、《《ひっくり返されていた》》。
――うッ……うわわわ……!?
まるで頭の中が、ぐるりと裏返ったみたいな……。
そこには真っ白なスクリーンがあった。
さっきまで《《俺を写していた》》スクリーンとは違う。
でも、何も見えない……。
――……いや……何か……見えるような……?
白く発光しているそれは眩しすぎて、真っ直ぐに見ることを憚られ、俺は目を細めた。だけど確かに、何かの気配を感じる。
――……声が……聞こえないか……?
誰の……?
そのまま吸い込まれるように、新しいスクリーンへと、意識が引き寄せられていく。
俺が。自分そのものが。
どんどん、どんどんと、近づいて、そして――。