何をやっても“クズ男”の俺は、女性を幸せにする!
俺は、昔から何をしても上手くいかなかった。
勉強もスポーツも、見た目も中身も“中の下”だった。
これといった特技もなく趣味もない!
友達も気が知れた友達が数人いるだけ。
何の取り柄もない俺。
・・・学生の時まではずっとそう思っていた。
でも? 俺が社会人になると、分かった事があったんだ。
俺には、“女性を幸せにする力があるんだと。”
まあ、巷ではそれを“クズ男”と言うらしい。
俺は完全にクズ男だと思う。
それでも、ほんの少しの時間だけでも女性を幸せにする事が
出来るなら、その力を発揮するしかない!
俺は仕事を辞めて、ホストの世界に飛び込んだ。
ホストの世界は? 俺の想像を超えている。
色鮮やかな派手な世界! キラキラ輝かせてくれるステージに俺は立つ!
ホストになった頃は、先輩に何度も何度も叱られて何度も人が居ない所で
泣いた事もある。悔し泣きだ!
出来そうで、できない苛立ち。
女性を上手く喜ばせてあげられない。
この店を出る時には、先輩ホスト達は皆女性を【笑顔】で
見送ってあげるんだ。
あんな笑顔、俺にさせてあげれるのかな?
ただ、俺はメキメキと実力を発揮していく。
俺はこの仕事が、どうやら? “天職”らしい。
俺はいつの間にか? この店でトップまで上り詰めてしまった。
『ねえねえ、淳翔? 聞いてよ。』
『勿論、聞くよ。』
『私ね、また上司に仕事で怒られたの!』
【ポンポン】
『大丈夫、そんな時は俺が栞の傍に居るよ。』
『もぉ~淳翔たら~優しんだから~』
【ツンツン】
『栞だけだよ。』
『そうやって、“ここに来る女の子皆に言ってるんじゃないの?”』
『俺の目を見て! 俺は栞に“嘘”をついた事があるか?』
『・・・うーん? ないかな。』
『そうだろう! 俺は栞に嘘をつかないよ。』
『うん!』
俺が彼女にそう言うと? 彼女は満面の笑みを俺に浮かべる。
この時がまさに!? 俺の至福の時だ!
女性を輝かせてあげられる。笑顔にさせてあげられる。
最高の時間。
ホストになって良かったと思える時だった。
・・・でも? 仕事がら俺は一人の女性を好きになったりしない!
もし? “一人の女性を好きになると? 仕事に支障をきたす。”
それだけは、どうしても避けたかった。
それなのに、俺はうっかり好きな女性ができてしまった。
しかも? その女性は、うちの店に来る客の女だ。
最近、この女性を店で見るようになる。
俺は今まで、お客さんで来る女性を恋愛対象として好きに
なったことはない!
それなのに、この女性は何故か? 特別に想えた。
何か? “影がある女性。”
俺は完全に、彼女にハマる!
『今日は、どうしたの? ひとり?』
『淳翔! ワタシを慰めて...。』
【よしよし】
『仕事で嫌な事でもあった?』
『ううん、そうじゃないの。』
『じゃあ、何?』
『“片想いの男性ができたからかな?”』
『えぇ!?』
『そんなに驚く?』
『・・・い、いや?』
『こう見えても、ワタシだって“乙女”なんだから。』
『そんなの知ってる。』
『・・・なんか? 淳翔にはワタシの心を見透かされてるみたい。』
『まあね。』
『淳翔は好きな女の子とかいるの?』
『えぇ!?』
『仕事の関係上言えないよね。』
『・・・い、いや?』
『ごめん、困らせちゃったね。』
『あぁ、』
“どっちがお客さんなのか? 彼女と居る時の俺は自分らしくない!”
動揺ばかりさせられて、俺の心臓がもたないよ。
心臓が高鳴っているのが、自分でもわかる。
この女性は、ひょっとしたら、、、?
俺を幸せにしてくれる女性かもしれない。
ずっと俺が、女性を幸せにしたいと思っていたけど、、、?
この女性だけは違う!
“俺はクズ男でもいい! 君が俺を笑顔で幸せにしてくれる!”
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