13話
「ふぅ、やっと昼だ」
朝の妬み会は、始業のチャイムが鳴るとすぐに落ち着いた。
その後今に至るまで楠木は、俺に話しかけてくることはなかった。放課の間は、クラスの奴らが楠木のところまで話していたからだ。その時間横がうるさくてろくに眠れもしなかった。
「ねえねえ、三神くん今日こそボクとお昼食べよ?」
教室に昼ということでクラスには、あまり人がいなくなったことから楠木が俺に話しかけてきた。
「いやだ」
「なんで?」
「いやだから、それにお前は、話しかけてくるクラスのやつがいるだろ?」
「それは………」
俺が言ったことに楠木は、答えられなかった。
「いないのか」
「……」
楠木の沈黙が俺の言ったことの肯定だった。
「はぁ、今日だけだぞ」
「やった、今日は移動する時間がないからここで食べよ!」
「おい、さっき言ったぞ今日だけって」
「ええ~わかったよ」
「わかってくれたか」
楠木の説得のせいで食べる時間があまりないが、登校してる途中に買ってきたパンをカバンからだして食べ始めた。
「ああっあ、折角誰にもバレないところを教えようと思ったのに」
「………どんなところだ?」
俺は罠だとわかっていても、楠木が言う誰にもバレない場所ってというのが気になって聞き返してしまった。
「言っていいけど1つ条件があるよ」
「………なんだ?」
「それはね、さっき三神くんは今日だけって言ったけど明日からもボクと食べてほしいな」
楠木が出してきた条件は、ただ一緒に食べてほしいというものだった。
その条件を聞いた俺は、途中まで食べていたパンを机に置きどうしようか悩んだ。
「三神くんがこの提案受けたら友達に……よし!」
横で楠木の本音が聞こえてきた。
(あれ?ここで楠木の提案に乗ったら友達?それはダメだ。………いや待てよ、楠木は俺と食べたい、俺は静かに食べたい……なら!)
「わかったよ」
「ふふ、これでボクたち友達だね!」
「それは違うぞ」
「えっ?」
「楠木は、一緒に食べたい。俺は、静かな場所で食べたい。Win-Winな関係になるから友達じゃない!」
「これで友達になる作戦が……」
作戦が失敗した楠木は、しょんぼりしながら改めて昼を食べ始めた。
俺も楠木が食べ始めるのをみて、食べかけていたパンを手にとった。
「ふぅ、今日は昼を食えた」
昨日食べれなかった分、今日食べれた幸福感は高かった。
だが朝、瑞葉の朝ごはんの方が美味しかった。
「今日で三神くんと友達になれると思ったのに」
「俺はそんなに甘くない」
友達とは簡単にはなれないと俺は思っている。
たかが2日や3日で話して友達になれるわけがない。人とはそれほど簡単な生き物ではないのだから。
「むうう、でも瑞葉ちゃんとは友達だから瑞葉ちゃんにも手伝ってもらおう」
「おい、瑞葉を巻き込むなよ」
「瑞葉ちゃんも、多分ボクと友達になってほしいと思ってると思うな~」
「ないだろ」
即刻否定をしたが、あながち楠木が言ったことも間違ってないとも思ってしまった。
「まだ、時間はあるよね?」
「ああ、午後の授業は13時からだからな」
今は、12時50分まだ少し時間はある。
「今日放課後、ボクに時間をちょうだい」
「なぜ?」
「三神くんに会わせたい人がいる」
「誰だ?」
「それは会ってからのお楽しみに、放課後教室で待っててね」
楠木はそれを言うと次の授業の準備をし始めた。
(誰だよ一体)
俺は、そのことも気にしながら午後の授業を受けた。
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