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12話

進むスピード遅いかな?

朝目覚めると俺の横に瑞葉はいなかった。

 

「もう行ったのか?」


 俺は、寝室から出て居間に向かったところ、なにやら美味しい匂いが漂ってきた。


「お兄ちゃん、おはようございます」

「おはよう瑞葉」


 瑞葉に挨拶して洗面所で顔を洗いに行った。


「懐かしかったな」


 俺は、キッチンに立って料理をしている瑞葉を見て懐かしさを感じていた。

 昔、両親が生きていたとき、よく母と一緒に瑞葉が料理をしていた。あの頃の瑞葉は、すごく下手くそだった。だけど朝起きたときには、良い匂いがしていた。


「成長したんだな」


 顔を洗った俺は、一度寝室で制服に着替えてから瑞葉と一緒に朝食をとった。


「おいしい」

「よかった~私しっかり料理できるようになったんだよ」

「ああ、すごいぞ」

「えへへ」


 照れながら答えると俺の方を見てきた。


「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「時雨さんと友達にならないんですか?」

「俺は……」


 何も答えれなかった。

 瑞葉がしてきた質問は、至極真っ当なことだった。

 

「答えをまだ見つけられてない」

「そっか、それじゃあ、お兄ちゃんも私と一緒なんだね」

「瑞葉」

「ごめんね、お兄ちゃん朝から」

「いや、心配さして悪かったな」


 俺と瑞葉がお互い変わってなかったことを確認し学校へ行く準備をした。


「それじゃあ、気をつけてな」

「お兄ちゃんもね」


 瑞葉と別れて俺は、学校へ向かった。

 昨日とは違って余裕をもって電車に乗れ学校へも遅刻せずにつけた。


「今日は無事につけたな」


今日は、この後なにもないことを祈りながら俺は、自分の席についた。


「おはよう」


 俺が席について数分たつと教室の扉から声が聞こえてきた。


「おはようございます楠木さん」

「おはようございます」


 クラスにいた男女様々な生徒が楠木に向かって挨拶をし始めていた。

 楠木は、クラスのやつらには、あくまでみんなが理想の楠木時雨を演じている。俺は、最初それを見たとき気持ち悪くて嫌いだった。


「おはよう、三神くん」

「……」


 俺は、答えない。


「おい、あいつ楠木さんの挨拶無視したぜ」

「無視とかありえない」

「時雨様から、個人挨拶してもらいやがった。羨ましい!」


 各方面から俺宛への嫌味や妬みの声などが聞こえてきた。

 俺は、基本的に学校で楠木と話すつもりがない。周りに面倒くさい勘違いされるのが嫌だからだ。

 昨日までの2日間俺がクラスの中で楠木と話していたのは、クラスの中に人が少なく周りにあまり聞こえない声で話していたからだ。


「あまり、無視をしないでくれると嬉しいんだけど三神くん」

「………」


「またか、なんで三神のやつは無視すんだよ」

「ありえないんだけど」

「その席変われー」


 また、妬みや嫌味など聞こえてきたが気にせず始業のチャイムが鳴るのを待った。


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