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08

「わあ…」

目の前の大きな建物を見上げて思わず口が開いてしまう。


我が家も呆れるくらい大きくて広いけれど、規模も豪華さも全然違う。

凄い、お城みたい…ってお城なんだけど。


私はテオドーロと共に王宮へ来ていた。

まだ王子ルートはやっていなかったので、ゲームでも王宮の中を見た事はほとんどなかった。



「子供の頃からよく来てたんでしょ」

本物のお城を前に呆然としている私を見てテオドーロが笑った。

「…覚えていないもの」

「———本当に、どこにいったんだろうね姉上の記憶は」

くしゃりと頭を撫でられる。

…テオドーロはよくどちらが歳上か分からなくなるような扱いをしてくる。

前世の弟も一つ違いだったのだけど、あっちはもっと子供っぽかったのに。


「ちょっと…いつまで撫でてるの」

「姉上の髪サラサラしてて気持ちいいから」

「…こんな所で…」


「いつも仲がいいね、君達姉弟は」

殿下の声が聞こえて慌ててテオドーロの手を引き剥がし、お辞儀をした。


「そんなに改まらなくていいよ。今日は身内として呼んだから」

そう言う殿下の表情は柔らかくて…本当に腹黒なのだろうか。




「二人とも学園生活は慣れた?」

長くて広い廊下を歩く。

物珍しくてついキョロキョロしたくなるのを我慢していると殿下が尋ねてきた。


「はい」

「…はい」

「テオドーロは不満そうだね?」

「いえ…」

「テオドーロは毎日女の子達に囲まれて大変そうなんです」

「ああ、うちのクラスの子達も言ってたね」

くくっと殿下は笑った。


「今年の新入生の中では一番だとか、アレクシアに紹介しておいてもらえば良かったとか」

「私に?…あ…」

そうか、殿下のクラスという事は、私とも去年同級だったのか。


「今度クラスにおいで、皆んな心配しているから」

「はい…」


私の友人のうち、特に親しかったという令嬢とは春休みの間に手紙のやり取りをしたし、家まで会いに来てもくれた。

学園でもこちらの教室まで会いに来てくれたけれど…まだ向こうの、二年生の教室ヘは行っていない。

覚えていない人達に自ら会いに行くというのは勇気がいるのだ。




「そういえばアレクシアは昼食の時いつも同じ子といるけど、友達が出来たの?」

いつもって…見られてたんだ。

「はい、レベッカ・ステファーニさんです」

「ステファーニ…子爵だね」

さすが殿下、全部の家を覚えているのかしら。


「新入生代表の挨拶をした子だよね」

「はい」

「すぐに仲良くなったみたいだけど」

「お話が合うんです」

レベッカとは前世という共通の記憶があるからか、話が続くのだ。



「アレクシア。女友達はいいけど、男友達は作っては駄目だからね」

ふいに殿下は真顔になった。

「え?」

「君は友達と思っても、むこうはそうは思わない場合が多いから」

殿下の言葉に、テオドーロも頷く。

「覚えていないだろうけど、去年は色々大変だったんだよ」

「大変?」

「アレクシアはモテるっていう事。テオドーロ、アレクシアを守るんだよ」

「分かっています」

私がモテる?

どのへんが??


「そういう自覚がない所は記憶があってもなくても同じだね」

首を傾げた私に殿下は苦笑した。

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