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砂漠の織り手  作者: 葉月秋子


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3-18

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 司令官タウロス・モリア・デム・アムラート。


 まだ二十代後半の若さでありながら、王国のこの第二王子は北の諸国との戦で数々の武勲を立て、国民の間で人気が高かった。


 それが、この砂漠の民との戦いで、苦戦している。



「南のオアシス占領以来、何の成果もあげておらぬではないか」


 砂漠はあの蛮族共の独壇場。奇襲と撤退を繰り返しては砂漠に消えていく勇猛な戦士たち。

 深追いして砂漠に踏み込んだ部隊は、慣れぬ気候と地形に翻弄されて大きな損害を受けていた。


 礫の砂漠で足を痛め、砂の砂漠で足を取られて進めぬ馬たち。

 金属の鎧兜は昼の炎熱で焼け付き、夜の冷え込みで凍り付く。

 砂に紛れて襲い掛かる、毒持ちの魔獣。

 目印のない砂漠で迷い、水が切れれば、死をまつのみ。


 駱駝と言うみすぼらしい獣を操り、布の装備しか持たぬ蛮族に、これほど手こずらされるとは。


 

 しかし成果と言えば、確かにあった。

 

 南のオアシスで捕らえ、都に送られたこの蛮族の女子供は、皆が皆、魔力の保持者だったという。

 魔力の質にはまだ問題があるが、北の戦では考えられぬこと。

 魔力を持たずただの労働奴隷に落とされた者は、なんと一人もいなかったのだ。

 王の所有となり、四侯と神殿に分配されたこの捕虜たちをうまく交配させれば、その血が、王国の魔力を活性化させてくれるかもしれぬ。


 優れた魔導士の数人もいれば、こんな辺境の戦に苦労することもなかったのだ。


「魔力の質か・・・」


 これだけ魔力の保持者が多いのに、なぜか砂漠の民は攻撃魔法を使うものが少ない。


「砂漠の民にも、いろいろな部族がいると聞く。

 一番優れた魔力を持つのはどこか」


 後ろに立つ下士官たちは、一人の男に注目する。


 目元に青い刺青を入れた中年の男は、重い口を開いた。


「一番優れた魔力持ちはトゥリアークの機織りの巫女たちでありましょう」

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