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砂漠の織り手  作者: 葉月秋子


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「何かあったのですか、ばば様」


「なに、街のほうで少し小競り合いがあってな。

 南の氏族に、少しけが人が出たんで、薬師の爺にこっちも備えておけとたのまれたんじゃ。

 何人かこちらで養生させるかもしれんでな」


 南の氏族は、トゥリアークの九氏族の中で、ターキルの街に一番近いオアシスを起点にして交易をしている小さな集団。

 街の商人と契約し、トゥリアークの紐や織物を収めている窓口のような位置にあった。



 しばらくして、部族の男たちが、避難民の一団を連れ帰った。


 ばば様はけがをした、ミーアより二歳下の男の子の世話をすることになった。


 タイガというその子は長いまつげがきれいな線の細い子で。

 まだ熱のある体を横たえ、傍についてターロを織るミーアをぼんやりと見ている日々が続いた。



「僕もそれ、やってみたいな」


「ターロ織りは女の仕事よ」

 ミーアは笑いながら答える。


「僕は足がこんなになっちゃったから」

 と、白い包帯を指さして。


「もう、戦士にはなれないんだ。

 それならば、商人や農夫になるよりも、織り師になってみたいなぁ」



「ふむ、何かやろうという気力があるのはよい事じゃ」

 手当てを終えたばば様は、小さな頭をなでで言う。


「熱が下がって元気になったら、ミーアに教わって糸をいじってみるのも良かろう」

 



 



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