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砂漠の織り手  作者: 葉月秋子


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3-10

3-10


 織り手の見習い試験に提出するのは、三種類のターロ織りの帯と、織りか編みで作った布を一枚。


 帯の一本は、おばちゃんのイメージで臙脂系の糸で『家』を。

 一本は、ばば様のイメージで海老茶系の『草』を。

 オックのイメージの黄色を差し色にしようかな。

 そして紺の濃淡に白の『(しるべ)の星』


 戦士の人は『星』か『隼』か迷ったのだけれど。

 いや、もう『西の戦士長様』と言わなければいけない。

 東西南北の四人の戦長(いくさおさ)の、いちばん若い一人になられたのだから。


 三種類の初級のターロ板を並べて、ミーアは微笑む。


 材料の糸はほとんどの子が家でそろえたり、買ったりしたものを使うが、ミーアは糸染めから自分の手をかけたものを使いたかった。


 トトの毛を刈って紡いで脱色し、試行錯誤を繰り返しながら自分の欲しい色に染め上げていく。

 もう、大変な手間仕事だ。


 その上に「もっときれいな紫紺色が欲しい」というものだから。

 ばば様は、古い木翰を引っ張り出して読んでやり、ミーアはひと夏、とげだらけのガシャの樹から虫瘤を集めることとなった。

(こんなものも、染めの材料になるんだわ)


 そして。


「この木翰を読めるようになりたい」

 という望みも沸いて、ミーアは文字も覚え始めた。


 乾いた者がやっと水辺にたどり着いたように、ばば様が驚くほどの知識を、ミーアはどんどん飲み込んでいく。


(これは・・・この子は本当に、染め師になることができるのじゃないか・・・)


 と、ばば様が淡い期待を抱くほどに。



 魔力で染め上げ、織りあげた、至高の布を創って来た、古の職人たちのように。

 


 



 





 

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