3 王国の影
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その後。
せんしのひとは、ミーアをおんぶして山まで送ってくれた。
怒って喧嘩して、疲れ果てたミーアは、初めておんぶというものをしてもらい、それも相手はせんしのひとなので、すっごく緊張していたけれど、結局疲労に負けて、その背で寝てしまった。
眼が覚めたら、しっかり熱が出ていて、そのまま三日寝込んでしまった。
ばば様の薬湯が良く効いて元気になると、せんしのひとがキーヤの耳をつかんで引っ張って来て、ミーアとばば様に謝らせてくれた。
そして渡されたのは、前のと同じ仕様の真新しいターロ板。
ばば様とせんしのひとの口添えで、「巫女の集会所」はミーアの叔母に謝罪金を出し、保管している膨大な一族のターロ板の記録から、壊れたものと同じものを復元してくれたのだ。
そしてなぜかキーヤはふくれっつらで毎日山に登って来て、ミーアとにらみ合いながら、ばば様からトゥリアーク一族の歴史を聞く羽目になっていた。
弟子を取る話が先延ばしになったので、ほっとしたばば様は、木陰で好きな茶を飲みながら、二人の子供にぽつぽつと昔語りをする。
ときにはせんしのひとが一緒にくつろぎながら、男性の目線の逸話を語ってくれたりする。
二人の子供は、次第にその話に夢中になっていった。
トゥリアーク一族の歴史。
それは砂漠の東側の王国との、長い抗争の歴史だった。




