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砂漠の織り手  作者: 葉月秋子


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 村八分のような形で、部族の民と離れて育ったミーアは、叔母の手業しか間近で見たことがない。

 亡くなったミーアの母や、その妹の叔母のように。

 安定した魔力を込めたターロ織りを作るのは、実は大変に難しい事なのだと、ミーアは初めて知った。


 織り手の高位を目指す者は、まずは試験を受けて巫女見習いとなり、技と魔力を磨きぬいて、初めて『織り手の巫女』と名乗る事を許されるのだ。

 その手が織り出す、トゥリアーク一族の魔力持つ織物は、優秀な防具として砂漠に暮らす民の間で高額で取り引きされるが、なかでも最高の品質の品は、部族の外に出されることはないのだった。


 

 


 そしてそのまま、数カ月が過ぎる。


 やはり弟子になれる娘が見付からず、近隣に知らせを出したのだろう、と、ばば様は言う。

 砂漠を越えて知らせをとどけるには、時間がかかる。


 ミーアの髪も何度か染め直され、明るい栗色が定番となった。

 ばば様は、混ぜ合わせた練り物を、「白髪染め」として商品化するようだ。



 しかし、待っているだけ、というのも、なかなか落ち着かないものだ。


 老婆はふと考えてみる。


(染めと織り、両方を出来ないのか、か。

 物知らずの子供のいう事じゃ。

 どちらも中途半端で終わってしまうことだろうよ。

 しかし昔からの慣習と言うだけで、禁止されているわけではない。

 発祥は古代王国の染め部と織り部じゃったという。司る部門が異なっていただけの事。


 ふむ。試してみるかいの。

 基礎の魔力操作は同じ事じゃ。

 弟子に教える練習をしてみるか。


 儂もそろそろ、もっと旨い茶が飲みたいわい)




 そうした軽い気持ちで、ばば様はミーアを「試して」みたのだった。




 



 

 





 



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