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砂漠の織り手  作者: 葉月秋子
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2-3

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「磐座の御師殿があの混ざりものを引き取ったという」


「なんと、あの混ざりものを!」


「いままでいっさい弟子を取らなかったあの方が」


「あんなものを磐座に近づけて良いのか?」


「あれに『染め師』を継がせるおつもりか!」


「まあ、弟子にするとは限らぬ。

 使い走りとおっしゃっておいでだ。

 見習い試験まで、まだまだ年齢の足りぬ小娘。

 下女という認識で良いであろうよ。

 あのでかいうすのろといい、変わったものがお好きじゃからな、御師どのは」


「しかし、もうあのお年じゃ。

 早く後継者を育てていただかないことには。

 伝統の技が絶えてしまう」


「走り使いでもよい、もっとまともな者を使っていただけ」


「いままで巫女見習いの娘を何人も送ったのだが。

 皆ひと月ともたずに逃げ帰って来おった」


「儂の孫まではねられおったわ。

 生意気だ。知ったかぶりだ。物知らずだ。

 汚れ仕事を厭う奴はいらぬ。

 根性が足らぬと。

 とにかくお口が悪いのじゃ。

 こら、だれだ笑った奴は」


「いえ、失礼を」



 戦士の天幕に加わってまだ日の浅い若者は、水煙草の煙に噎せたふりをよそおって、こみ上げた笑いを押し隠した。


 根性か。


 泥だらけの顔で年上の子供たちを睨みつけていた、あの紫の輝く瞳。


 たしかに、根性だけはありそうだな。あの子は。




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