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共にいられる時間が限られてから、叔母はしっかり系統立てて、ミーアに編みの基礎を教え始めた。
普通の女の子ならば、毎日母の手元を見て育ち、ゆっくり学んでいくものを。
この利発な姪を、こんなに早く手放すことになるとは。
生活に追われて、売り物の紐作りを優先していた、今までの時間が口惜しい。
胸飾りも、籠も、甕を運ぶ網も。
大きなものは部屋を仕切る衝立から、大物狩りに使う罠まで。
ターロ板を使わなくても、部族の女はなんでも編めるのだ。
材質も用途に分けて、羊毛、麻、仙人掌の繊維に、つる草の茎。
それに花模様を編み込んだり、家の紋章を表したり。
各人の個性の発揮し処だった。
ミーアは大姉様の才を受け継ぐ子。
いつか部族に受け入れられ、ターロを引き継げますように。
『運命の織り手』様に受け入れられますように。
次は何を教えようか。
どんどん吸収していくミーアに驚きながら、二人は楽しく手を動かすのだった。
忘れてならないのが、それを編み込む手の手入れ。
手が荒れて糸が引っかかるようでは困るが、下手に油など擦り込んでは作品が汚れる。
ばば様は、部族の女たちが使う、蜜蝋をベースにした軟膏も、化粧下地の水薬の調合も、一手に引き受けて作っていた。
「染め草も薬草も、似たようなものじゃ」
名を憶え、摘み方を憶え、いかに成分を壊さずに取り出し、利用する事ができるか知る事じゃ、と。
「ま、いろいろやってみたが、染め物が一番楽しいのう」
だから儂は薬師ではない、染め師だと、『磐座の老師』は笑うのだ。
だーから早く染め物を教えてくださいな。ばば様。