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砂漠の織り手  作者: 葉月秋子
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2-2

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 共にいられる時間が限られてから、叔母はしっかり系統立てて、ミーアに編みの基礎を教え始めた。

 普通の女の子ならば、毎日母の手元を見て育ち、ゆっくり学んでいくものを。

 この利発な姪を、こんなに早く手放すことになるとは。

 生活に追われて、売り物の紐作りを優先していた、今までの時間が口惜しい。

  

 胸飾りも、籠も、甕を運ぶ網も。

 大きなものは部屋を仕切る衝立から、大物狩りに使う罠まで。


 ターロ板を使わなくても、部族の女はなんでも編めるのだ。


 材質も用途に分けて、羊毛、麻、仙人掌(サボテン)の繊維に、つる草の茎。

 それに花模様を編み込んだり、家の紋章を表したり。

 各人の個性の発揮し処だった。


 ミーアは大姉(おおねえ)様の才を受け継ぐ子。

 いつか部族に受け入れられ、ターロを引き継げますように。

 『運命の織り手』様に受け入れられますように。


 次は何を教えようか。

 どんどん吸収していくミーアに驚きながら、二人は楽しく手を動かすのだった。




 忘れてならないのが、それを編み込む手の手入れ。

 手が荒れて糸が引っかかるようでは困るが、下手に油など擦り込んでは作品が汚れる。


 ばば様は、部族の女たちが使う、蜜蝋(みつろう)をベースにした軟膏も、化粧下地の水薬の調合も、一手に引き受けて作っていた。


「染め草も薬草も、似たようなものじゃ」

 名を憶え、摘み方を憶え、いかに成分を壊さずに取り出し、利用する事ができるか知る事じゃ、と。


「ま、いろいろやってみたが、染め物が一番楽しいのう」


 だから儂は薬師ではない、染め師だと、『磐座の老師』は笑うのだ。




 だーから早く染め物を教えてくださいな。ばば様。

 





 


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