15/43
1-15
1-15
小さなミーアが首が痛くなるほどに見上げなければならない、大きな、大きな人。
村の人たちと同じ服装だが、その眼も、肩まで伸ばした髪も、薄い茶色。
トゥリアークの民ではない、若い男だ。
ちょっと首を傾げてミーアを見おろしたまま。
ミーアもびっくりして固まったまま。
「おお、オック、戻ったかい。
それは今日からここで暮らす、ミーアという子だよ」
老婆の声に、ほっと二人は緊張をとく。
「これはオックという。
砂漠で隊商が拾って来た子でな。
口はきけぬが耳は良いよ」
優しい子なのに、毛色が違うといじめられてな、と老婆が言う。
ああ、私と同じなのか、とミーアは思った。
みんなと違うと、はじき出されるんだ。
こんな大きい人でも、いじめられるのか。
「・・・よろしく」
怖々言うと、若者もにぱっ、と笑って、
「オック」
と喉で音をたてた。