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「オック。オーック。
ふむ、まだ戻っておらんかい」
昼には少しはやい時刻。
では、手始めじゃ。と、老婆は一休みしたミーアを畑に連れて行く。
あまり広くはないが手入れのいい畑は、いくつかに区切られ、様々な植物が植えられている。
その一角、芽吹いたばかりの双葉がたくさん顔をのぞかせている場所。
「新芽がごちゃごちゃ出ておろう?
一番元気なのをそなたの掌の幅に三本だけ残して、後はこの籠に摘んでおくれ」
なんだろう、これは。染め草だろうか。
「これで、染めるの?」
草木染の材料かと、ミーアはわくわく。
しかし老婆はけらけら笑う。
「いいや、昼餉の汁の実にするのさ」
細い根っ子を痛めないように、片手を添えて優しく、と教えられるまま、初めてもらったお仕事に、夢中になって、籠の半分もうまった頃。
下を向いているミーアの眼の前に、人影がおちた。
はっとして見上げた先に立つ、大きな人物。
「きゃっ!」
と、思わず声を上げてしまう。