プロローグ:転生する前にキャラメイキングをします。①
水橋楓。
十六歳・身長百七十センチ・良くも悪くも普通な少年は、運悪く死亡してしまう。トラックに轢かれそうになった幼稚園児くらいの男の子を庇って死んでしまったのだ。
(そしたらこれですか)
周りが光に覆われた空間。自分が小さな丸い球体のようなものになっていることに気付く(なんかフヨフヨ浮いてる)。
(俺は死んだ、ってことでいいんだよな? なんで死んだらこんな置物みたいになってんの? 転生ってこと? え、俺置物に転生したの?)
一人文句を言っているとこんな言葉が飛んでくる。
「お目覚めになりましたか! 楓様!」
すっごく元気な銀髪ロングな天使ちゃんが目の前にやってきました。
(うん、おはよう。なんで俺の姿がこんな丸っこいやつなのか、説明くれるかな?)
「はい! 楓様はまだ身体を持っていませんのでそうなっています!」
あれ、この娘変なこと言わなかった?
(身体って何!? 俺死んだことは受け入れるけどこの姿は受け入れ難いよ!? 仮にも男子高校生がこの姿になってみなさいよ、なんて言われるか想像し難いから!)
天使ちゃんは両耳を人差し指で耳栓している。相当うるさかったのだろう。しかし、今はそんなことどうでもいい。
「その姿に満足できていないのは重々承知です! な・の・で! 今からキャラメイキングを始めましょう!!」
変なことに巻き込まれて辛いんですが……。