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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第4章 始まりの戦い
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第77話 街を襲う天使

「あ、イル、どうしたの?」

私がレンちゃんのダンジョンについたとき、すでにことは終わっていた。

目の前には、見るも無残に引き裂かれた魔獣の姿。おそらく、レンちゃんを仕留めに来たのだろうが、買えりうちにあったらしい。

彼女の周りには大量の魔物。ダンジョンから湧き出たものらしいが、あれらは魔獣の攻略対象外だったみたいだ。


「いや、何でもないわ。その魔獣を倒しに来たのだけれど、いらぬお世話だったみたいね。」

余裕の表情をしているレンちゃんを見て、私の心配は杞憂だったことがわかる。

私はすぐに引き返そうとする。


「あ、イル、」

そこを引き留められる。何かあったのだろうか?


「どうしたの?ダンジョンで何か問題でもあった?」


「いや、だんじょんはだいじょうぶだけど・・・きいたはなしによると、まちがもうまずいって・・・」


彼女の言葉を聞き、私は耳に意識を集中させる。すると、様々な音が聞こえてくる。

だが、戦闘音らしきものはあまり聞こえてこない。聞こえてくるのは、破壊音ばかりだ。


「ほとんどの人はもうすでに負傷なりなんなりで離脱したみたいね。」


「そうなの、もうみんなたたかえなくて・・・まちが・・」

レンちゃんは申し訳なさそうな顔をする。


「あなたのせいじゃないわ。教えてくれてありがとうね。あとは私に任せておきなさい!!」

私は彼女の返事が返ってくる前に走り出す。できるだけ音が多い方向に、全速力で走った。








私が向かった先では、天使たちが街の破壊行動をしていた。

彼らは無表情で、ただひたすら破壊を繰り返す。そこに意味などなく、ただただ与えられた命令をこなす者たちの姿。


天使というのは厄介だ。彼らは美徳を良しとしており、そのためか命令に忠実だ。

ただ、作業のようにそれを繰り返す天使たちに、私は攻撃を仕掛ける。


「そこで何をしているのかしら?」

街の破壊に夢中になっている天使の一人を、不意打ちするように攻撃した。それは悲鳴も何も上げずに、倒れ伏した。

そしてもう動かない。糸の切れた人形のようになる。


1人目はそれでいい。だけど、ほかのやつらが私の襲撃に気づき、即座に襲い掛かってくる。

おそらく、天使たちに与えられた命令は、私たちの排除が第一、街の破壊が第二っていうところね。

私は武器を構え、天使たちを迎え撃つ。


視界に入っているだけでも天使の数は20は超えている。

私がいかに熾天使だったといっても、あの数が相手では多勢に無勢だろう。

そのため、少し引き気味に戦うことにする。1人倒して、その場から離脱し、距離をとる。

それの繰り返しだ。


このままこれを続ければいつかは―――――――――


その思いで、私は天使を狩り続ける。だが、私の戦いが終わる気配はまるでない。

倒せば倒しただけ、天使が補充されている。そんな感じがする。


見れば、初めは20程度しかいなかった天使は、もうすでに40は超えている。

初めは少し余裕があったこの戦いも、今になってはそんなものどこにも残っていなかった。


「いい加減、しつこいわね・・・」

私は愚痴をこぼしながら天使から逃げるように戦い続ける。


その時、疲れのせいか私の足が地面の出っ張りに取られてしまう。



―――――――あの時と、同じだ。

地面に躓き、体勢を立て直す少しの間に、私は天使たちに包囲されてしまった。

無表情の天使たちの顔が私の目に映る。


――――ッチ、ここまでみたいね。

こうなってしまっては、私にできることは1つだけだ。


私は、あの時同様に、神器の指輪の力を発動させ、結界をはる。

天使たちに自我はないのだろうか?彼らは結界に阻まれながらも、攻撃の手を緩めることはない。

この結界は、一定以上の威力の攻撃を受けると破壊される。だが、それは一撃で許容量を超えた場合の話だ。

こうやって、小さな攻撃ならいくら受けようとも結界が壊れることはない。

この神器は天界から盗み出したもののため、その情報が出回っていないとも限らない。

にもかかわらず、彼らは攻撃をし続ける。


この調子なら、一時間は耐えきれる。


天使たちは攻めきれない私を相手にそこに放置するどころか、逆に集まってきている。


一時間後、この結界が解除されたときの私がどうなるかはわからないが、この間はとりあえず私も街も安全だ。




さて、これからどうするか考えなければいけないわね。



今回は数日あいた上に、文章量も少ないですが、次回から物語の終わりまではいつものように投稿しますので、どうかよろしくお願いします。

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