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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第3章 異世界勇者到来
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第61話 傷ついた体とその結果

今回は短いです。

そもそも、前の話の後ろにくっつく予定だったものです。

「全く、私が治さなかったどうするつもりだったんですか?」


目が覚めた私に、初めに投げかけられた言葉がこれである。

どうやら、またマナリアが治療してくれたようだ。彼女には頭が上がらないわね。


まあ、一応ここは魔素の源泉だから死にはしなかったと思うけど、それを言うのは無粋ってもんよね。


「そういえば、あなたが助けてくれるとしか思わなかったから、その場合のことを考えていなかったわね。助けてくれてありがとう。」


私はとぼけるようにマナリアに感謝を述べた。

そしてそのまま立ち上がろうとする。


しかし、


「あ、イルさん。まだ立ち上がったらだめですよ!!」

うまく体に力が入らない。

起き上がりかけた私の体は、そのまま再び倒れることになってしまった。

これは、


「貧血?」

あれだけ血を流したのだ。貧血になっていてもおかしくはない。


私のつぶやきを聞いたマナリアは、申し訳なさそうな声で話しかけてくる。


「はい、お察しの通り、イルさんは現在血液が足りていません。回復魔法は失われた血液は戻らないんですよ。」

彼女のことだ。また、自分のせいだと思っているのだろう。

「そう、まあ気にすることはないわ。」


私はそういうと、再び体を起こそうと試みる。

私が無理して動くつもりだと思ったのだろう。マナリアは私を寝かすために押さえつけようとしてくる。


体に力が入らないはずなのだ。

その状態なら、私は抵抗なく倒れると思ったのだろう。

しかし、彼女に押された私が倒れることはなかった。


「そんなに心配しなくても、私は大丈夫よ。」


半ば私に抱き着いてきているマナリアに、私は軽く抱きしめる。

その腰には、黒く染まった二対の翼が生えてきていた。私の体はそれによって支えられている。

魔力で動くこの翼には、貧血なんてものは関係ないのだ。


「あ、イルさん、それ・・・」


私の正体を初めて知ったのだろう。彼女はそれを見て驚いたような声を上げている。


「そういうことだから、今からすぐにでも準備を始めることにしましょう。」


私は目を丸くしているマナリアの横をすり抜けながら、部屋を出る。

果たして、私が体を張った意味はあったのだろうか?

それを確認するために、私はみんなを探すのであった。




――――――――――――――――――――――――



マナリア以外の人は、全員リビングに集まっていた。

何故勝手に上がり込んでいるかを聞きたいところではあったが、今の状況的にそんな余裕はない。


マナリア曰く、私が寝ていた時間はそこまで長くはなかったらしく、今はあの戦いがあった日の夜中だ。


私が部屋に入ってきたのを見たダインとノーストリアがまず初めに近づいてくる。

彼らの表情は非常に暗い。


「あの、・・・・イルさん・・」


ノーストリアはどういっていいかわからないような感じで、私のほうを上目遣いで見てくる。

そんな中、ダインは、


「イシュルさん、僕はやっぱり、あなたを許せそうにはありませんでした。でも、今回は戦おうと思います。」

とはっきり物申す。

彼は勇者のことは許せないようだが、今回は戦ってくれるみたいだ。

私はそのことに安心する。

これで彼が怒り続けていたら、刺され損だったわ。


私はそう思いながら、彼らのほうを見て一言、大きく宣言するのように言った。



「じゃあ、みんな集まったことだし、天使対策を立てるわよ。」


私たちの心は、この時だけは一つの方向を向いていた。


これで第3章は終わりです。


次からは第4章、対天使編 (仮名)に入ります。

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