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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第3章 異世界勇者到来
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第52話 緊急事態!?ノーストリアの伝令

その後、魔力が尽きてこれ以上の続行は不可能のため、今日の特訓はここまでとなった。

因みに、2人はマナリアが担いで帰った。


魔物との戦闘は全て私任せだ。

マナリアが2人とも担ぐのは無理があるような気がしたのだが、彼女は喜んで引き受けてくれたからそれは良しとしよう。



そして後日、私達は私の家に集合していた。

今日はノーストリアは来ていない。

なんでも、勇者パーティ宛に何か依頼が来ているらしい。

一応、研修という名目で来ているので、やらなくてはならないことがあるそうだ。


その為、今日は先の内容には進まずにここで今までの復習をすることにしている。


今現在、行なっているのは魔力制御の練習、その中でも魔法の手動調整の練習だ。

先の戦闘で、時間がかかったこともあって練習したいとの声がレンちゃんから上がったからだ。


マナリアはレンちゃんに付きっ切りでその様子を見ている。

因みに私も同様のことをしている。


やってみて初めての分かったのだが、これが結構奥が深い。

私は強化系の魔法しか使えない為、他の魔法はよくわからないが、それでもかなり幅広く調整が出来そうだ。


私は試しに幾つか実験をしながら練習してみる。


強化魔法で私が弄れる項目は、使用魔力、効果時間、威力、の3つだ。

マナリアに聞いたところによると、普通はここに効果範囲が加えられるらしいのだが、私の場合これは自分の体に固定されているらしい。


ちなみに、威力を大きくすれば効果時間は小さくなる。

そして使用魔力を増やせば、全体の効果が上がるということだ。


それを踏まえた上で1つ実験をしてみる。


私は1つの石を拾い上げた。大きさは手のひらに丁度収まるくらいだ。

そしてそれをそのまま握ってみる。


当然、石に変化はない。

私はその状態のまま自分に『筋力強化ストレングス』を普通にかける。


だが、石はまだ割れない。

そこで私はそのまま石を握る手に全力で力を込める。

すると少しした後、パキッ、という音を立てて石が割れた。

私はそれをしたことによって『筋力強化ストレングス』の大体の効果を把握した。


本題はここからだ。

今度は使用魔力はそのままに、しかし、効果時間を1秒まで狭める。

通常の場合は5分間は効果がある。それを300分の1まで圧縮したのだ。

その時、威力値はどれだけ増えるのか、これはそういう実験だ。


5分後、私は別の石を手に取ってそれを握る。


そして今度は効果時間を減らすように調整を始める。

魔法の調整は極端に成る程に難しくなる。

これを初めての教えてもらった時にマナリアにそう言われた気がするが、それは本当だったようだ。

かなりの集中力を要する。


結局、私が魔法の準備を終えたのは石を握ってから5分後だった。

これなら効果が切れるのを待つ必要は無かったわね。

私はそう思いながら、魔法を発動させた。

その瞬間、手の中にあった石が粉々に砕け散る。

その光景に、私は少しだけ驚きながらも、考察を開始した。



しかしあまりに一瞬だった為、出て来たのは、

「強化され過ぎて寧ろどのくらい効果あったのかがわかりにくいわね。」

と、そんな結論だった。

まあ、時間を絞ればそれだけ高い強化率になるという事を実証できたし良しとしよう。


元の予定としては、次は使用魔力を大量に増やして効果を測るつもりだったのだけれど、どうせ無駄になるだろうという考えが浮かんで来たのでやめておくことにした。

やらなくても結果は分かっている。先ほど同様に一瞬で粉々になるだけだろう。


そう思った私は休憩に入る。魔法の調整をして疲れたし、別にやる事も無くなってしまったからだ。

後はレンちゃんでも見て過ごすとしよう。








私がレンちゃんの魔法練習を見ていた時だ。

私は誰かがこちらに走ってくる気配を察知した。

その人物はよほど焦っているのか、かなりの速度だ。


そして私がそれに気づいたすぐ後に、その人物は姿を現した。


見てみるとやって来たのはノーストリアだった。


何かがあったのだろう。彼女の体はボロボロだ。

また、ここまで一直線で走って来たせいか、服は枝に引っかかって強引に引っ張ったような傷がいくつも見られる。


髪は乱れていて、顔には土がついている。

彼女は私たちの目の前にやって来ると、膝に手をつき、息を整えている。


私は話を聞こうと彼女に駆け寄る。


すると彼女は私が聞くよりも早く、切羽詰まった声で要件を伝えようと喋り始める。


「イルさん!!あの、、私、どうしたら良いか、、」


しかし、かなり焦っている為だろう。彼女は何から話したら良いかが分からずに声を詰まらせている。


「ちょっと落ち着きなさい。先ずは深呼吸をして。はい、」


私はまず、彼女に落ち着くように促す。

彼女も私の言葉の通り、一度深呼吸をして心を落ち着かせようとする。

そしてその間に異変に気がついたマナリアとレンちゃんもこちらに近づいて来る。


「さあ、落ち着いたわね。なら、話を聞かせてくれないかしら?」

先程よりは平静を取り戻した様子のノーストリアに私は問いかける。

すると彼女はもう一度深呼吸をしてから、


「イルさん!!助けてください!!」


と大きな声で言った後に、状況の説明をし始めたのだった。

次回投稿は今日中、勇者視点です。




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