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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第3章 異世界勇者到来
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第51話 ダンジョンボスとの攻防 後編

攻撃を回避していいのは大きい。

それを証明するかのごとく、2分の時間稼ぎは簡単に終了する。

それと同時に私は叫ぶ。


「マナリア!!ぶっ込んじゃいなさい!!」


彼女はこの戦闘が始まってから、何があってもいいように常に魔法の準備をしていた。

今回はそれに頼ることにする。やってもらうのは結界の破壊だ。


せっかく時間が稼げても、こちらの攻撃が届かないのでは意味がない。その為結果の破壊は急務だ。


「了解ですよーイルさん!!」


どこか気が緩むような声がして、いつか見た雷光が私たちを包む結果にぶち当たり、それを消滅させる。


そして、結界が消えたのを確認した2人が同時に魔法を放つ。

「ファイア!!」「アイス!!」

唱えられたのはどちらも初級魔法だが、その威力はその枠組みに囚われない。


先に着弾したのはレンちゃんの魔法だ。

氷の魔法が熊の全身を凍りつかせる。だが、そこは魔物、巨大なこともあって体に内包する熱量も凄まじい。

まだこれだけでは絶命には至らない。


しかし、その直後にノーストリアの炎がその体を包み込む。

急激に冷やされた体を今度は急激に熱せられたその熊は、苦しそうに呻き声を上げて体から血を吹き出し、そのまま絶命する。


どうやら終わったみたいね。


「2人とも、お疲れ様。」

私は魔力を使い果たして座り込んでいる2人に声をかける。

2週間前はまともに魔法を使えなかった事を考えると、大きな進歩だ。

「ん、おつかれ、」

「お疲れ様です!」

2人とも無事みたいだ。私が守ったのだから当然と言えば当然のことだ。

むしろ、私の体の方が砂埃などを被った分見てくれが悪い。

2人は強敵に勝てたことに感動しているのだろう。

私の労いの言葉に返しはしたが、心ここに在らずと言った様子だ。


しかし、そんな2人が感傷に浸るのを許さないものがいた。

「ほら!!レンちゃん、ノーストリア、反省の時間ですよ!!」

情緒もへったくれもないわね。

マナリアはこちらに駆け寄ると直ぐに反省を始める。


2人も現実に引き戻されたのだろう。いつもの引き締まった表情に戻って話を聞く用意をしている。


「先ずは良かった点です。これは判断の速さですね。これはなかなかのものでした。」


それはそうね。私が攻撃方法に思い至った時にはもう既に準備を始めていたし、良かったと思うわ。


「ですが、壁役を1人に任せたのはいけませんね。どちらか1人は戦闘に残るべきでした。あれでは直ぐに前衛が抜かれてしまってやられてしまいます。」


確かに、あれは1人で抑えるのは骨だったわ。一撃一撃は重いし、速さもなかなかのものだった。

しかし、誰かが補助に回ってくれれば、少しは楽できただろう。

それを理解できたのか、2人はとても申し訳なさそうな顔をこちらに向けてくる。


余り気負わせても悪いだろう。

私は笑みを浮かべてそちらへ向かって軽く手を振った。

気にしないでいいという意味を込めての行動だったが、逆効果みたいだ。

2人はより一層、落ち込んだ雰囲気を見せる。


あんまり気にしても仕方ないのだけれど、まあいいわ。


「そして次は魔力の使用量です!!ここは地下10階ですよ!!ここで搾り尽くしてどうやって帰るつもりなんですか!?」

それはもっともな意見ね。今回はレンちゃんが『ダンジョンワープ』を使って入り口まで飛べばいいが、普通はそうはいかない。

ココで全て出してしまっては、帰路が危険になるだけだろう。

ちなみに、『ダンジョンワープ』は特殊技能スキル扱いなので、魔力ではなく、体力消費だ。

こういう時でも、問題なく使用できる。ある意味、卑怯な技とも言えるだろう。


「そして最後、これは私ですね………相手が赤い熊と見て少しだけ侮っていました…」

そう言うマナリアの表情はとても暗い。

皆を危険にさらしてしまった事を悔いているのだろう。

これは少し、フォローが必要かしらね。

そう思って彼女に近づこうとした時、

「ん、きにしないで、いい」

「そうですよ!先生は悪くありません!!」

先程まで彼女から説教を受けていた2人が声をあげる。

マナリアはそれに感銘を受けたみたいだ。

少し硬直したあと、2人に抱きついて、


「うわあああああ!!本当にごめんねええ!!怖かったよねええ!!」


と叫ぶように言う。その顔には先ほどのような影はない。ただひたすらに、我が子を思う母親のような優しさが感じられた。

2人も、抱きついてくるマナリアを拒む事なく、それを受け入れる。


本当に彼女はいい生徒を持ったわね。


1人蚊帳の外の私は、その美しいとも言える光景を見ながら、そう思うのだった。



最近、なろうのポイントの話を少し読みました。


詳細は省きますが、初めての作品でブックマークをして下さる方がいることは、恵まれているのだと気付きました。


これからも更新は続けていきますので、ついてきて下さると、本当に助かります。


ブックマーク、本当にありがとうございます。

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