第5話 強欲は迷わない
今回も世界の設定みたいな話です。
【称号】
かつて世界を作った神が世界と同時に作ったものとされている
【称号】はその人物がなにか大きなことをしたときにそれにふさわしいものがその者のもとに届く
【称号】を与えられた者はその称号にふさわしい能力を得る
【称号】によって手に入れた能力は【特殊技能】と呼ばれる。
【特殊技能】
【称号】と同時に与えられるもの
【称号】の名前にふさわしいと呼べるよう異能を使用できるようになる
使用時には、使用者のエネルギーを起こす事象の大きさに応じて消費する
以上の内容が特殊技能と称号に対する一般的な知識だ
称号はどんな生き物にも手に入れるチャンスがあるから目の前にいるヴィルが称号を持っていること自体は、たいして問題ではないのだけれど、、、
「【怠惰】の称号ってちょっとヴェル?あなたどういうこと!?」
【怠惰】を持っているとなれば話は別だ。世界には大罪系の称号というものがある。
大罪系の称号は常に世界に1つしか存在しない。そんな称号を持っているヴィルが私は少し気になった
「どういうことと言われても手に入れてしまったことはしょうがないだろう?せいぜい有効活用させてもらうことにしているよ」
当の本人は大罪系の持ち主としてはえらく適当な気はするが
「そう?でも以外ね」
私は素直にそう思った。大罪系の能力を持っている者はどうしてもその称号にしるされている態度をとることが多い。それなのにヴェルは、
「【怠惰】の称号もちなら人助けなんてめんどくさがってやりそうにないものなのに」
一切の迷いなしに私を助けるような行動をとった
その言葉をきいたヴェルは少し困ったように
「まぁ、俺の場合は少し特殊だからな」
と言った。どうやらあまり詮索はしないでほしいらしい。
これは珍しいことではない、珍しい称号もちの者はあまり自分のことを語りたがらないことが多い。
大罪系の称号ともなれば自分語りをする方が特殊といわれるだろう。
そこはあまり気にしていないのだけれども、
「結局【怠惰】の特殊技能ってなんなの?【怠惰】っていうんだから敵を眠らせたりする能力なの?」
「まぁ、似たようなもんだな。」
私の質問に対してヴェルは肯定の意を示す。でもこの言い方だと間違いではないけど正解ではないみたいね。まぁ、そこはいいわ
「それはともかく、イルはこの後どうするんだ?天使に追われているんだろう?」
そういえば【怠惰】ショックで忘れていたけれどどうしようかしら?天使に追われ続けるのは今回のできついのが分かったしなぁ・・・と今後のことについて考えはじめたことだった
目の前の結界の効果が切れたのだ。
いままでは絶対的な防護のうちにいたからあまり身の危険を感じていなかったがいざ無防備になってみると今後のことが不安になってきた。今回は相手が比較的弱めということもあったので私一人でも逃げ続けることができたが、同格以上の相手が来るとそれだけでどうなるのかがわからない。
っとここで一ついいアイディアが浮かんできた。
「ね、ねぇヴェルさん?」
まず、私はヴェルの機嫌を損ねないようにした手に出ることにした
「ん?どうしたんだ?そんなに改まって」
よしっ!!話は聞いてくれるみたいだ。てっきり神器を複数持っていることを知られたから結界が解けた瞬間襲われることも考えたんだけどその心配は今のところないみたいね。ならば、
「もしよかったら私をちかくの街まで案内してくれないかしら?」
と頼むことにした。半ば藁にも縋る思いだったが心のどこかでヴェルは断らないであろうことは確信していた。その証拠に
「あぁ、別に構わないが近くの街は2つあるんだが希望はあるか?」
あぁ、この場所は2つの街の間ということね。結構無我夢中に逃げてきたからここがどこかいまいちわからないのよね。
「ちょっと逃げてきたから現在地が分からないのだけれど、近くの街ってそれぞれどういうところなの?」
一応聞いてみる。
「あぁ、ここから一番近いのは魔族の街のレストアだな。次に近いのは人間の街テラだ」
ふむふむ、魔族の街に行くか人間の街に行くかってところね
「ちなみに一応言っておくと俺はテラに行く途中だ。故にそっちのほうが俺としてはありがたかったりするんだが、レストアはかなり近いし知り合いも多いからそっちでもいいかもな」
ふ~ん、早く街につきたいなら魔族側ってことね。元熾天使の身としては魔族の街に行くのは少し抵抗はあるけど、ヴェルの知り合いがいるというのならばそっちにかくまってもらうっていうのもありかもしれないわね。なんやかんやでこいつ頼みごとを断りそうにないし、
「そう、じゃあヴェルには申し訳ないけれどレストアまで案内してくれるかしら?」
私は魔族の街に行くことにした。
今回まででプロローグといえる部分は終わりました。
当初の予定としては2ページくらいにまとめるつもりだったんですけどうまくいかないものですね。
文章はどれくらい削ればいいのかとか難しいです。
次回は街に行きます。