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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第3章 異世界勇者到来
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第44話 マナリア先生による初めの授業


「よし、始めますね。」

レンちゃんの講師を務めることになったマナリアはその言葉とともにこちらを向いた。


ちなみに、私もマナリアの講義を生徒として受けることにしている。

私は魔法に向いてはいないだろうが、使えないわけじゃないはずだ。そう言う思いからである。

「はい!よろしくお願いします!!」

「よろしく、おねがいします。」

「よろしくね。」

3人は一斉に返事をする。

マナリアの講義を受けるのは私と、レンちゃんと、後もう1人、ノーストリアだ。

魔法は流石に教える事ができないとヴェルに泣きつかれたので、仕方なくこちらに来てもらうことにした。

まあ、それは仕方ないし文句を言うつもりはない。なにより、本人もこっちの方が良さそうだしね。



「それでは、皆さんは魔法使いの強みはなんだと思いますか?」

マナリアがそう問いかける。

どうやら彼女は自分が喋り続けるのを良しとしないタイプのようだ。

その質問に対してレンちゃんが手を上げて答える。

「とおくから、こうげきできるところ?」

しかしその答えは否定されてしまう。


「それも一応ありますが、それだけなら魔法である意味はありません。弓を使った方が早いし魔力が必要ない分強いです。」

確かに、遠距離攻撃だけの利点ならそういう武器を使えばいいだろう。なにも魔力を削ってまで魔法を使う必要はない。

それを聞いたノーストリアが手を上げて意見を述べる。


「では、火力でしょうか?遠く離れたところから高火力、広範囲を攻撃できる点ですか?」


まあ、そういう結論に至るのも当然だ。

弓なんかにはない利点だ。

相手の攻撃範囲外から一方的に高火力攻撃ができる。しかも単身で、と言うのは実際にかなりの利点だ。だが、それも少し違うようだ。


「ある意味惜しいですがそれも違います。そもそもそれだけの魔法を使うにはかなりの修練が必要です。それなら大砲を撃つ訓練をした方が楽でしょう。」


その答えを聞いた2人は黙って他に何かないかと悩み始める。

というか、レンちゃんはともかくノーストリアは普通知っているべきでは?

私はそう思いながらその様子を眺めている。

するとマナリアが、


「わからないようですね。では、イルさん!教えてあげてください!!」


「え!?私!?」


「はい!イルさんは今は私の生徒なんですから、先生の言うことは聞かなきゃいけません!!」


そう言うマナリアは何処か得意げな表情をしている。自分の得意なことの話ができて楽しいのだろう。

それにしても魔法の一番の利点ねぇ、、、


「種類、じゃないかしら?」

距離も火力も違うと言うのなら、あとは正直これくらいしか思い浮かばない。

「はい、そうですね。あってますよ。」

私の答えを聞いたマナリアはそれを肯定する。

「、、?」

「種類、ですか?」

レンちゃんとノーストリアは余りピンと来ていない様子だ。

その様子を見たマナリアは解説を始める。


「魔法は発動する際に必要な道具はありません。強いて言うなら魔力が必要というくらいです。」


「はい、それはわかりますが、、」

ノーストリアはまだ理解出来ていないようだ。


しかしレンちゃんは、「あっ、」っと何かに気づいた様子を見せる。

そしてマナリアは続ける。

「魔法の発動に必要なものが無いということは、武器種を選ぶ必要が無いということと同義となるのです。」

そこまで聞いてノーストリアも気づいたようだ。


「成る程!つまりは攻撃手段の数だけ武器が必要なのに対して、魔法は魔法の数だけ攻撃手段があるということですね!!」


「はい、その通りです。同じ攻撃を続けてはすぐに対処をされてしまいますが、毎回違う魔法を使われれば対処が難しくなります。」


それは当然だ。先の戦いで私がノーストリアの魔法の発動タイミングを測ることができたのも、彼女が同じ魔法を連続して発動しようとしたからだ。

あれが別の魔法ならもっと違ってきたかもしれない。


「それなら、いろいろ、な、まほうを、おぼえるれんしゅうを、する?」

マナリアの説明を理解したレンちゃんはそう口にするが、

「いえ?先ずは魔力を制御する練習からですね。これが出来ないとそもそも魔法は使えませんから。」

そう否定されてしまう。

しかしノーストリアは少し腑に落ちないと言った様子だ。

「あれ?でも私は魔力制御は苦手ですが魔法は発動しますよ?」

それを聞いたマナリアは少しだけ苦い表情を浮かべながら指示を出す。

「ノーストリアさん、なんでもいいので魔法を使って見てください。」

ノーストリアは言われた通りに魔法を使おうと詠唱を始める。さっきも聞いた炎の魔法だ。

だが、

「あれ?発動しない!?」


魔法が放たれることはなかった。

あの時はこぶし大の炎の玉が出現したのに、今回は種火すら出ない。それを不思議に思ったノーストリアが間の抜けた声をあげた。

それを見たマナリアが呆れたように言う。


「詠唱、ええそれは便利ですよ。魔力制御が適当でも勝手に補完してくれるのですから。ですが!」

話している間に熱が入ってきたのだろう。

彼女は身を乗り出すかのようにして話を続ける。


「発動までに時間のかかる詠唱は普通の戦闘では使えないんですよ!」


どうやら先程のは発動前の魔法に魔力で干渉して妨害したらしい。即時発動の魔法相手には出来ない行為だ。

そしてそこまで言い切ったマナリアは元の穏やかな表情に戻り、


「だから魔力制御がある程度出来るように、みんなで頑張りましょうね。」


と笑うのだった。

修行パートが長引きそうな気がしたのでいくつかに区切って書きます。

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