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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第2章 破壊王の魔道具屋
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第28話 今回の依頼

マナリアさんと素材集めをする約束をした次の日、私達はギルドの前で落ち合うことになっていた。

「お、お待たせしましたか?」

ギルドのテーブルに着いてマナリアさんを待っているとそう声を掛けられる。

どうやら来たみたいだ。


「それほど待ってないわよ。だから気にしなくていいわ。」

私は素直にそう告げ、後ろを振り向く。


そこではマナリアさんが驚いた顔をして立っていた。

何かあったのだろうか?


「あ、あの、イシュルさん、そちらの方は?」

おずおずと彼女はそう聞いてくる。

「そんなにかしこまった呼び方をしなくても、イルでいいわよ。こっちの人は、そうねぇ、素材集めに同行してくれる助っ人ってところかしら。」


私はそう言って向かい側の席を見る。

「ルークと申します。今日からよろしくお願いします。」


そう言って挨拶するのは私の家の使用人一号君だ。

私と戦えるくらいだしずっと家に籠りっぱなしもよくないと思い、着いて来てもらった。


因みに、この前手に入れた使用人の名前だが、青年の方をルーク、母親の方をクレアドーラといった。


2人とも本当によく働いてくれる。

主に私の家の掃除や、料理、洗濯、そしてまだ養生中のヴェルが勝手に出ていかない為の監視など、その仕事は多岐に渡っている。


前半3つはともかく、最後のやつはかなり重要だ。

隙を見せると直ぐにギルドに依頼を受けに来ようとする。


本当に油断も隙もあったもんじゃない。

しかし今日からレンちゃんが面倒を見てくれる事もあって、ルークを連れてくることか出来たのだ。


レンちゃん、今度何でも頼みを聞いてあげるからね。


とと、話がそれはしたが彼がここにいる大体の経緯はそんな感じだ。

また、彼を見たマナリアさんは、

「ルークさんって!?あのルークさんですよね!?」

そう私に問いかけてくる。


あの、私、あのルークとか言われても知らないのだけど、

「あのルークってどのルークよ。生憎私はそこら辺、疎いわよ?」


と言うか、ルークって何種類もあるの?

、、、馬鹿なことを考えてても仕方ないわね。

「またまた、イシュルさんは、助っ人として呼んでるってことはちゃんと知っているんでしょう?」

いや、知らない。

「ルーク、どう言うことか説明してくれる?」

私は話題の人物に直接聞いてみる。


「僕は元々、この冒険者ギルドで働いていましたからね。剣の腕も相まってそこそこ名は通ってましたし、知っている人がいてもおかしくないんじゃないですか?」


彼はそう説明する。

成る程ねえ、と私は彼をジロジロみる。この歳でもう有名人なのね。

「本当に知らずに連れて来たんですね、、、イシュルさん、あなた何者なんですか、、」

そんな私の様子を見てかマナリアさんは尊敬の矛先を私の方に向ける。

いや、これは尊敬ではなく呆れね。


そう読み取った私は差し障りのない答えを口にする。

「何者って程のものでもないわよ。たまたま、知り合いで戦えそうな人をえらんだ結果ってだけだし。」


これで問題はないでしょう。


「そんなことより、早く行きましょう。こんな所で油売ってても、仕方ないでしょう?」

「それもそうですね。では、何から採りに行きましょうか?」

確か、必須な素材が

・十分な硬度の金属

・魔石

だったわね。それに加えて使いたい素材を渡してくれればいいのだとか。

因みに、魔石と言うのは魔物が体の核としている物体の事だ。

当然、強い魔物ほどいい魔石が採れる。

魔石の質については問われなかったので、多分好きなものを持っていっていいのよね?

そう判断して私は行き先を決める。


「先ずは金属ね。ミスリルでも何とかなるとかいっていたけど、正直信用出来ないわ。だからオリハルコン級のものを採りに行くわよ」

上手くいけばそこで魔石も採れるかもしれない。


そう思い提案した。

しかし、

「オリハルコン!?そんな物、どこに採りに行くって言うのですか!?」

マナリアさんは納得いかないらしい。

ルークの方も、

「それには俺も同感です。ミスリルくらいならともかく、オリハルコン級のものはそう簡単に手に入りませんよ?」

どうやら反対?みたいだ。入手が難しいと判断したのだろう。

「それについては大して問題にしてないわ。2人とも、ちょっとこれを見てくれるかしら?」


私はそう言ってクエストボードに貼られている1つの依頼を指差す。

そこには、こう書かれていた。

『依頼 クォーツドラゴンの討伐 報酬 金貨2000枚 必要資格 ミスリル級以上

備考 クォーツドラゴンは北の鉱山に住み着いている。』


『クォーツドラゴン』とは鉱石の体を持つ地竜アースドラゴンの一種だ。

地竜アースドラゴンの為、空は飛べない。

そしてクォーツドラゴンの最大の特徴が、その身が1つの鉱山と言えるほど金属鉱石を体に纏っているのだ。


詳しいヴェル曰く、「あれは硬いがそれだけだ、肉もそこまで美味くない」らしい。


「えぇ!?ちょっと正気ですか!?ドラゴンですよ!?」

「あぁ、成る程、これならいい金属が手に入りますね。」

その依頼書を確認した2人はそれぞれ反応をあげる。

マナリアさんは少々怖がりみたいね。

その光景を見た私は彼女に話し掛ける。


「問題無いわよ。クォーツドラゴンは足が遅いからいざとなった時に直ぐに逃げれるって知り合いが言っていたわ。」


まぁ、その知り合いの言葉を鵜呑みにするつもりはないが。


「確かに、飛竜とかと比べると大分動きは鈍重ですね。また、その分力は強く体も硬いですが。」

ルークが私の言葉を肯定する。

「そ、そう言う事なら、大丈夫かな?」


マナリアさんも一応参加する気にはなったみたいだ。臆病だと思ってたけど、意外と根性ありそうね。


「因みにだけど、みんな冒険者ランクってどのくらい?」

それを聞くのを忘れていた。このままでは、前回の二の舞だ。

まぁ、その時はギルド長にお願いに行くだけだけれども。

「私は、この前登録したばかりなんでまだ銅級です。」

「僕は一応ミスリル級ですね。だからこの依頼、問題なく受けられますよ。」


あら?意外にもルークは冒険者ランクは高いみたいね。

助かったわ。

そう思い何となく私も自分のギルドカードを確認する。


冒険者ランクは銀級になっていた。


登録後まともに依頼を受けてなかった事を考えると、原因は黒竜の牙の依頼でしょうね。

あれはギルドが描いたらって事だったけど、通常の依頼として処理されたのね。


それを確認した私はクエストボードに貼ってあるその依頼を剥がして受付に持って行くのだった。

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