第26話 魔道具店での口論
呪い騒動があった数日後、私は街に買い物に来ている。
理由は何処ぞの誰かに武器を叩き切られたため、それの補充だ。
「お金もあるし、どうせ揃えるなら魔道具にして見るのもいいわね。」
魔道具、それはその名の通り魔法の力が宿った道具のことを指す。
魔道具に共通して言える事は、どれも強力な力を秘めたいるという事だろう。
冒険者が憧れる品の1つでもある。
「確か、魔道具屋さんはこっちの方にあったわよね。」
私は迷いなく街中を歩く。
この街に魔道具屋は1つしかないため、迷う必要がないのだ。
街の中央付近、冒険者ギルドから歩いて五分程度の所にその店はある。
店の名前は『トロイヤの魔道具店』、店は然程大きくはないが品揃えはかなりいいとの評判だ。
店に着いた私は早速中に入ろうとする。
しかしその時、
「ああああああああああ!?何やってんのよあんたああああああ!!」
と中から大きな声が聞こえる。
声から判断するに女性のものだろう。
何事か!?とびっくりしたがここで引くわけにはいかない。私は意を決して店に入る。
そこでは、何処か見覚えがある女性と店員と思しき男性が言い争いをしていた。
「あ、いらっしゃいませ!トロイヤの魔道具店へようこそ!」
私の入店を確認した男が、目の前で怒り狂う女性を無視して私に挨拶をする。
その態度が気に入らなかったのだろう。女性が男を怒鳴りつける。
「あんた!!何無視してんのよ!!自分が何をやったかわかってるの!?」
1人の人がここまで怒るなんて、本当に何をしたのよ。
「何をやったって、俺はちょっと触っただけだろ?その魔道具が脆すぎるのがいけないんだ!」
どうやら女性持ち物を壊してしまったみたいね。
それなのにこの態度、店を営む人としてはどうなのかしら。
「な、こいつ遂に魔道具のせいにし始めましたよ!!ちょっとそこのお姉さん!!」
「え!?私!?」
喧嘩を眺めていると急に私に声がかかる。
「そう、そこの綺麗なお姉さん!!これ、どっちが悪いと思う!?」
まぁ、綺麗だなんて、このお嬢さんは正直ね。
ここはひと肌脱いであげましょう。
「とりあえず、落ち着いて始めから説明してくれないかしら。」
私は話を聞くことにした。
「じゃあ話をさせて貰いますね。まず、私の名前はマナリア申します。以後、お見知り置きを、
事の発端は私が魔道具を買いに来た事です。」
そう言って彼女、マナリアは話し始める。
「入店後そこの男を見つけた私は、私の使用していた魔道具がそろそろ寿命っぽいので、修理してくれませんか?と頼んでみたのです。そしたら彼は、
「修理出来るかは分かりませんが取り敢えず見てみましょう。その魔道具見せてもらえますか?」と言ってきたのです。その言葉に従うように私は彼に魔道具を渡したのですが、、」
ここまで話して彼女は着ていたローブの中に手を入れる。
そして取り出されたものは中程から2つに折れた短杖だった。
しかもその短杖の折れている部分をよく見ると握りつぶされた跡がある。
「渡した瞬間、その男が握ってこのざまですよ!!これはどう見てもこの男の方が悪いのにそれを事もあろうかとか認めようとしないんです。さあ、お姉さん!!どっちが悪いのか判決を!!」
マナリアはそう言って話を切った。
この話を鵜呑みにしたら悪いのは店員の男となるけれど、それは流石にかわいそうね。
「そこの店員さん、何か主張があるなら聞くけど?」
とりあえず彼の主張を聞いてみる。
「いや、最近自分の作った物しか使ってこなかったから、加減を間違えたんだよ。」
「ほら!さっきからこの意味不明な言い訳ですよ!!もう、腹が立ちませんか!?」
店員さんの主張を聞いたマナリアが再び激昂する。
そして私は、
「うん、これはマナリアさんに非は無いわね。全部あなたの責任よ。」
そう締めくくったのだった。
「で?あなたはこの落とし前、どうつけてくれるのですか?」
自分に非はないと言われたマナリアさんはここぞとばかりに食ってかかる。
「落とし前、って言われてもなあ、、」
店員の男はどうもまだ納得がいっていないらしい。
その態度が気に入らなかったマナリアさんは、次なる手を繰り出す。
「分かりました。えぇ、よーく分かりましたとも。あなたでは話にならない事が。なので店長を呼んでください。店に責任を取らせますから。」
どうやら、部下のミスは上司の責任作戦でいくらしい。まあ、作戦も何も当然のことではあるけど
それを聞いた店員さんは言いづらそうにしている。
「え、えっと、、」
「なに!?店長も呼ばないんですか?それとも、もしかして店長に怒られるのが怖くて呼びたくないんですか!?」
マナリアさん、容赦ないわね。
この子、自分が有利と見るやガンガンいくタイプね。このタイプの人は乗せると面倒臭いわよ。
そう思い私は、店員さんの出方を伺っていたが彼から発せられた言葉はマナリアさん的には予想外の言葉だった。
「あの、店長、俺なんですけど。あ、自己紹介がまだでした。トロイヤ魔道具店店長をやっております、トロイヤと申します。」
マナリアさんはその言葉に目を丸くしていた。
今までサブタイの形をある程度揃えてきましたが今回からは変えようと思ってます。
前回の形式の方が良かったら言ってくだされば戻します。




