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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第1章 強欲は欲深い
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第23話 怠惰の過去



俺には2人の幼馴染がいた。

1人目はレン、隣の家に住んでいる女の子だ。

もう1人の名前はフィスティナ=モンマと言い、領主の娘だった。

モンマ家は貴族ではあったが、その家の人は皆人がよく、領民達に慕われていた。


また、その為フィスティナは領主の娘ではあったが村にいることの方が多かった。


俺とフィスティナは歳が近いこともあって直ぐに仲良くなった。

いつも俺にくっついていたレンもその時一緒にだ。

俺たちは知り合った後は毎日のように3人で遊んでいた。


最初はお互い遠慮する気持ちがあったのだが、一月もする間には完全に打ち解けあっていた。

それで気づいたのだが、彼女、フィスティナは少々他の者より欲が深かった。


貰えるものは全て貰い、欲しいものはなんとしてでも手に入れる。

普通の街などでこのような事をしていれば、恨みの1つは買ったであろう。

しかし村人達はフィスティナがあの優しい領主の娘という事もあり、暖かい目で見守るだけだった。


そしてその日が来る。

欲しい物を手に入れ続けたフィスティナの欲はとどまる事を知らず向上し続けた。その結果が、

「ねえ、ヴェル、レン、聞いて!!さっき私【強欲】の称号を手に入れたの!!」

という、【強欲】の称号をその身に宿す事になった。

人間族や天使族には不名誉とされる大罪系の称号だが、魔族にとっては名誉なものだ。

俺たち2人も諸手を上げて喜んだ。

「おお!!ついに手に入れたのか!!いいなー、俺にも何か欲しいなあー」

「ふぃすねえ、おめでとう!」

「えぇ、ありがとう」

その日は早速、【強欲】が何が出来るのかを試す日だった。

その日判明した【強欲】の能力は物体のカード化とカード化した物の実体化だった。

フィスティナはその能力に少しがっかりしたようだ。

「なーんだ、【強欲】の能力って要するに手に入れたものを管理しやすくするだけなのね。」

「それでも大罪系な事には変わりないだろ?そんな露骨にがっかりすんなよ。まだ判明してないだけで他にも色々出来るかもしれないだろ。」

「ふぃすねえは、のうりょくにたいしてまで、よくぶか!」

俺が励まし、レンが笑う。

いつものことだ。

するとフィスティナはすぐに立ち直り、

「それもそうね。また会いましょう。」

と言ってその日は屋敷に帰って行った。



それから数ヶ月、俺たちは毎日3人で色々な事を試した。

当然、【強欲】の研究の為だ。

その間、俺たち2人は彼女の要望に応えるべく走り回った。

魔物と戦いに行くからいいところを探してこいだの。生き物をカード化出来るか試すから森に行って何か捕まえてこいだの。

その要望は多岐に渡ったが、俺たちに不満はなくむしろ充実した毎日だったと言えるだろう。


そんなある日だ。


「じゃあ、行ってくるから。一月位したら戻ってくるから寂しがるんじゃねえぞ。」

俺はフィスティナにそう言う。

「だ、誰が寂しがるですって!!ふん、もうあんたなんか帰ってこなくていいから!!」

彼女はそっぽを向きながらそう言う。

「ふぃすねえ、もっとがんばって!」

レンはよく分からない応援をしている。

何を頑張ると言うのだろうか?そして、

「じゃあ、元気にしてろよ。」

「あなたたちこそ、道中で何かあったら承知しないんだからね!!」

「じゃあ、しゅっぱーつ。」

各々別れの言葉を告げる。

これから俺たちは隣町まで村の特産品を運ぶ仕事がある。

隣町と俺たち村の間には危険な魔物がいっぱいいる山があり、迂回しなければならない。

その為、往復に一月もかかってしまうのだ。

いつもはレンの両親がやっていた仕事だが、怪我をしたとかでレンが、1人では危ないとかで俺が行く事になった。

フィスティナはあれでも貴族の娘の為、ついてこれないそうだ。

1人残してしまう事になるがあまり心配する必要は無いだろう。

いつもの彼女を思い出し俺はそう結論づける。

そして俺は今回の旅を存分に楽しむ事にした。



隣町についた俺は目を疑った。

「なあ、レン、目的地ってあれであってるよな?」

「ちずでは、たしかにあそこ」

明らかに街というには立派すぎる外壁がそこにはあった。

「ちょっとお前ら、止まれ!!」

俺たちが門を潜ろうとすると止められる。


「お前たち見ない顔だが、この街に何の用だ?」

街に来た理由を聞かれたので俺たちは正直に応える。すると、

「ああ、あの村から来た人か。どうぞ、どうぞ、ゆっくりして行ってください。」

とすんなり通してくれる。どうやらうちの村はこの街の信頼を得ているらしい。



俺たちは当初の目的を果たした後、少しだけこの街を観光するとこにした。


それがいけなかったのだろう


観光し始めて3日目のことだ。

俺たちが街に来た時に声をかけてきた門番の人が慌てながら駆け寄ってくる。

「あぁ、君たち、大変だ!!君たちの村に魔物が出たみたいなんだ!!」

それを聞いた俺たちは不思議に思い口にする。

「魔物くらい出て当然だろう?この街にもたまに来るらしいじゃないか、」

魔物くらい俺たちの村では日常茶飯事だ。

一々焦ってはいられない。

しかし、

「普通の魔物なら良かったんだけど、今回は相手が悪いんだ!」

そう言って慌てている門番の男。

そこにレンが

「そんなにあわてて、なにが!でたの?」

とゆっくり聞く。

すると門番の男は


「キマイラだ、それも飛び切りでかい。」


と襲撃者の正体を口に出すのであった。

過去話は一話に纏めようとしたけど長くなりそうなので一度きります。

続きはこのまま書くので、何卒よろしくお願いします。

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