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怠惰の王は怠けない  作者: Fis
第1章 強欲は欲深い
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第11話 強欲は疲弊する

「ほ、本当に食べるの?」

そう言って私が視線を向けた先にはヴェルがコップに注いだスライムがいた。

「まあまあ、騙されたと思ってグイッとのんでみろよ。」

そう言われて私は決心する。

本当に騙されてないわよね?

大丈夫よね?だって目の前でヴェルが飲んでるし。 よしっ、飲もう。

少なくとも死ぬことは無いだろうし不味かったらそれ以上食べなければいい、そう思い私はスライムの入った容器を口にする。


………こんにゃく?

何だろう、こんにゃくの様な食感。

味は不味くはない。というかほとんど味がない。

僅かに感じられる味は酸味だった。


というか、

「ねえ、なんかちょっと酸っぱいんだけどこれ、大丈夫よね?体の中から溶かされたりしないわよね!?」

飲んでいるのがスライムということもあり不安になる。


【スライム】

魔物の中ではありふれた種類。

生息地によって特性や強さが異なる。

人工的に創り出すことができる数少ない魔物。

種類を問わず物を溶解させる酸を出すことができる。


スライムを飲んで酸っぱいのはそういう事なのではないか?

これは本当に飲んでも大丈夫だったのか。

そう思うと先ほどまでの全くの無警戒だった自分が恨めしくなる。

しかしヴェルはそんな心配を

「大丈夫だ。一度に飲み過ぎなければ問題はない。というか、これくらいの量だと消化を助けてくれたりもするから結構いいものだぞ。」

と一蹴してくる。その言葉に少し安心した私は別の質問をする。

「それならいいのだけれど、それにしても随分昔に食べた魔物は本当にひどい味だったけれど、これはそうでもないのね。」

魔物によって違うのかしら。

そこそこ美味しそうに見えた牛型の魔物よりスライムの方がまだ美味しいなんて、不思議なものね。

「魔物はどんな奴でもそこそこ食えるぞ?不味いのは基本的に特殊ユニーク個体くらいだ。」

その言葉を聞いて私は納得いかない気分になる。

あの時は群れの中で1番大きいやつを食べたから不味かったのだと知ったからだ。


頑張ったのに、頑張って獲ったのにそれが仇となるなんて。

当時のことを思い出した私は苛立ちを覚えた。

しかし、過ぎたことは仕方がないとすぐに切り替える。

「なるほどね、無理して重い荷物を持つより現地で調達できる魔物を食べた方が効率的ってわけね。」

スライムを実食したからか先ほどは理解できなかった考えが少し理解できた気がした。

「だろう?俺だって何も考えなかった訳じゃ無いんだ。」

私の肯定にヴェルは調子の良さそうに喋る。

それでも私に相談をくれなかったことは許さない、と彼にジト目を向けた。

そうすると彼はバツが悪そうに、

「飲み終わったし先を急ごう。」

と話を強引に切ったのだった。






3日の旅の末私達は晴れて人間族の街『テラ』へと到着する事ができた。

「やっと、ついた………」

疲労がたまっている私は街に到着した事に感動さえ感じる。

とはいえまだ街に入るには門を抜ける必要があるのだけれど、それは問題ではなかった。

精神的疲労が激しかっただけで、体はまだ動くのだ。

理由は私の隣で一緒になって門の前で並んでいるこいつのせいだ。

ここ3日の食事はもう思い出したくない。

初日は良かった。森を抜けるということもあって獣も獲れたし山菜が豊富だったから無理に魔物を食べる必要はなかった。せいぜい【フォレスト・ボア】が夕飯として出てきたくらいだ。

それも美味しくいただく事ができた。


問題は2日目からだった。

森を抜けた先にあったのは湿地帯だった。

食べられる植物は基本的に生えていない。そして肝心のヴェルが獲ってくる魔物だが、蛙ばかりだった。

他には何かを居なかったのか、と聞くと

「ここではこれが1番旨いんだよ。」

と言って聞きやしない。それに加えて旅先で手の込んだ料理などできるはずもなく、出てきたのは蛙の丸焼きだった。

それだけならまだ我慢出来ただろう。

しかし、こともあろうかとかその蛙はまだ動いていたのだ。

流石は魔物、生命力は折り紙つきだった。


3日目はもっと酷かった。

これ以上思い出したくはないので詳しくは言わないが、1つだけ言わせてもらうなら

食人植物型の魔物は2度と持ってくるな。

というところだろう。



そんな感じにここ3日の食生活を振り返っていると、私は既に門番の前まで来ていることに気づいた。

街に入るために危険物等がないか調べるみたいだ。

数分の審査の後に私達は街に入れるようになる。


今日くらいはちゃんとしたものを食べたいものだ。




この話でスライム以外で食べてたもの


【フォレスト・ボア】

野生的な味わい。

少しクセはあるが煮ても焼いても食べられる優れもの。

あまり好戦的ではなく、こちらから手を出さない限り襲われることはないが戦闘力はそこそこ高い。


【ライフ・トード】

鶏肉と馬肉の中間のような味

生命力がとんでもなく高く、ちょっとやそっとじゃ死ぬことはない。

それ故か戦闘力は低く、農民でも倒す事ができる。


【マンイーター】

食人植物の一種

ほとんど味はしない。

植物ほくせになぜかタンパク質が豊富である。

近接戦闘力は高いが、所詮そこは植物であり、その場から離れられないためそこまで脅威ではない。

茶番はこのくらいにして次から話を進めれたらなと思っています。

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