義父母と鬼嫁のドリフな毎日~健康食品編~
義父が「携帯に不在着信があったがだれど、聞き方わからんから聞いてくれるか?」と言う。
すぐさま再生してみると、「こちらは○○製薬です。先ほど△△湯をご注文いただいた際、ご住所をお聞きしておりませんでしたので、お電話させていただきました。またおかけ直しいたします。」とのメッセージが2件。どうやら私の留守中にこっそり新たな健康食品を注文したものの、住所を伝えないまま電話を切ってしまったらしい。
義父はもともと健康オタク。新聞やCMで「これは効く!!」というお決まりのセリフを見聞きするやいなや、片っ端から注文する癖があった。ブルーベリー、すっぽん、すっぽんプラス、サメ肝油、ノコギリヤシ……家にはさまざまな健康食品の袋が溜まっているが、結局どれも効かなかったのか、中身が残ったままだ。
脳梗塞で起き上がれなくなった時も、「昔マムシの粉飲んだ時もこうなった。」と言うから、私はてっきり直前に購入したマカが悪さをしたのだと思い、「しばらく休んどったら治った。」との言葉を信じ、ソファでひといき休ませてしまい、すぐに病院へ連れて行かなかった。結果、発見が遅れた。
入院以降、先生や看護師さんから「処方されるお薬以外は禁止ですよ。」と引導を渡され、これで健康食品依存症も治まると安堵していたのだが、退院したとたんこのざまだ。処方薬と相性が悪く、体調をさらに悪化させることがあってはならないと、私たちも再三忠告してきたのに――「だめだこりゃ。」
「お父さま、○○製薬が△△湯の注文の件で確認したいことがあるそうですよ。」
一瞬「しまった!!」という顔になり、「ほ~ん、単なるアンケートの電話ならかかっとったがだれどの~。」としらばっくれる。いやいや、それより先に発信した履歴もちゃんと残ってますから~、残念!!
墓穴を掘った義父をばっさり斬り捨てたギター侍……もとい、鬼嫁であった。