04〜最後の1秒はあなたと
目がさめる。
今日、午後5時。僕らの住んでいる町にエイリアンがやってくる。
謎のウイルスがばらまかれ、人々が血を吹き出して倒れる。そのウイルスは世界へと瞬く間に広がり、人類は滅亡する。
それが僕の家系の教えだが、当然僕らの家族以外誰も信じない。
それでも僕らは妙な胸騒ぎがして、町をでた。家族みんな、お古の四駆に乗って。
どこに行こうか。父は言う。
小学校に上がったばかりの弟は、砂時計を興味深そうに見つめる。
母はそんな弟を優しく見つめている。
カップ麺の匂いが車中に広がる。
家から出て、とある山に来た。
死ぬなら先祖の墓のある土地で死のう、と。
墓地で家族4人、カップ麺をすすっていた。
あら。母は空を見上げた光る何かを見つけた。
西の方向。バックの夕日が輝かしい。
それに負けじと青く光る、何かが一つ。黄色が一つ。赤もまた増えた。
緑、紫、また青、とにかくたくさん。
その瞬間夕日は、多彩のミラーボールになった。
その先はどうだろうか。
僕らの町は消えた。
父はカップ麺を窓から放り投げて、僕らを抱きしめた。愛しているよ。
母はほおを濡らして、笑顔で、大好き、と。
僕らは幸せだった。