7話 王都!
じいちゃんの恥ずかしい英雄伝説(笑)を聞いたあとシエラ姉さんの言う通り学校の道のりを確認しにいった。
はずなんだが……
「どうしてこうなった…」
今僕の後ろには少女が二人、前には柄の悪いお兄さんが三人いる…しかもこっちを物凄く睨んできている。
いきなりで分からないだろう…話は家を出てからに遡ろう。
「忘れ物、ない?」
「大丈夫だよ、貰ったお小遣いも持ってるし」
「気おつけてのー」
「うん、早く帰ってくるよ」
「ゆっくりしてきてもいい」
「そうじゃの、別に急がんでもいいんじゃぞ?」
「んーじゃあ少し気になるところに寄ってから帰るよ」
「日が沈むまでには帰ってきて」
「うん」
「本当に一人で大丈夫?」
「大丈夫だって、大体シエラ姉さんが言い出したことでしょ?」
「そうだけど……やっぱり心配」
「大丈夫じゃて、わしの孫じゃぞ?」
「だから心配」
「酷くないかの!?」
「どうせ常識を教えてない」
「うっ……それはそうじゃが…」
「大丈夫だから! お金のことくらいなら分かるから」
逆にお金のこと以外と分からないけど……
あ、駄目だいきなり心配になってきた。
……よし、出来るだけ他人には関わらないようにしよう、うん、それがいい。
「ん、やっぱりリクは賢い」
「ははは、じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「楽しんでくるんじゃぞ」
「はーい」
「さて、最初はおつかいを済ませようかな、シエラ姉さんのケーキは最後でいいとして」
ん? 人だかり? 何でだろ。
…へー看板か、これは分かりやすいな、これなら迷わない。
「この看板は勇者様によって伝えられたんですよー」
「ほーそりゃ凄い、これなら迷わないしいいな」
「そうでしょう? さすがは勇者様です」
「まあ、こんなことしか活躍出来なかったもんな……」
「ええ、英雄様が魔王を倒してしまいましたものね」
「でもさっすが英雄様だよな、勇者でも仲間と挑むのに英雄様は一人でだもんなー、憧れるぜ」
ああ、勇者よ……俺はお前に同情するよ…
きっと転移とかして勇者って言われてすごい喜んでたんだろうな……そこをじいちゃんが………
本当にすまない、勇者よ……
その後も町を歩けばじいちゃんの話ばかり聞こえてきた。
ほんとに凄いんだなーじいちゃんは……
まあ、そんな話を聞きながら学校についたわけだが…
「ほーあなたがあの人のお孫さんですか」
「え、ええそうですが」
「成る程、成る程、確かにあの人に似てますね主に自重しなさそうなところが」
「どんなところですか!………あ」
「ふふ、いいんですよわざわざ敬語を使わなくても」
「いえ、そう言うわけにもいけませんので……あ、それでこれがじいちゃんに頼まれた物です」
「ああ、これですか、やっと返しましたかあのポンコツは」
「…………」
なにを借りてたんだじいちゃんは!
「そ、それでは僕はこれで」
「本当にあの人は昔から………」
なにかボソボソ言っていたがそこはあえて気にせずそっとその場を後にした。
「さ、あとはシエラ姉さんのケーキだけかな」
と、今から家に帰る事を考えていると
「ああ! いいから黙ってくりゃいいんだよ!」
「あ、嫌です、なんで私たちが行かなきゃ行けないんですか!」
「さっきも言っただろうがお前らがぶつかってきて骨が折れたから金を払えって」
「だ、だから私たちがぶつかったんじゃなくて…」
「そうよ! そっちがぶつかってきたんでしょ!」
「んなことしるかよ! いいから黙ってくりゃいいんだ!」
「お、おい、誰か助けてやれよ」
「バカ言うなよ、あいつらBランクのやつらだぞ」
うん、関わらない、関わらない、こんなことに関わったら学校の試験で不利になるかもしれないしな。
それにしてもこんなやつらもいるんだなー。
どんなやつら………
「な!」
連れていかれそう少女をみて絶句した。
なんかよく分からないけどむずむずする!
「おい、お前らその手をどけろよ」
声を低くして言う。
ああーまだ声変わりしてないから全然怖くないなー
「ああ! んだこの餓鬼は」
ん?………やっちまったー!
関わらないって決めたそばからやっちまったー。
だってなんか嫌だったんだもん、あの少女が触られるのが!